ハナレグミ、インタビュー【前編】。たくさんの出会いを熱量に、その時々を軽やかに刻んだアルバム『GOOD DAY』のこと。

インタビュー | 2024.09.25 12:00

ハナレグミ、3年半ぶりのニューアルバム『GOOD DAY』、2024年9月25日リリース。9曲収録で、1曲目はイントロダクションなので実質8曲。
CDシングルにしてライブ会場限定で発売した「ビッグスマイルズ」と「Blue Daisy」、NHK夜ドラ『ミワさんなりすます』の主題歌として書いた「MY夢中」、ボーナストラックとして収録された、JR東海のCMで歌った「会いにいこう」、以上の4曲が既発の曲で、「雨上がりのGood Day(feat. iri)」「チキンカチャトラ」「どこでもとわ」「Wide Eyed World」の4曲が、このアルバムで初めて聴ける新曲なのだが。「シングル以外の4曲」じゃない、これ。4曲が4曲ともシングルレベルの曲。特に「雨上がりのGood Day(feat. iri)」がヤバい。
というのは、どうヤバいのかについて、そしてそれ以外のいろんなことについて、あれこれ訊いたのが、以下のインタビューです。なお、今回はその『GOOD DAY』がテーマ、次回はライブとツアーがテーマの、前編・後編の二本立てインタビューで、お届けします。

ライブに向けて曲を書く、短いゴールに向けて曲を捧げる、っていう方が、今に合ってる

──3年半ぶりのアルバムだそうですが。
永積 崇はい、そうきいております(笑)。
──永積さん的には、アルバムって、出せと言われなかったら作らないもの?その間に、単体の新曲は、何曲も出しているわけだし。
いや、意外と、たぶん、出せと言われなくても作ってました。っていうのが、最近ライブ会場でしか買えないCDっていうのを、前作「発光帯」からやってて。
──このアルバムの「ビッグスマイルズ」と「Blue Daisy」も、それぞれライブ会場限定シングルとして出した曲ですよね。
そうです。それがけっこうおもしろくて、作っていて。やっぱり、ライブに向けて曲を書ける、短いゴールに向けて曲を捧げる、みたいなのがよくて。その方が、今に合ってるっていうか、アルバムに向けて一気に何曲も作ってドーンと出す、っていうのが、なんか、世の中の空気と合っていない気がして。だったら、曲ができたらその都度、世の中に……特に、自分の活動を待っててくれる人たちに出していくっていうのは、自分的にもモチベーションが上がるんですよね。だったら配信で出してもいいんだけど、先にCDにしてライブ会場限定で出す、というのがいいなと思って。自分も、好きなアーテイストは、CDを買ったりヴァイナル(アナログレコード)を買ったりするし。それで生まれる関係性を、ちょっと信じてるとこもあるっていうか。自分が誰かのファンだったとして、そのライブ会場でしか買えない音源があると、楽しい気がします。
──3年半インターバルがあったとして、その最後の半年で曲を作ってアルバムを出すのだと──。
前はそうやって、数ヵ月ガッと集中して、一気に曲を作ってたけど、3年半の間に、いろんな気持ちの動きがあるじゃないですか。人との出会いとか。それをリリースする半年前まで貯めて、一気に作るのだと、なんか熱量が変わっちゃう気がするんですよね。出会ったその時に作る方が……今回も、いろんなミュージシャンの方と出会っていますけど。その時に一緒に作って、その都度曲がゴールする方が、自分としては辻褄が合っているっていうか。最近、ほんと出会いが多くて。自分より若い世代の、自分の音楽を聴いてくれるような子とか。そこで話をして、一緒に音楽を作るとおもしろそうだね、っていうので盛り上がって……このアルバムで言うと、(西田)修大とかそうだし。
──あと今回、ほぼ同世代だけど、御徒町凧さんと共作していますね。
彼とは、けっこう前から知り合いで。で、J-WAVEの両国国技館でやってる弾き語りのイベントで、(森山)直太朗と同じ日に出る時に、「1曲一緒に歌わない?」みたいに誘ってもらって。その時に、やるならカバーじゃなくて新曲がいいね、ってなって。御徒町が詞を描いて、僕がメロディを書いて曲を作ったんですよ。あと、V6の舞台の曲も一緒に作ったりしました。そういう流れで、よく詞の話をしていて……僕は、普段書き貯めてる言葉が、実はすごいあって。パソコンの中とか、ノートに書いたりとか、携帯にメモしたりとか。かなり膨大にあって、これらの中から曲を完成させたいな、ってずっと思ってたんだけど、何度トライしても、うまく完成しなくて。そこに風穴を開けてくれるような人と、セッションしながら作りたいなと……演奏のセッションと同じように、歌詞も人と投げ合いながら作れたらおもしろいんじゃないかな、と思って。それでそのメモを全部、彼に見てもらって。彼が投げられそうな言葉をその中から選んでもらって、構成していったのが「ビッグスマイルズ」なんですけど。

歌詞を書く人、言葉を紡ぐ人に、ものすごい興味がある

──歌詞は、共作したのが御徒町凧とiri、まるごと書いてもらったのが御徒町凧とマヒトゥ・ザ・ピーポー。あとJR東海のCM曲の「会いにいこう」は、用意された曲を歌う前提だったんでしょうけど、電通のクリエイターと劇伴のプロが書いていて。
うん。他の人の詞って気になるんですよね。前に「祝福」を書いてもらったYO-KINGもそうだし、曽我部(恵一)さんとか、あと写真家の佐内(正史)さん。佐内さんと曽我部さんがやっている擬態屋(曽我部の音楽と佐内のポエトリー・リーディングのユニット)がすごく好きで。だから正直、自分は詞に対してものすごい苦手意識があるんだけど、歌詞を書く人、言葉を紡ぐ人に、ものすごい興味があるんですよね。言葉って、どういうところから生まれてくるのかな、っていうことに、俺はもうSUPER BUTTER DOGの時から、ずっと囚われてるっていうか。言葉に対して、いいとか悪いって言える理由ってなんだろう?詩と歌詞の違いってなんだろう?人に届く歌詞ってなんだろう?っていうことに、すごい取り憑かれてるかもしれないですね。自分の音楽の、歌うこととか、メロディを書くこととか、アレンジとかの中で、いちばん囚われているのが歌詞で、すごく未知なのかもしれない。
──それは、SUPER BUTTER DOGの頃から現在まで、30年近くキャリアを重ねても、未知のままでわからない?
うん、一向にわかんないですね。
──人の曲をカバーするのが好きなのも、それが関係ある?
うん。やっぱり言葉って、歌うと身体に入ってくるし。あと、自分の中の感覚で歌っていて、メロディと言葉が超絶に合っている瞬間があって。これはいろんなとこで言ってるけど、いつもカバーしている、くるりの「男の子と女の子」の、「♪愛してくれよ 何ももて余さないで」っていう、あそこらへんの前後は、いつ歌っても感動的なんだよね。そういうものが自分の中を貫いていく瞬間が、いちばん、音楽をやっていて幸せというか……生きてる中の、喜びってあるじゃないですか。食欲とか、性欲とか。そういう全部の感動の中で、いちばん身体がすべて喜ぶのは、やっぱりそういう、メロディと、歌詞と、シチュエーションとかの全部が合って、そのワンセンテンスを歌える瞬間は、最高ですね。

公演情報

DISK GARAGE公演

ハナレグミ ライブツアー「TOUR GOOD DAY」

2024年10月24日(木)Zepp Fukuoka
2024年10月26日(土)Zepp Namba
2024年11月2日(土)Zepp Sapporo
2024年11月4日(月祝)新潟LOTS
2024年11月7日(木)Zepp Nagoya
2024年11月8日(金)広島クラブクアトロ
2024年11月14日(木) Zepp DiverCity(TOKYO)
2024年11月16日(土)仙台GIGS
2024年11月23日(土)沖縄ミュージックタウン音市場

MUSICIANSGt:石井マサユキ / KeyYOSSY / Dr:伊藤大地 / Bass:真船勝博 / Sax:武嶋聡 / Tp:類家心平

チケット一般発売日:2024年9月28日(土)AM10:00〜
イープラス
ローソンチケット
チケットぴあ
※販売会社によって、お取り扱い券種が異なります。予めご了承ください。

RELEASE

『GOOD DAY』

9th ALBUM

『GOOD DAY』

2024年9月25日(水)SALE

[初回限定盤] [CD+DVD]
税抜価格:6,000円 (税込6,600円)

[通常盤] [CD]
税抜価格:2,700円 (税込2,970円)

特設サイト

INFO

YouTubeLIVEトークセッション「ハナレグミのGOOD DAY TALK SESSION」9/25(水)21:30-生配信決定!

ニューアルバム「GOOD DAY」発売日当日、9月25日(水)21時半からリリース記念YouTubeLIVEトークセッション「ハナレグミのGOOD DAY TALK SESSION」の生配信が決定!
ニューアルバム「GOOD DAY」の制作背景や楽曲に込めた想い、さらに番組後半ではスペシャルアコースティックセッションも予定。

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター

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