渋谷すばる、音楽人生第3章がスタート!フルアルバム『Lov U』とリリースツアーに懸ける思いを訊いた

インタビュー | 2024.10.15 18:00

今年8月にトイズファクトリーとの契約を発表した渋谷すばる。彼にとって4枚目となるフルアルバム『Lov U』は、12曲中1曲が彼の作詞作曲曲であり、それ以外はすべて提供曲である。その背景には、自身の制作した楽曲で3枚のフルアルバムをリリースした彼に湧き上がった「ボーカリストに徹したい」という欲求と、「ファンに喜んでほしい」という純粋な気持ち、彼の才能をさらに広く開花させたいという熱意を持った人々との出会いがあった。ギターロック、ポップなバンドサウンド、爽やかなダンスナンバー、ライブでシンガロング必至のシンセポップ、ミクスチャーロックテイストのユーモラスなナンバー、ロックバラードなど多彩な楽曲群で、渋谷のまっすぐな歌声が晴れ晴れと響く。音楽人生第3章に踏み出した同作とリリースツアーに、彼はどんな思いを懸けているのだろうか。
──2023年1月にデジタルシングル「ないしょダンス」をリリースしてから今作『Lov U』の先行シングル「人間讃歌」のリリースまで、渋谷さんはライブを中心とした活動を続けていました。この期間、渋谷さんと音楽の関係はどのようなものでしたか?
自分で音楽を作りたくて2019年に独立したんですけど、「ないしょダンス」以降は好きで仕方がない音楽すら作れない状況に陥ってしまって。
──それは音楽への情熱を失った、3枚アルバムを制作して燃え尽きた、というわけではないんですよね。
全然違う。むしろ音楽への思いがあったからこそ、音楽以外の問題がいろいろあって苦しんだというか。それで僕は心身が健康で自分に余裕がないと曲作りや何かを生み出すことができないタイプだと気づいたんですよね。ライブをやることでなんとか気持ちを保ってはいたけれど、ずっと新作も出せないまま既存の曲でライブを重ねていました。
──その期間に、いま一緒にチームを組んでいるトイズファクトリーの方と出会ったそうですね。
いちばんどん底の状態だったときですね。それでも音楽への思いはあって、「次にやるべき新しい表現は何だろう」と常に探し続けてはいて。そんなときにライブのリハで入ったスタジオの隣の部屋にトイズファクトリーのスタッフさんがいらっしゃって、僕のスタッフがその人と知り合いだったんです。そこでご挨拶をさせていただいたときに、ぼんやりと「これがいい出会いになったらいいな」とは思っていました。
──その結果、渋谷さんの「次にやるべき新しい表現」への欲求と、トイズファクトリーの皆さんの提案が、うまくかみ合ったということでしょうか。
トイズファクトリーのスタッフさんは、僕がアーティストとして広がるために、いろんな提案をしてくださったんですよね。僕は独立してから「ロックンロールが好きな人のアルバムだね」「ロックンロールがやりたいんだね」と言われることが多かったんですけど、自分としてはロックンロールを作ろうという意識はなくて。ただその時その時の新鮮な自分で音楽を作っていった結果、そういう作品になっただけなんです。
──渋谷さんは常に、新鮮な気持ちで音楽をしたいと。
だから今も昔も常に「なんか面白い、新しい発想ないかな」と考えているんです。自分でアルバム曲を作っていたときは、歌だけでなくサウンド面やアレンジ面、このメンバーだからこそ出せる音色とは何かとか、いろんなことを考える必要があって、それに充実感もあったし勉強にもなって。ただ常に「ただ歌うことに徹してみたい」「変化を取り入れたい」という思いはどこかにあったんです。トイズファクトリーさんと話すなかで、その思いが叶いそうな予感がしたんですよね。
──『Lov U』のボーカルがどの曲ものびのびとしているのは、そういう背景があったからなんですね。腑に落ちました。
自分のやりたいことができました。あとやっぱり僕はファンの方はもちろん、一緒にやってくれる人たちにも喜んでほしいし、みんなを「すげえ!」って言わせないといけないなと思っているんです。トイズファクトリーさんは今まで僕がやってこなかった表現を提案してくださって、それに対して僕は「いいものを届けたい」という一心で返して、そしたらトイズファクトリーさんもそれに対していろんな案を出してくれて。その相乗効果でできあがったアルバムだと思っています。

──なるほど。渋谷さんの周りの人へ向けた感謝も今作の根底にあるということですね。
これまで3枚のアルバムはひたすら自分自身に向き合って曲作りをして「自分の今やりたい表現はこれです。どうですか?」とお披露目する感じだったけど、今回は人との関わりで生まれたアルバムだなと感じます。とにかくファンの皆さんに喜んでもらいたい、楽しんでもらいたいという思いが大前提にあったし、「渋谷すばるで遊んでください」とお願いをして作っていただいた楽曲からは作家の皆さんの思いや愛情をすごく感じて。だからそれを歌でちゃんと返したかったし、返せたと思っています。
──では渋谷さんにとって『Lov U』は新しいことができたという感覚でしょうか、それともずっと抱えていたものがようやく出せたという感覚でしょうか。
今までやってこなかった表現だから新しい感じもするけど、もともとグループ時代は提供していただいた曲を歌うことがほとんどで……でも『Lov U』の曲を歌いながら過去に戻った感覚はなかったんです。独立して、いろんなことがあって、新しい出会いがあって。いろんなことを経た新しい自分の表現が作れたなと思いますね。
──いまおっしゃっていただいたことがダイレクトに伝わるのが、先行リリースされた「人間讃歌」と「君らしくね」だと思います。この2曲のボーカルを聴いて真っ先に思ったことが「ああ、すばるくんだ」だったんですよね。子どもの頃から一視聴者としてずっと知っていた“すばるくん”と、大人になって出会ったような感覚があって。
ああ、それはすごくうれしい。そういうことがやりたかったんです。変化を求めてはいたけれど、まったく別人ぐらいのことをするのも違うと思ったし。こういうことができるようになったのも、3枚アルバムを作ったからなんです。自分の作る曲を歌う僕から離れていく人がいることもわかっていたけれど、当時の僕は自分の責任下で自分の表現をある程度のところまでやらないとどうしようもなかったから。

渋谷すばる - 君らしくね(Official Music Video)

──アーティストとして変化を求める気持ち、ボーカリストとしての欲求、トイズファクトリーの皆さんとの出会い、ファンへの感謝を音楽で表現すること、すべてのタイミングがばっちり合ったのだと思います。
だから今回ですごく自由になりましたね。アルバム全部を自分の曲にしなければいけない決まりもないし、いつだって自分で曲は作れるし。これからは自分だけではできないことをやらせていただける環境があるならやらせていただきつつ、自分で曲を作るなら作って、いいものができたら入れてもらえるのかなと思っていて。今がいちばんいい状態で音楽活動ができていますね。……何度も折れそうになったけど、自分の意志をとにかく貫き通してよかった。頑張ってきてよかったです。

公演情報

DISK GARAGE公演

渋谷すばる LIVE TOUR 2024 「Lov U」

2024年11月3日(日祝)愛知・日本特殊陶業
2024年11月24日(日)兵庫・神戸国際会館
2024年1215日(日)上海・SHANGHAI RED ROCK CENTER
2024年12月24日(火)埼玉・三郷市文化会館
2024年12月25日(水)埼玉・三郷市文化会館

チケット一般発売 2024年10月18日(金) 20:00

RELEASE

『Lov U』(TOY'S FACTORY)

New Album

『Lov U』(TOY'S FACTORY)

2024年10月16日(水)SALE
※初回生産限定盤[D+BD+Lov U Special Photo Book(28P) デジパック仕様]

※通常盤[CD]
  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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    撮影

    たたみ

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