司会:兵庫慎司
撮影:堀清香
新バンドJET SET BOYSを結成し2ndアルバムをリリースし、6月25日(日)群馬 高崎club FLEEZからスタートし7月29日(土)恵比寿LIQUIDROOMで終わるツアーに出た高橋まことと、昨年再集結しデビュー 25周年のアルバムを発表し12月に東京ドーム2DAYSが決定しているTHE YELLOW MONKEYのANNIEこと菊地英二の対談、第2回です。今回はドラマーとしてのおふたりのルーツなどを話していただきました。
ドラムは左が器用な方がうまくなりやすい(アニー)
高橋まこと 誰だろう?……リンゴ・スターとか、メル・テイラー(ベンチャーズ)とか。リンゴ・スター、あの人は独特だからね。
アニー 左利きなんですよね。
高橋 そうそう、左利きなの。
アニー たとえば「HELP!」、ものすごく速い8ビートじゃないですか? あれを逆の手でニコニコしながら叩いてる、おそろしい人ですよね。
高橋 あと「Get Back」のスネア、左手からなんだよね(※スネアを連打する時、普通は右手から叩く)。
アニー そうそう。あえてセットは右利きのままにして、でも左利きだから、それでおもしろいフレーズを作り出してる。
高橋 ね、わざとやってんだよね、あれ。「Get Back」は映像になってるじゃん。アップルの屋上でやった最後のセッションで。あれで観ると左手からなんだよね。昔はなかなか映像って観れなかったから、ずいぶんあとになってあれを観て「あっ左だ!」って。
アニー それを知ってたら左利きで始めてたのに(笑)。
高橋 レコードじゃわからないからな。
アニー サイモン・フィリップスも左利きか両利きで、ドラムは左が器用な方がうまくなりやすいんですよね。他の楽器も、もしかしたらそうかもしれないですよ?
──アニーさんのフェイバリット・ドラマーは?
アニー モスト・フェイバリットですか? うーん……きっかけは高橋幸宏さんとコージー・パウエルなんですけど、いちばん好きだったのはアイアン・メイデンの初期のドラマーの人で。何しろ速いんですよ。
──クライヴ・バー?
アニー そう、クライヴ・バー(アイアン・メイデンやサムソンに在籍)。3枚目まででやめたのかな。あの人の右手のスピード、すばらしく速いんですよ。そういう意味もあって、「まことさんすごいな」ってやっぱり思うんですよ。
クライヴのキックの音とかは意外と重たかったりするじゃないですか。スネアの音も低め設定だし。もともとメタルっぽくないんですよね。ずっとスウィングしてるし、でも8ビートをきちっと出してるし。
80年代のあのニューウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルっていうムーヴメントで、シーンを変えた人だと思うんですよね。スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)のベースがいくらよくても、あの人のドラムじゃなきゃシーンは変わってなかったと思う。だから、偉大なのにあんまり評価されてないのが残念なんですよね。