理想のパターンのライブ、バンドとのライブをもう一度丁寧に表現したい
──では、今回はどんなツアーにしたいなと現時点では考えてますか?
ツアーは、まず2018年の頭、ツアー前にニューアルバムを出さなかったのには2つ理由があって。2017年はアルバムツアーを2回続けてやってるんですけど。まず1つは、アルバムを出すとフル尺でやらないといけない曲が増えて、ちょっと自由度が削がれるということ。これはたぶん俺のヒップホップのDNAのせいなんですけど。ライブの時間って、せいぜい2時間なんです。けど、曲をやって、止めてってやってると、ライブ時間が長く感じてしまうので、曲を止めたくないんですよ。それはDJ文化ゆえにだと思うんですけど。Don’t stop the musicで行きたいんです。極力、曲を止めたくない。フル尺でやらなきゃいけない必要性って、そんなにないんですよ。自分のなかには。ライブにおいては、最終的には一言や二言でいえることをずっと曲にしてるんだけど。その曲たちが連なるときっていうのは、もっと持って帰ってもらうメッセージをシンプルに研ぎ澄まさなきゃいけなくて。そうなったときに、連なる曲は映画や小説でいうところの伏線になるから、楽曲はフル尺である必要はないとずっと思っていて。曲をジェットコースターのように矢継ぎ早にやる。そうやって様々な楽曲が押し寄せてきて、最終的にメッセージを渡してすっと帰る。ある意味、自分のなかでの理想のパターンのライブがやりたかったというのが1つ。だからいまのところ、音が止まってのMCもまったく予定していないんです。曲の前後とか最中をのばして喋るいつものやつは全然やる予定ですけど。
──なるほど。
<SKY-HI TOUR 2015〜Ride my Limo 2〜>っていうすごい好きなツアーがあるんですけど。それもアルバムのツアーじゃなかったんですよ。アルバムツアーはアルバムツアーで、俺も、俺のことを好きなお客さんも達成感は強いと思うんです。アルバムのリリースが発表されて、インタビューを読んで、曲を聴いて、それの体現版だから。ライブが。だから、達成感は強くて。それはそれで大切なんだけど。もっとエンターテインでもっと強いもの。「まず楽しい」というものを今回はやりたかったんだろうな。きっと。あともう1つは、去年とか2年前のアルバムツアーのときもなんだけど。まず、フルバンドで自分の曲をやるというのは、かなり大変で。どれぐらい音像をアルバムの原曲に近づけて、どれぐらい遠ざけるかみたいな作業って、DJ出しのときとはだいぶん違うんです。DJ出しのときは、その作業は1〜2日とかで終わっちゃうんですけど。バンドのときは、そこに時間がかかる。音の作り込み、つなぎ、すべてがヒューマンエナジーになるから時間が長くかかるんですけど。そうやって作った楽曲たち、ダンスの振りもそうだけど。そういうものをもう1回やりたいなというエゴですね(笑)。
──せっかく時間を費やしてバンドアレンジを施したんだから、もうちょっとみんなに見てもらいたいと。
ここ3年、そのツアーでしかやってない曲たちをもう1回ここでやってあげないと、僕はなんとなくこの先に自分のやることも見えていて、活動のペースも見えている。曲も作りまくるから、その精度はどんどん上がっていくだけ。となると、ますます昔の曲はやれなくなっちゃうから。
──やるならこのタイミングしかないと。
そうですね。今回のツアーはとくにメジャーデビューしてからの3年。その間に出した3枚のアルバムの曲をやるテンション。とくに『カタルシス』と『OLIVE』から持ってきたメッセージで「Marble」ができていることをテーマに考えようと思ってます。
──ツアーのなかでも4月21日、22日の幕張メッセ2daysは、特別なものになるんでしょうか?
それはいまのところ考えてないですね。前回ホールから武道館になったとき、特効が増えたけど。それぐらい。幕張ぐらいの規模だと会場でやれることも増えそうだから。
──ライブごとにフロントアクトやゲストを呼んだりは?
それも考えてないですね。<SKY-HI Round A Ground 2017>で対バンをやったばかりなんで。自分のライブのときは、他の人が入れ辛くて。空気とか世界観がある程度固まっているから。でも、今回のツアーはアルバムツアーじゃないから入れやすいっちゃあ入れやすいので、そこはちょっとは前向きに考えたいなとは思います。
──フェスなどで観て、新しくSKY-HIに興味を持った方々も、アルバムツアーではないからこそ、「Marble」のライブ会場限定版に収録されていたSKY-HIの人気曲をつないだ「Colorful Urban Mix」のように、今回のツアーはSKY-HIの入門編としても楽しめそうですか?
そこも少し意識してます。昨年出た<スガフェス!〜20年に一度のミラクルフェス〜>に<VIVA LA ROCK 2017>、最後の<COUNTDOWN JAPAN 17/18>はお客さんがパンパンに集まって。スタートからウェルカムでした。いままでとは全然状況が違って。
──ジャンルの違う音楽ファン全般にも、SKY-HIが認知されてきたってことですね?
そういうフェスものや、「キョウボウザイ」(YouTubeのプライベートアカウントにアップ)やLOGIC(の「1-800-273-8255」)をビートジャックした「0570-064-556」(9月の自殺対策強化期間前にアップ)も、元々別に名前を売るのが目的ではなかったんだけど。結果あれも、新しく人を呼ぶ要素になっていきました。だから、正念場なんだなと感じてます。
いま、日本で観られる一番楽しいライブだと思って来てもらって問題ないです
──今回のツアーが。
俺の観られ方はいろいろあると思うんです。元々武道館の前後ぐらいから、人間の本質、外聞は外聞で、それはそれでいいっていっていただけるんならありがたいことだし嬉しいんですけど。「本質」で勝負できる人間じゃないと、終わるなと思ってましたから。賞味期限ができちゃうから。音楽には賞味期限はないけど、アイドルはどうやったって賞味期限があるのはしょうがないから。マンガで最近「なんでアイドルが崇拝されるか知ってる?」というのを読んで。そこには「青春を捧げているからだ」と描いてあったんだけど。青春には終わりが来てしまうけど「人生」には終わりはこない。だから、その人生にコミットできる存在でなければ、音楽に人生を捧げている身としては見合ってない。そういう存在になれるという自信も自負もあったんだけど。世の中の風が、いま追い風となってくれているんであれば、しっかりとものにしたいですよね。そうやって興味を持ってくれた人の心もちゃんとつかんでいく、そういうエンタテインメントショーを見せたいなと思っています。これをすっげー軽く一言でいったら、『いままで観たどのライブよりも面白くて楽しくて、しかもずーっと残るもの。それを作れるのは俺だけとはいわないけど、本当に数は少ない。いま、日本で観られる一番楽しいライブだと思って来てもらって問題ないです』かな。素晴らしい締めができました(微笑)
SKY-HIインタビュー前編はこちら!
≫ SKY-HIのライブは人を引きつけてやまない。なぜ彼はいま、現代のメッセンジャーとして人の心をふるわすのか。その核心に迫ったSKY-HIインタビュー -前編-
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