
「俺たちの××」みたいなのが、強いバンドだと思ってる(木下)
──木下さんは、Base Ball Bearの『Lyrical Tattoo』は聴きました?
木下はい。まず、音がすごくいいなっていうか。すごくギターが鳴ってるよね……小出くんが意図してることなのかどうかわかんないけど、俺、聴いて、ちょっとくるりを思い出したっていうか。
木下くるりがロックンロールを鳴らしてる感じの気持ちよさに、ちょっと近いようなイメージを、僕は受けた。
小出あ、ちょうど、今度放送の『EIGHT JAM』のくるり特集に、僕、出てるんです。(※3月8日放送回。この対談は3月2日に実施)
木下ああ、次週予告、観たよ。やっぱりなんか影響はあるんだ?
小出いや、でもね、くるりから音楽的には影響を受けられないんですよ。くるりから影響受けるの、むずくないですか?
小出でも、くるりが他の日本のバンドと違っていて、めちゃくちゃいいなって思ってる一点は、ずっとギターの音、いいんですよね。
木下それなのかな。鳴りがすごくいい。他のバンドを聴く時、普段は鳴りとか気にしないで曲として聴くけど、くるりは「鳴りがいいな」って感じる。
小出近年は、自分にとって、その「鳴り」がすごい重要なんですよ。それはライブもそうだし、スタジオで作る作品もそうだし。自分が憧れてきたバンドの音に……真似したいってわけじゃなくて、なんでそれが好きなのかって考えたら、その「鳴り」が好きだから、っていうのが大きな理由で。ジョイ・ディヴィジョンで言えば、あの人工的で冷たい鳴りが好きなんですよ。あるいは、くるりで言えば、ギターのアンプからこういう音が出てるんだ、っていうのがはっきりわかるじゃないですか。
小出ギターって生楽器なんだな、みたいな、それを感じられるのがすごい好き。自分たちも、人数が少ない、同期のない(=バック・トラックを使わない)バンドをやってるから「人間が鳴らしてるんだよ」が感じ取れるようにしたい、っていうのはありますよね。
木下だから、どの曲を聴いても、音響っていう面でも、すごくグッとくるものがたくさんあったね。Base Ball Bearは、そういう面でも評価されていいんじゃないのかな。

小出ありがとうございます。木下くんは、今は、何がいちばん大事になっています? 作品作りとか、レコーディングで言うと。
木下ずっといちばん大事なのは、曲がいいかどうか。それ以外はなんとでもできるから。曲がよくないものは、どうしようもできない。
小出木下くんの中で「曲がいい」はどういうポイント?
木下自分の中の琴線に触れるものじゃないかな。さっき、メロがいいって言ってくれたけど、そういうものであったりとか……歌詞はね、しんどい作業なんだけど、それも全部含めて、「あ、ちゃんと俺の音楽だ」って思えるかどうかが大事です。だから……俺、生き残ってるバンドとか、かっこいいなって自分が思ってるバンドは、「俺たちの××」みたいなのが、強いバンドだと思ってるのね。たとえば、昔だと、ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)とか、ブランキー(BLANKEY JET CITY)とか、ゆらゆら帝国とか、「俺たちのミッシェル」「俺たちのブランキー」みたいなのが、あったし。それは、けっこう大事にしてるかもわかんないな。「俺たちのDOPING PANDA」も、あるしね。
木下それってやっぱりね、そのバンドの強みなんだよね。Base Ball Bearもあるよ、ちゃんと。「俺たちのベボベ」だって、ファンの人が思ってくれるんだろうな、という感じはあるよね。今回のトリビュート・アルバムに参加してくれたバンドとの対バンシリーズを、今やってるんだけど、この間ね、LOSTAGEとAge Factoryとやった時に(2月25日、梅田クラブクアトロ)、それこそほんと、「俺たちの」の集まりだった。だから、やっぱり間違ってないな、と思った。
小出それはね、僕も一緒なんですよ。結局、残っていく人は、いろんなことを器用にできるっていうより、個人でも、バンドでもニンが強い人。他とは替えが効かない、毒とかアクがあって、それが煮詰まって濃くなった人たちが、残ってるんだろうなって思う。

木下たとえばね、GRAPEVINEの新しいアルバム(『あのみちから遠く離れて』)の中に、ギターの音がすごいいい曲があって。
木下そのMVのYouTubeのコメントを見てたら、「俺たちのアニキの音だ!」って書いてあってさ。
木下やっぱりこれなんだな、ロック・バンドってそこからは逃げられないよね、って思って。逆に言ったら、今ってそういう「俺たちの」みたいなバンドって、少ないのね。
木下ヒップホップの人たちとかの方が「俺たちの」を感じることが多くなってるのは、残念ではあるけどね。
小出ただ、自分らぐらいまでの世代は、「俺たちの」っていうバンドが、すごい多い。9mm Parabellum Bulletとか。the telephonesとかもそうだし。なんか、独特な進化をして行っちゃった人たちっていうか。
小出僕らが下北でやってたくらいの時に、メジャーに行った人たち。ART-SCHOOL、ストレイテナー、ACIDMAN、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とか。こういう先輩たちが今もずっと残ってるのは、結局そういうことなんだろうな、って思ってるし、それを追っかけたいなってずっと思いつつ。やっぱり去年、活動休止とか解散、多かったじゃないですか。the pillowsもそうだし、TRICERATOPSもそうだし、フジファブリックもそうだし。
小出それがすごく寂しかった。だから、ART-SCHOOLが新作を出して、トリビュート・アルバムを出して、すごい元気に対バンシリーズをやってるのを見ると、うれしいんですよね。

Base Ball Bearは、最初に会った頃に受けた印象と変わってない。さわやか、キラキラしてる(木下)
木下……思い出した。「DOPING FUJI SCHOOL」で、Base Ball Bearも一緒にやったもんね。(※2005年2月~8月に、ART-SCHOOL / DOPING PANDA / フジファブリックが行ったツアー。Base Ball Bearは最終日の8月3日郡山の公演に、オープニング・アクトで出演した)。
小出そう。フジファブリックがね、休止しちゃったから、「DOPING FUJI SCHOOL」できねえじゃねえか! と思って。せっかくドーパンが再結成したのに。
木下この間、ドーパンとはやったけどね。(2月8日、リキッドルーム)
小出次やる時は、ちゃんとオープニング・アクトで呼んでくださいよ。
木下(笑)。もうオープニング・アクトっていうキャリアじゃないだろ。
小出いやいや、先輩から見たら後輩だから。呼んでくださいよ。
木下呼びますけど。ちゃんと対バンで呼ぶよ、それは。
小出いやいや、僕は「DOPING SCHOOL」が観たいから。それを邪魔したくないんで、オープニング・アクトで、前座で。

──ART-SCHOOLは、さっきもおっしゃったように、トリビュート・アルバム『Dreams Never End』に参加したバンドと共演するシリーズ・イベントを、去年の10月から始めていて。今日(3月2日)の段階では、5本目まで終わっていて、6本目と7本目=3月18日KT Zepp Yokohamaでアジカンと対バン、4月3日Zepp HanedaでMO’SOME TONEBENDER・syrup16gと対バン、の2本が控えている状態ですが。そこで終わり?
木下いや。これからも続きます。詳しくは、もうすぐ発表になると思います。
木下楽しいは楽しいけど、ホスト役は気ぃ遣いますね。意外に僕、気ぃ遣うんで。やっぱり、呼ばれる方が気楽だよね。
小出でも、木下くんってほんとに、「愛され」の人じゃないですか。こんなにたくさんの人からリスペクトされて、愛されて──。
小出なんで? 気づいてないのはあなただけだよ? まわりはもう、この20年ぐらい、みんなあなたのこと大好きじゃん。
木下いや……でも俺はね、ほら、全部を失った時期が、ロストした時期があるからさ(※2019年3月から約3年間、木下の体調不良で活動休止した)。
木下あの時期、俺は、誰にも愛されてなかったと思うよ。
小出その時も、昔も今もみんな大好きだと思いますよ?
木下まあ、それはありがたいですよね。そういう経験もしたからさ。
小出で、素敵なトリビュートができて、共演ライブがあって。さすがに、ちょっと愛されてるな、みたいなのはあるでしょ?
小出どうでしょうね……自分もわかんないですね、確かに。ずっと陸の孤島だって思ってるから。自分のことを。
木下でもさ、最初に会った頃に受けた印象と、やっぱり変わってないっていうか。さわやかだなとか、キラキラしてるとかさ。いい意味のね。立川談志が、若い時の中村勘三郎に初めて会った印象が、「なんてさわやかな青年なんだろう」で、その印象が基本的にずっと変わらないままだったんだって。それって素敵だな、と思ってね。で、俺はね、Base Ball Bearに、同じことを思ってる。なんてさわやかな少年たちなんだろう、と。
木下今でも、そういうのがある。それはすごいと思う。それがBase Ball Bearの持ってる、すごい強みだと思う。
小出そうか……でも、若さをキープしていようとは全然思ってないんですけどね。
木下いや、だから、それを意識してもらったら困るんだよね。
木下意識して、そういうふうにやった瞬間に、色褪せるから。
──Base Ball Bearも、『Lyrical Tattoo』のリリース・ツアーがもう始まっていて。
小出2月15日の名古屋から始まっていて、7月11日の熊本まで。名古屋・大阪と終わって、今んとこいい感じなんですけど、次の3月19日の東京が終わったら、2ヵ月近くのお休み期間があります。5月15日の仙台から後半戦。このツアーのなかでサウンドも含めてアップデートしていきたいな、っていうのがありまして。アルバムを出してツアーをやる、っていうワンセットが、作品を自分らで捉え直すいちばんいい機会だし、ここから先の作品やライブの肥やしにしたいと思いますね。
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