D’ESPAIRSRAYが14年ぶりに再集結。「今の自分たちで過去のディスパを超える」その自信を裏付ける、メンバー全員インタビュー

インタビュー | 2025.11.04 18:00

2011年の解散から14年。デビュー前から日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパでも精力的にライブを行っていたD'ESPAIRSRAYが再集結。2026年5月4日(月祝)に「D'ESPAIRSRAY LIVE 2026『RAPTURE』」と題して東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマン公演を開催する。再集結の引き金になったのは、2025年11月15日(土)、16日(日)に千葉・幕張イベントホールで行われる「CROSS ROAD Fest」の初日への出演。新たにFCも立ち上げられ、結成記念日である9月9日にはオフィシャルYouTubeチャンネルの緊急生配信で、その経緯と心境が語られたが、本インタビューではフェスはトリガーにはなったものの、D'ESPAIRSRAYの始動は念願であり、満を持してのものだったことがKaryu(Gt)の口から明かされた。声帯トラブルを乗り越えて2019年からNUL.のボーカリストとして活動しているHIZUMI(Vo)を始め、Angelo、Luv PARADE、H.U.GのギタリストでもあるKaryu、Luv PARADE、THE MICRO HEAD 4N'Sのリズムセクションとして活動中のZERO(Ba)、TSUKASA(Dr)と多忙なメンバーではあるが、「夢半ば」と定義づけたD'ESPAIRSRAYへの本気は4人の言葉から伝わってくるはずだ。

夢半ばで解散しているので、いつか必ず続きをやりたいという気持ちは前から持っていました(Karyu)

──まずD'ESPAIRSRAYが再集結するキッカケになったいちばん大きな出来事から教えていただけますか?
HIZUMI11月の「CROSS ROAD Fest」に前に所属していた事務所の先輩の方々が多く出演するんですが、あのイベントに誘われたっていうのが大きいですね。自分は今、NUL.というバンドをやっているんですが、いちボーカリストとして、いろんなことに挑戦していきたいなと思っていたタイミングで話をいただいたので。
KaryuスタッフづてにHIZUMIが出る方向で考えてると話が来たんです。HIZUMI以外の僕たち3人はLuv PARADEというバンドで一緒にやっているのもあって、出演を決めるのに時間はかからなかったです。それと僕自身はLuv PARADEを結成する前から、ずっとD'ESPAIRSRAYをやりたいという気持ちがあったので、前から話はしていたんですが、タイミングが合わず、自分としてはHIZUMIが「やる!」って決断した時に動こうって。だから、今回は「ホントにやるの?」って。
HIZUMI「やりますよ」って。
──Karyuさんの中ではいつ頃からD'ESPAIRSRAYを再開させたいという想いがあったのですか?
KaryuAngeloが止まったタイミングで動かしたいとは思ってました。夢半ばで解散しているので、いつか必ず続きをやりたいという気持ちはもっと前から持っていましたね。
──ZEROさんはどう思われていたんでしょう?
ZERO解散してからも年1回会ったり、15周年を迎えた時にも話はちょいちょい出ていたんですが、個人的にはいつでもやりたい気持ちではいました。D'ESPAIRSRAYの場合、最後のライブもできない状態での解散だったので、ファンにとっても曖昧な終わり方になってしまったのが心に引っかかっていたんですよね。せめて1回だけでもライブをやりたいとずっと思っていたので。
──では、今回、想像以上の形になったんですね。
ZEROそうですね。
TSUKASA僕もタイミングがあればD'ESPAIRSRAYをやりたかったし、また海外に行きたいという夢があったので「CROSS ROAD Fest」の出演が決まった時は「また、みんなで出れる!」ってすごく嬉しかったですね。常々、D'ESPAIRSRAYのサウンドはカッコいいと思っていたし、パワードラムが自分をいちばん活かせるスタイルだと思っているので。
──D'ESPAIRSRAYはメジャーデビュー(2009年)のずいぶん前からドイツのメタルフェスに出たり、全米ツアーを行ったりと海外進出に積極的だったと思います。最初から海外を視野に入れていたんですか?
Karyu僕の勝手な夢だったんですが(高田馬場の)AREAでワンマンをやっていた頃から、海外を目指す想定で音楽を作っていましたね。
HIZUMI2ndシングル「眩惑」(2001年)が出たあたりですね。
Karyu僕、ギターをジャラーンと弾いた瞬間に「プロになるわ」って思ったぐらい頭のネジが外れていて(笑)、目標に向かって真っ直ぐ突き進むタイプなので、海外進出の夢は当初からメンバーにも話していたんです。それが功を奏したのか活動していたら海外公演の話が来て、挑戦できたんですよね。
──ツアーは全米だけですか?
HIZUMIヨーロッパも廻りました。アジアはツアーじゃなかったよね?
ZERO台湾ですね。
Karyuけっこう廻りましたよ。当時、まだヴィジュアル系のバンドが海外でやるのは珍しいことだったのでメディアでも取り上げてくれるし、D'ESPAIRSRAYの音楽も広がっていったのでいいタイミングで行けたなと。
──先駆者的な存在だったんですね。HIZUMIさんの中でもワールドワイドな活動はイメージの中にあったんですか?
HIZUMIそうですね。当時から海外に向けて動いていたので。
──ということは今回の発表に海外のファンからのリアクションも返ってきているのでは?
Karyuそうですね。
ZERO喜んでくれている人もいますし、活動している時に行けなかった南米のファンの方からも「来てください!」とか、いろいろ嬉しいメッセージが届きましたね。
TSUKASA最近はXでも日本語以外の方からのメッセージが増えてきて。
Karyu年月を経てライブに行かなくなったりしていたファンの方からもメッセージを貰えたりするので、その方たちにとってもいいキッカケになるといいですね。日本はもちろん、海外の方も含めてもう1回、一緒に楽しめたらなと思ってます。

誰かを立てるんじゃなくて、お互いに切磋琢磨ができるバンドだと思います(HIZUMI)

──なるほど。D'ESPAIRSRAYはデビュー後、HIZUMI さんの声帯治療により、活動休止を経て、2011 年6月に解散しますが、今、D'ESPAIRSRAYをみなさんはどんなバンドだったと捉えていますか?
HIZUMIいい意味で遠慮しないバンドですね。例えば、曲を作る過程で「こういうサウンドにしようよ」って意見が分かれたとするとメンバーと折り合いをつけていくじゃないですか。ディスパの場合は個々が自由に主張するので、ぶつかり合った末に生まれたのがこの曲です、みたいな。
──折り合わないんですね。
HIZUMIライブでも折り合わないことがいい方向に作用するんです。
──いい意味で緊張感のある関係ですね。
HIZUMIそうですね。ステージに立っていてメンバーがいつもと違うプレイをしたとすると「じゃあ、俺はこう行こうか」とか。誰かを立てるんじゃなくて、お互いに切磋琢磨ができるバンドだと思います。ライブが終わると全員、楽屋でへばってましたからね。
──全てを出し尽くすから。
HIZUMIはい。ある程度大人になると余裕が出てくるじゃないですか。
それがないんですよね。
──(笑)ペース配分とか考えないんですね。
HIZUMIそうですね。だからこそ、また新たに生まれるものがあるのかなと思ってます。
──Karyuさんは?
Karyu今の話に通じるものがあるんですけど、音楽の幅にしても枠を決めなかったバンドですね。ポップな方に振り切れる時もあるし、ダークな方向を突き詰める時もあるし。あと、当時、思っていたのは日本にインダストリアル系のバンドがあまりなかったので、そういう要素を融合させたのも制約なくやっていたからこそ生まれた個性なのかなって。
──1990年代でいうとトレント・レズナーだったり?
Karyuそうです。ナイン・インチ(ネイルズ)的な。デジタルサウンドを取り入れたバンドはもちろん日本にもいたんですが、D'ESPAIRSRAYはサウンド的にうまくアプローチできてたんじゃないかなって。そこに日本的なメロディが乗るので、自然と自分たちのスタイルができていったというか。

挑戦することを恐れないバンドですね、今も怖いものはないバンドぐらいに思ってます(ZERO)

──D'ESPAIRSRAYのサウンドで一言でヘヴィって言えないですものね。そこにゴシック的なロマンもエッジもある。ゴリゴリなだけじゃなく、繊細なイメージもありました。
Karyu枠を作らなかった結果かもしれない。ウチは「こういう曲はやりたくないんじゃないかな」っていうタイプの曲を投げてもやるバンドなので(笑)。
ZEROそう。「これはやらないな」と思って投げた曲を「やろうよ!」ってなったこともあったしな。
Karyu「振り切り過ぎたかな」って思ってもやる(笑)。
──ジャンルを含めてメンバーのキャパシティが広いんですね。
Karyu柔軟ですね。
ZERO結成当時からそうなんですけど、挑戦することを恐れないバンドですね。
それだけに失敗することも多いですけど、だからこそ学べることもありますし。
そういう精神を忘れないでやってきたバンドだと思います。
──だからこそ、果敢に海外に挑んできた。
ZEROそうですね。今も怖いものはないバンドぐらいに思ってます。

自分自身と戦っている4人が集まって、ドカーンと爆発するイメージです(TSUKASA)

──TSUKASAさんはバンドをどう捉えていますか?
TSUKASA自分自身と戦っている4人が集まって、ドカーンと爆発するイメージですね。だから、ライブで「激しいね」とか「迫力あった!」っていう感想が返ってくるのかなって。
──最初からファンを“マニア”と呼んだのもD'ESPAIRSRAYの姿勢のひとつだったんですか?
HIZUMI確かに“マニア”って言っている時点で間口は狭めてますよね(笑)。実際、当時、自分たちがやっていたことって流行っている音楽と比べてマニアックだなと思うんですよ。こういうバンドが好きになるヤツは「絶対マニアだろ」って。

SHARE

D'ESPAIRSRAYの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る