インタビュー/土屋京輔
──まずは野外公演である<BURST INTO A BLAZE>を、9年ぶりに開催することになった経緯から教えてください。
RUKI(Vo):まぁ、何となくが一番近いんですけど(笑)、夏にライヴをやろうかという話が出てたんですよ。
戒(Dr):結成15周年のライヴ(『the GazettE十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」』/2017年3月10日=国立代々木競技場第一体育館)をやることが決まったときに、この1年の計画を考えてたんですよ。そこで、そういえば夏って野外でやってたよね、久しぶりにやるかっていう話の流れだったと思うんですよね。そろそろ次の作品のことも考えていかなきゃいけない時期でもあるんですけど、一旦制作作業に入ってしまうと、うちらはなかなか表に出てこない地下活動になってくるので、いいところで浮上していけたらいいよねぇという話もありつつ。あとは、振り返るじゃないですけど、そういうタイミングでもあったのかなぁと思いますね。
場所は結果的に前回(2008年)と同じ富士急ハイランド・コニファーフォレストになったんだけど……もちろん、いい思い出も残っているんだけど、苦い思い出もあったりして。まぁ、天候に恵まれなかったということなんですけど(笑)。そのリベンジも兼ねて、夏らしいライヴをもう一度やろうかという話ですね。
──野外でのライヴには、どのような思い出がありますか?
RUKI:自分たちが単発で最後に野外でやったのは、ホントにその9年前とかなんで、何かのフェスに出させてもらったりしたイメージのほうが強いんですよね。でも、野外では、夜より昼のほうが好き派ですね(笑)。照明はついてるんですけど、何か光ってるなって感じでしかないから、開放感が凄いというかね。普段はオープニングも暗いし、いつまでも暗いじゃないですか(笑)。だから新鮮な気持ちでできるんですよ。意外とステージとバックヤードの境界線があまりなくて、そのままスッと出られる感じがあったりね。
麗(Gt):<KUBANA>っていうロシアのフェスに出たことがあって。海外でフェスってそれっきりだと思うんですけど、お客さんのノリがすごく記憶に残ってるんですね。「Filth in the beauty」をやったとき、ギターのリフだけになるところで、肩車をしている女の人……正確には女か男かわからないけど(笑)、とにかくその人が演奏に合わせてエアギターをやってて。そういう光景って、何かくるものがあるというか、印象的でしたね。
RUKI:<KUBANA>のときは、リハをやってたらスタッフが踊ってるっていう変な感じもありましたね(笑)。
葵(Gt):でも、野外はやりにくいんですよね。たいていは夏だから、昼間とかは、結構(ギターの)ネックがグニョっとするイメージなんですよ。温度や湿度とかに楽器自体が弱いんで。あとはステージの床がベコベコだったりして……あれは何ででしょうね? だから、基本的に野外って足が疲れるイメージなんですよね。
──確かに舞台の硬さは演者にとっては、重要なポイントの一つではありますね。
葵:僕ら基本的にステージはいつも同じようにしたいタイプなんで、ちょっとした変化でもやりづらさは感じるんですよね。時間帯によっては西陽も凄いし。でも、開放感は抜群にありますよね。とはいえ、前回の<BURST INTO A BLAZE>は雨が降ってて、花火を打ち上げたけど、まったく見えないっていう。そういうほろ苦い思い出が(笑)。
REITA(Ba):まぁ、野外ではそこまで回数をやってないんで、あまりどうだってないんですけど、やっぱりいつものツアーとかで見える景色とは全然違って開けている、そういう気持ちよさはありますよね。そのイレギュラーな環境が楽しいというか。単純にずっとやりたかったんですよ、野外でのワンマンは。本当は冬もやってみたいんですよ。(空気が乾燥しているため)何か音がよさそうだなって。
──寒いじゃないですか(笑)。
REITA:いや、寒いけど(笑)。確かに最初の3曲ぐらい手が動かなかったら困るけど、生きているうちに1回はやりたいなと。
──雪原などで実現できたら、それはまた壮大な景色になりそうですよね。今回はどのようなライヴになりそうか、現段階で見えているものもありますか? 具体的にはこれから詰めるところかもしれませんが。
RUKI:でも、いつもよりは準備は早いかもしれないですね。たいていは1ヶ月前ぐらいとかに、ようやくステージの打ち合わせができたり、ギリギリのスケジュールで動いてるんですけど、今回は珍しく前のめりでやってる感じはありますね。ライヴの内容はこれからですけど……今、投票とかもしてるんですよ。
──ええ。演奏して欲しい曲を、ファンからリクエストを募っている段階ですよね。
RUKI:そう。でも、その投票結果にすごく賛否両論があるというまさかの展開で(笑)。以前なら、昔の曲がグンと上がってくるんですけど、最近の曲がわりと上のほうにいたり……「DOGMA」とか、ここ最近の曲は<KNOT FEST>ぐらいからしばらくやってなかったんで、そういう状況になってるのかなぁという印象。そこは意外でしたね。
──でも、the GazettEのアグレッシヴさやダークさを追究したアルバム『DOGMA』が、当時のツアーを経て、よりファンを惹きつけているとも解釈できそうですよね。
RUKI:何か聴きてぇなと思うんですかね? でも、富士急の昼間に(あのダークな曲は)どうなんだろうって(笑)。でも、新しいものが一番よしとされるのだとすれば、自分たち的にはいい傾向かなとは思うんですよね。とはいえ、ライヴ的には一応、オールタイム・ベストと謳っているので、わりと総なめできる感じにできればなと思ってます。
戒:ある程度は予想していたところでもあるんですけど、最近の曲が上位に来ている理由も考えてはみましたけどね。曲が持つパワーかもしれないし、自分たちがライヴでこなしてきたことに、何かあるんだろうなって。