──その、47都道府県ツアーの前にリリースされるのが、『BEST SET Ⅰ』『BEST SET Ⅱ』というベストアルバム。2枚組ではなく、2枚同時に出ます。
広田初めてのベストアルバムです。
江畑シングルだけのベストは出してるんですけどね。オールタイムベストは初です。
──確かに、シングル集ではないし、曲順も年代バラバラで、再録音もたくさんあって。選曲はどんなふうに?
江畑選曲は全員の挙手制で、ホワイトボードに書き出して。全部で160、170曲ぐらいあるんですけど、1曲ずつ「これ入れたい人?」って。
広田そうやってある程度出してから、バランスを見て。
江畑それじゃないと収まらなかったですね。自分で選んでいたら、50曲とか60曲入れたくなっちゃうから、票の多いものだけに絞って。でもそんなに難航しなかったですね。
広田ターニングポイントになった曲はやっぱり入れたいから、「モノローグ」「白い花」「イチバンボシ」「スポットライト」とか、そのへんはやっぱり入るでしょうと。
──KJさんは当時を知らないわけですけど、今ライブで弾いていて楽しい曲とか、そういう意見になるんですかね。
広田KJは、エイベックス時代の曲をすべて録り直してます。自分から「録りたい」と言ったので、それを尊重して。ただ、自分たちはわかるけど、聴く人がどれだけわかるのかな。ドラムも録り直しているし、兵衛の歌も全然違う。ベースも最近5弦になったので、以前の曲を5弦アレンジにしたりとか。どこまで伝わるのか、わからないですけど。
──「ここを録り直しました。歌い直しました」というのは発表していないんですね。それは逆に、クイズみたいで面白いかもしれない。
江畑そこはみなさんにゆだねたいですね。だって、歌い直したけど、自分でもあんまり違いがわかんないのもあるから。
──1曲だけ教えてください。たとえばどの曲?
江畑「Jelly」はあんまり変わらなかったですね。ミックスもし直したんですけど。
広田そもそもなぜ「Jelly」を録り直したかったのか、聞きたいですよね。
江畑エンジニアに言われたんですよね。「Jelly」は『non no』というアルバムに入っているんですけど、レコーディング当日に風邪気味で、でも僕はちょっと鼻にかかってかすれている声が気に入って、「これで行きたい」と言ったんですよ。でもエンジニアとして、ここの周波数が出ていないとか、いろいろあったみたいで、「もっといい歌になるから歌い直してほしい」と言われて、やってみたんですけど、自分ではあんまり変わらなかった(笑)。
広田僕は逆のパターンもあります。エンジニアが「ドラムは録り直さなくていいでしょ」って言うのに、僕が「お願いします!」って(笑)。今はライブでアレンジが違うし、やり直したかったんですよね。そういうものもあります。
──面白いですね。いちいちクレジットされていないようなので、みなさんぜひ、謎解きしてみてください。
広田発売されてしばらく経ったら、ネタばらしをするのも面白いかもしれないね。ファンクラブとかで言ったりとか。ただどんどん月日が経っていけば、何を録り直したのか俺らが忘れると思う(笑)。
江畑KJはわかりやすいよね。KJが入る前の曲は全部弾き直したので。
──「Dear friends」も、たぶん歌を録り直していると思うんですけど、この曲は『ONE PIECE』のエンディングだったし、すごく存在の大きい曲ですよね。
江畑そうですね。だからなるべく(音源に)寄せましたよ。ずっとライブで歌っている歌い方があって、音源とは違う感じになっているんですけど、それもエンジニアから指摘を受けて。 TRIPLANEの中では有名な代表曲と言われるものだから、「元の歌い方に寄せた方がいいんじゃないか」と言われて、聴き直してから歌いました。どんな歌い方をしていたのか、忘れてるから(笑)。
広田わかんないよね。「Dear friends」は再録したものを先行配信しているんですけど、ファンの方も「何が違うんだろうね」いう方も多いんじゃないですかね。
──あと、20年も経つと、最初の5年間聴いていて、そのあと子育てで忙しくなって聴いてなかったとか、そういう人もいますよね。仕事が変わったとか、転勤したとか、いろんな生活環境の変化もあったりとか。
広田コロナがきっかけで4、5年ぶりにライブに来ましたという人も、最近めちゃくちゃ多いですからね。今は20周年ということで盛り上げているので、SNSでちょっとでも目にしたら「あ、行こうかな」と思ってくれてる人もいるかなと思いますけどね。
──安心してください、やってますよ。TRIPLANEは。
広田「こいつらまだやってるんだ」と思ってる人もいると思うし。
江畑いるだろうね。媒体の人も、一般の人も、「なんか久々に見たぞこの名前」とか。でもそれは財産ですからね。「嫌いだったけど、聴いてみよう」もあるかもしれない。
広田嫌いだったのを覚えてくれてたら、もう勝ちだよね。
──もう1回出会い直すチャンスですよね。
広田僕たち、意外とネガティブじゃないんですね。もちろん悩んだりすることはたくさんあるんですけど、基本はちゃんと前を向いてる感じがあって、それがメンバーそれぞれの力になっていると思います。
──書き下ろしの新曲についてはどうですか。「恋、ヤめます。」と「付き合ってなんかないけど」の2曲。
江畑今回の新曲は、2曲とも僕のメッセージという感じではなくて、TRIPLANEをもうちょっと多くの人に知ってもらうために、今どういう新曲がいいのかな?という感じで作ってます。ベストアルバムに自分たちのメッセージを入れて、結果「自己満足でした」で終わるよりは、広がる可能性を秘めたものを入れたいという、今僕らがまさに活動している方針に沿って作ったというか、それこそTikTokで引っかかってくれないかなとか、そっちに意識が寄っているので。
──はい。なるほど。
江畑もちろん色々考えたんですけどね。大事なベストアルバムだし、20年の集大成みたいな、バンドのカラーを打ち出す楽曲というのも考えたんですけど、ここがゴールじゃないし、卒業アルバムでもないので。通過点としての位置付けで新曲を作ろうと思って、この2曲をピックアップしました。
──どちらも切ない別れのラブストーリーで、絵が浮かぶようなドラマ性がありますよね。歌詞にもサウンドにも。
江畑計算といえば計算なんですけど、TRIPLANEというバンドの価値をもっと高めるための2曲だなと思います。やっぱり結果を出したいというか、もっと評価されてファンが増えてもいいポテンシャルを持ったバンドだと自負していて、結果が伴っていないことをずっとこの20年感じているから、それはもう飽くなき探求心で続けるしかないので。いつ「夢が叶った」と思うのか、どのステージに立てた時に思うのかはわからないですけど、このままじゃ死ねねえぞという感覚でずっと走っているから、もっとリスナーを増やすために最善のことをやろうという感じでしたね。そこはみんな同じ気持ちだったんですよ。
広田そうだね。ここでガツガツの応援ソングという感じでもないし。
江畑♪オレたちは~、20年も~(笑)。あと、ファンに向けた感謝の曲とかね。そういうふうに狭くしたくなかったんですよ。だってそこはもう、ここ(新曲以外の曲)でたっぷりやってますからね。だから新曲は新たなリスナーに向けて書いたという感じです。
広田20周年のベストなんですけど、お祝いなんですけども、ここからスタートだと思っていて、このトピックスをちゃんと踏み台にしてやっていきたいなと思っているので、これをパワーにして進んでいきたいと思います。20年やってきて、みんな今年45歳になるんですけど、「やっぱりこれしかない。この人生しかない」って覚悟を決めてやっているので。今さら違う仕事もできないじゃないですか。「すみません、ディスクガレージで雇ってくれませんか」とか。
江畑絶対無理だ(笑)。
広田覚悟を決めてやっていますよ。
江畑幸せだなあと思いますけどね。こんなに毎日、夢を見て生きている日々があって、もちろん大変なこともあるし、不安になることもいっぱいありますけど、でもそんな人、なかなかいないじゃないですか。しかも一人じゃなくて、仲間も同じように思っていて、これってなかなかの奇跡だよなと思いますよ。
──きっとファンも同じ気持ちだと思いますよ。47都道府県ツアーは、同じ思いを持った人が集う、そして新しい人も迎え入れる、そういう場になってほしいです。なります。
広田全国に行くんですけど、そこしか来れない人もたくさんいると思うんですけど、ファイナルはぜひ全国から集まってもらいたいなと思います。
江畑ファイナルの10月27日のZepp Sapporoは、全国から来てもらいたいですね。
PRESENT
サイン入りTシャツ/サイン入りBlu-ray/ブランケットを各1名様にプレゼント!
(賞品はお選びいただけません)
受付は終了しました