インタビュー/フジジュン
──4月より始まる約2年ぶりのワンマンツアーを控えたDragon Ashですが。今日は“ビクターロック祭り”終了後の取材で、2016年の初ライブだったそうですね。
BOTS はい、楽しかったです。大きいところは気持ち良いですね、スッキリしました。
桜井誠 僕らもビクターの古株になってきましたから、ちゃんとやらないとという気持ちもありつつ。3年連続でこのイベントに出させていただいて、イベントへの思い入れも出てきました(笑)。今、ビクターはすごい良いバンドがたくさんいて。所属バンドだけで、大きなフェスが出来ちゃうんじゃないか?くらいのラインナップが揃ってますからね。
──短い時間ではありましたけど、会場に圧倒的な熱量が凝縮していた感がありました。
桜井 ロック祭りですからね。ウチらみたいなバンドが熱を持って、真ん中で祭り囃子をガツンと鳴らしてあげるというところで、役目は果たせたんじゃないか?と思います。
──今日のようなイベントだと、ワンマンの時とはステージに臨む気持ちも違いますか?
HIROKI ワンマンは時間が圧倒的に長いですから、イベントは短い時間を勢いで一気に行くというところでやっぱり違いますね。イベントは短い時間ですけど、気合いが入りまくってるので、疲れはワンマンを2時間やった時とあまり変わらないんです。
Kj 俺はどっちかっていうと、ワンマンより対バンの方が好きですね。ワンマンはあんまり自分からはしたがらないです。みんなで「ツアーしようよ」って話になったらしますけど、自分から言ったことはなくて。やったら楽しいけど、イベント形式の方が楽しいですね。
──一緒にステージに立つ仲間やライバルがいた方が燃えますか?
Kj うん。あと、長くやるのが趣味じゃないというか。どっちかと言ったら、対バンでストロングポイントを出し合う方が好きですね。
BOTS 僕は逆にワンマンの方が好きですね。日本武道館でやった時も、そこに向けてみんなで練ったりする部分も多いので。そういうところにやり甲斐を感じるし、やり込んだからこその達成感もあって。ワンマンの作り込んだ感じ、やり込める感じは好きです。
──ダンサーお二人はいかがですか?
ATSUSHI 僕は短い長いは関係ないです。ワンマンの方が色んな表現があるし、世界観が作りやすいので、その楽しさがありますけど。フェスはより分かりやすく伝えるってことを意識して、それはそれで楽しかったりするし。
DRI-V 僕もどっちも好きですね。今日のようなイベントだと、「初めて見る人をどう取り込んでやろうか?」みたいな気持ちも強いし。ワンマンだと、Dragon Ashを好きで、細かいところまで隅々見てもらえる感があるので。演出に合わせて、どう見せていくかを考えるのは面白いですね。
──なるほど。そして4月から始まるワンマンツアー。今回はリリースツアーというわけでもありませんが、一体どんな経緯で企画されたツアーだったのでしょうか?
桜井 最初、Zepp Fukuokaが閉まっちゃうということで、「最後にやりませんか?」というお話をいただきまして。僕らも思い入れのあるハコだったので、「じゃあ福岡をファイナルにして、ワンマンツアーをやらないか?」という話になって。
──着地点が最初に決まって、そこに繋がる色々が決まったんですね。2年ぶりのワンマンツアーですけど、メンバーの中でそろそろツアーをやりたいという話もあった?
桜井 そうですね。ただ、リリースがあってからツアーをやるのが望ましくはあるので。どうしようか?って話にもなったんですけど、今回はイレギュラーな形でやってみるのも良いんじゃないか? と。そこでもともと、2016年は作品制作も動こうという話があったので、ツアーに合わせて新曲を披露出来ればと。
──ツアーのトピックスとして、“東北ライブハウス大作戦”により建てられた、石巻BLUE RESISTANCEでのライブが予定されていて、これは現在のバンド編成となってから、最も少ないキャパでのライブとなります。
Kj 石巻BLUE RESISTANCEは俺が行きたいって言ったんです。東北ライブハウス大作戦で行ったけど、Dragon Ashではまだ行ってないので。最初、3本くらいのツアーで良いんじゃないか?って言ってたんだけど、いざやるとなったらだんだん本数も増えていって。「だったら、石巻も行きたい」って俺が言って。この大所帯であの狭いライブハウスに行くというのは金銭的に言ったらすごい苦しいんですけど、やることに意味があるし、Dragon Ash史上最大の小箱なので楽しみですね。
──どれくらいのキャパになるんですか?
Kj パンパンで200人いかないくらいですよ。ステージもそのままじゃメンバーが乗り切らないから、ちょっと客席側に出してとかだと思うんですけど、どうしてもDragon Ashで行きたかったんです。石巻Oneparkではやれたので、もっとゼロ距離でやれればって。
ATSUSHI 僕らもちゃんと踊りを見せてとかじゃないと思うし、狭いライブハウスだからこそ伝えられることがあると思うので、熱量が伝えられたら良いなと。
Kj 配線とか、足りるのかな?(笑)
桜井 でも、そういうのを「どうする?」ってみんなで考えながらやることで、新しい発想が出たりするから。それがいいじゃん。
──KenKenさんもBLUE RESISTANCEでのライブは初めてですか?
KenKen 初めてです。僕もOneparkは行きましたけど、石巻はいつも、なんとか元気を与えようとして行くと、元気を与えられて帰って来てしまって。前回よりも倍のパワーで、何か置いてこられれば良いなと思ってます。
──しかし、Zepp Fukuokaの話もそうですが、ライブハウスが減っていくのは悲しいですね。
KenKen バンドの数は増えてるのに、ライブハウスがどんどん減っていて。大箱が無くなっていくと、こういう人数いるバンドが行き場所を失っちゃうから、厳しい時代ですよね。今、時代が移り変わる過渡期だと思うんですけど、だからこそやり続けてる人たちが貫いて、しっかり発言していかなきゃいけないと思っていて。僕がDragon Ashでやり始めて4年くらいですけど、この人たちは続けてきたことのプライドは日本一だと思ってるので。大きいハコだけでなく、小さいハコにも出演して、しっかり盛り上げて。それが出来るのってすごくカッコ良いことだと思うし、結果、それが底上げになれば音楽冥利に尽きるかなと。
──そして新曲の披露もひとつトピックスになってますが、アルバム『THE FACES』から約2年。その間に新曲制作やその原型になるものを作ったりというのはあったんですか?
Kj “新曲を引っ提げてのツアー”って前面に出ちゃってることに驚いてます(笑)。間に合ったら超アチィな!くらいで。
──え、そうだったんですか!?(笑)
Kj でも、言っちゃってるからには、絶対作んないとダメですよね(笑)。前回、これが最後でも良いくらいの気持ちで『THE FACES』を作ったんで、その後すぐに新曲を作る気にはなれなくて。ソロもあったから曲は日々作っているけど。
──やはりソロの曲を作る時とDragon Ashの曲を作る時は、最初から気持ちが違う?
Kj そうですね。でも、それってソロをやる人はみんなそうなんじゃないかな?
──ではソロを経て、Dragon Ashにどんな物を持ち帰れるかも、まだ全然見えない?
Kj 分からないです。エフェクターとかは買いだしてますけど、その程度ですね(笑)。
KenKen 意外ともうすぐだから、作らなきゃいけないんだろうけどね。
桜井 乞うご期待!じゃないですけど、なんとも言えないところなので。楽しみにしてて下さいという感じですね。
──最後にワンマンツアーで楽しみにしてること、意気込みなど聞かせて下さい。
KenKen う~ん、良い演奏をするということしか考えてないかも知れないですね。
桜井 ライブをやる時の心構えはいつもそれだけですよね。ここから演出面を詰めたり、リハに入ったりする中で見えてくることもたくさんあると思うので。ライブやる以上は、来てくれたお客さんにしっかり楽しんでもらえるライブをやるだけですね。
BOTS 演出面に関しても、ちょっと変わったことをやろうって話もこの間出ていたり。いつもワンマンのタイミングで衣装を変えたり、新しい機材を取り入れたり、照明を変えたりという新しいことを取り入れたりはしてるので、Dragon Ash通の人はそんなところにも気付いてもらったり、楽しんでもらって。
KenKen 単純に2年ぶりのツアーというところで、意識せずとも勝手に進化してると思うので。自分たちもそこに気付きながら、楽しんでツアーをやりたいと思っています。
Kj 久々のワンマンだし、Dragon Ashで行ったことのない会場もあるんで、それも楽しみだし、フェスやイベントでは見せ切れない幅を久々に見て欲しいと思うし。自分たちはライブバンドだと思ってるんで、長尺でそれを証明したいと思っています。