元気が出ない、暗闇から抜け出させないと悩んでいる人たちにこそ出会って欲しい。それが摩天楼オペラだ。新作『地球』では、地球上で輪廻を繰り返す私たち人間の姿を身近な目線で歌い、讃え、「生きる」ことを祝福し、身も心も浄化していくと同時にポジティブなエネルギーをリスナーの心の奥底まで届てくれた彼ら。メンバーの苑と彩雨に話を聞いた。
――オペラと付いたバンド名やキーボードを配したバンド編成、メタルやシンフォニックなアプローチを取り入れたテクニカルなサウンドで一見敷居の高い音楽を想像してしまいがちですが、摩天楼オペラ、じつはめちゃくちゃ“歌もの”だったんですね。
苑(Vo) そうなんです。ヴィジュアル系のなかで僕らはメタルや荘厳なシンフォニックな音とよくいわれるんですね。もちろん間違ってはいないんですがどれも一部で、僕たちはノンジャンルなんですよ。でも僕らが歌ものというのは間違いないです。
彩雨(Key) 楽曲が無茶なことをしてもしっかりヴォーカルが立つ感じにはなってます。
――新作のタイトルは『地球』、デカいです!
彩雨 そこだけで身構えちゃうかもしれないですね(微笑)。でも、このタイトルを聴くと壮大なオーケストラのSEから始まりそうなイメージじゃないですか?アルバムはいきなりイントロもない曲から始まるんですよ。
――そこでビッグバンが起きて、前半はメタル路線の曲が続くんですが、ここには地面を這うような重いダークな曲はないんですよね。
彩雨 ウチはメンバー5人がポジティブなんですよ。闇の世界へようこそという人はいないので、激しい曲をやってもどこか笑顔が出るような。ライブも含めて、そういう感じがウチらなんだと思います。
――そのポジティブな空気感というのは、歌詞にとても表れてますよね。本作も最後は心が浄化されて温かい涙があふれ、生きているだけで素晴らしいんだと讃歌してくれる。
苑 その通りです(微笑)。僕はみんなに“一緒に頑張ろうよ”と常に歌ってるんです。生きていく上で、僕たちの曲を聴いたら日々が頑張れるとか楽しいことを見つけられるとか、気分が上向きになって欲しくていまは曲を作ってますから。人間は、意外と人からいわれたちょっとしたことで前向きになれたりするんだけど、自分一人だとなかなかたどり着けない。そこを、自分たちの音楽でやっていけたらと思うんです。
彩雨 そのためにも、ライブではお客さんも僕らと一緒に歌って欲しいというスタイルでここ数年ウチらはやってまして。だから、今回のアルバムもみんなに歌って欲しいんです。
苑 『地球』のBメロの歌詞がないメロディーのパートをみんなで口ずさめたら、温かい空間ができるだろうなと思ってます。
――ライブは、新作を歌えるようにしていったほうがより楽しめそうですね。
苑 はい。そうして同じ音楽好きな者同士一緒に騒いで、また明日から一緒に頑張ろうという気になってくれたら嬉しいです。
インタビュー/東條祥恵