昨年7月26日に、XAI FIRST ONEMAN LIVE 「TO THE MOTHERSHIP.」を成功させ、次のステップへと歩みを進めたシンガー・XAI。その後、ドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド(以下、ヘブバン)』から誕生したラウドロックユニット・She is Legendや、澤野弘之のプロジェクト「SawanoHiroyuki[nZk]」やTHE SPELLBOUNDのゲストボーカルとして参加したり、精力的な活動を見せている。そんな中、1月22日は5年ぶりの新曲「Rain Bird」をリリースし、4月23日には、XAI 2nd LIVE 「xaichic panic!」の開催も決定している。そんな彼女の“今”について、じっくり話を聞いた。
──昨年、待望の1stワンマンライブを行いましたが、その前後で音楽に対する考え方や感じ方に変化があったのではないでしょうか?
XAIより一層、自分の歌を聴いてくれる人がいることを意識していかなければいけないなと思うようになりました。以前から「誰かに求められて歌えているんだ」という気持ちは常にあったのですが、ワンマンの日は「自分の歌で心を動かしてくれる人がこんなにいる」、「私だけのために時間とお金をかけて来てくれる人がいる」と感じることができて。SNSを見ていると、「今日も辛いことがあったけどXAIちゃんの歌で浄化された」とか、「XAIちゃんの歌を聴いて仕事を頑張ろう」と言ってくれている方がたくさんいます。そういう方もライブに来て私の歌を聴いていてくれたのかもしれないと思うと、もっと良いものを届けられるアーティストになりたいと思いました。
──XAIさんはコラボでステージに立つことも少なくないです。ソロとフィーチャリングのステージの違いは感じていますか?
XAI全然別物ですね。例えば、ヘブバンや澤野さんとご一緒するライブだと、すでに船があって1クルーとして乗り込むイメージ。ワンマンは最初から最後まで自分がやり切らなきゃいけないので船頭。もしかすると私のライブを見て人生が変わったと言ってくれる人がいるかもしれない。その瞬間を作り出せるのは私だけなんだ、という思いでライブをしていました。
──歌との向き合い方も違いがありそうですね。
XAIそうですね。例えば、澤野さんとのステージの場合、シンガーとして澤野さんの曲を一番いい形で表現しようという気持ちです。ワンマンは、私が普段何を感じていて、何を良いと思っているかなどのアティチュード……というと大げさかもしれないですが、XAIというアーティストの姿勢を見せなきゃいけないという部分が大きいです。表現したいものの根本が違う、というか。
──歌い方も変わってくるのでしょうか?
XAIうーん、どっちも自分の歌声なので大きく変わることはないのですが、フィーチャリングのステージだと音楽を楽しめる感じがありますね。そもそも、私ってすごく恵まれていると感じていて、心から尊敬するアーティストの方と仕事をさせていただいているので、その楽曲を歌えることが楽しくないわけないんですよ(笑)。
──間違いないです! そして4月23日には2ndライブが行なわれます。どんな準備をされているのでしょうか。
XAI久しぶりにリリースした新曲「Rain Bird」を、一番いい形で聴いていただけるように準備をしていて。それと、今回『xaichic panic!』というタイトルをつけたのですが、お客さんに対しても良いパニックを与えられる内容を考えています。前回はライブで披露したことがない曲もすべて届けようというコンセプトだったのですが、今回は失敗するかもしれないけどたくさんチャレンジをする予定です。例えば、ギターの弾き語りをやってみる、アコギだけじゃなくてエレキも弾いてみる、とか。
──そのギターについてもお聞きしたくて。どんなきっかけでギターにちゃんと向き合い始めたのですか?
XAI元々少しずつ練習はしていたのですが、最近好きな音楽が変わったんですね。中野(雅之)さん(THE SPELLBOUND/BOOM BOOM SATELLITES)に曲をアレンジしていただいていた頃は「ロック最高!」と思ってロックやダンスミュージックを聴いていたのですが、最近はホーリー・ハンバーストーンなどギターを弾きながら歌う女性シンガーが好きになって。私もそういうパフォーマンスがしたいと思ってから頑張って練習を始めました。ヘブバンのライブでも「将来的にギターが弾けたらアツいじゃん!」みたいな(笑)。
──たしかにそれはアツいですね! そして、もう1つ気になっていたことがありまして。『xaichic panic!』が決定した時のコメントで「混乱と波乱の予感。そんな今のモードをタイトルにしました」とありました。もう少しその気持ちを細かくお聞きしたいな、と。
XAI前回は初めてのソロライブということもあって、自分の曲をしっかりかっこよく届けることに精一杯でした。それもあって、ステージ上ですごく混乱していました。しかも、お客さんがすごくホットな感じで盛り上がってくれて。例えば、She is Legendのライブだと「XAIちゃーん!」とか「今日もかわいいよー!」みたいな声をいただくんですけど、自分のライブでは「かわいいよー!」という声がもらえるとは思っていなくて(笑)。だって、私、ストイックな世界観の曲が多いんですよ。アニメーション映画『GODZILLA』のエンディングになっている曲も「生と死」みたいな。角張ったロックミュージックをやっていたので、まさか「XAIちゃーん!」という声が聞けるとは思っていなくて混乱していました(笑)。もちろん嬉しかったんですけどね。その時から時間が経って、今映像を見ると自分がすごく幼く見えました。それで、自分ってすごいスピードで変化しているんだなって。目にも止まらない速さで変化していて、どんな方向に転んでいくのかわからないと感じました。それを「混乱と波乱」という言葉で表現しました。
──なるほど。そんなファンの方に向けて、2ndライブに向けてカバーしてほしい曲を募集されていますよね。集まってきた曲を見て、感じることもあったのではないでしょうか。
XAI澤野さんとご一緒させていただいているので、澤野さんの曲をやってほしいというのは多いですね。あとは、私がSNSで発信していることをよく見てくださっていてガンダムの曲も多いかも。『ガンダムSEED』の「あんなに一緒だったのに」とか。よくファンはアーティストの鏡だと言いますが、私が好きな曲を好きでいてくれる方が多くて、シンパシーを感じるセレクトが多いです。わかっている人たちの選曲だと思います。
──もちろん、新曲「Rain Bird」も披露されると思います。この曲はGLIM SPANKY・亀本寛貴さんと制作されています。どんなやり取りがあったのですか?
XAIデビューした時から亀本さんが注目してくださっていて、SNSのフォロワーが300人くらいの時からフォローしてくださっていました。以前、ねごとの(蒼山)幸子さんに作詞をしていただいたことがきっかけで、アーティストの集まりに呼んでいただく機会があって、そこで私が作った曲を皆さんに聴いていただいて、アドバイスをくださいとお願いしたら、亀本さんが「すごいいいじゃん!」と言ってくださって。ちょうど楽曲提供やプロデュースもしていきたいと考えている時期だったそうで、一緒にやってみようという話が進んで、何曲か一緒に制作をしているのですが、「Rain Bird」は亀本さんがすべて作曲してくださいました。
──作詞はXAIさんが担当していますが、どんな部分にインスピレーションを受けて書いたのでしょうか。
XAIまず、5年ぶりの新曲ということもあって、XAIの歌声をきちんと聴いてもらえる楽曲にしようという話になって。それならバラードがいいよね、と。作詞に関しては、5年間待ってくれていた方、あまり活動がうまくいっていない時も待っていてくれた方への気持ちや、歌を届けたいという気持ちを歌詞にしました。でも、これ、実は途中で大きくリライトしたんです。レコーディングの数日前だったかな。私は言いたいことがありすぎて歌詞にたくさん詰め込んでしまったんですね。でも亀本さん的には音として見ていたようで、「メロディを際立たせる言葉選びにしよう」という話になってすべて壊して書き直しました。結果、より良いものができたと思っています。メロディも特にサビのメロディが好きで、しみじみ聴けるし、気持ちに寄り添ってくれるメロディだと思います。ぜひ聴いてみてほしいです。