いよいよ佳境を迎える最終回は、歳を重ねて大人になっていくこと、50歳になる今思うことについての白熱トーク!年齢や世代を飛び越えたこのテーマをちょっとでも考えてもらえたら、ROOTS 66の本番がもっと楽しみになることうけあい!
進行・TEXT/青木優
親の立場になったことで芽生えた意識
青木 大人になるって、どういうことだと思います?実はこれは、僕が音楽について書く仕事の中で掘り下げたいと思ってるテーマでもあるんです。少年少女の頃に「大人になるのって面倒くさそうだな」とか「歳とるのはイヤだな」と思う人も多いわけですよ。それでも実際に大人になると、いろいろな立場や人間関係を考えながら生きなきゃいけなくて、多くの責任も背負うことになっていくことになるわけで……渡邊さんの精神年齢じゃないですけど(笑)、現実的には21歳のままではいられないわけじゃないですか。そういうことについて考えたり思ったりすることって、何かありませんか?
宮田 そうだな……僕は、自分のケツは自分で拭けるようにはしていようと思ってますね。それはある意味、等身大ということかもしれないけど。たとえ暴言を吐こうとも、それをちゃんと自分で処理できるようにね……(笑)。
青木 いまだに吐いてるんですよね?
宮田 そうそう、たまに炎上したりしてます。ヤフーニュースになったり(笑)。
渡邊 (笑)ヤフーのトップ(ニュース)ですからね。
宮田 そうです(笑)。だからそれを誰かに言って消してもらうんじゃなくて、自分でちゃんと解決できるようにするというかね。
青木 それは若い頃にはなかった姿勢ですか?
宮田 そうですね、若い時は、やりっぱなし!みたいな。だって俺、消火器撒いたりしてたわけですよ。それなんて、誰が掃除をするんだ?その消火器のお金を誰が払うのか?って話ですし。
渡邊 (爆笑)……消火器、やりましたねえ~!僕は、子供ができて変わりましたね。大人になったというよりも、親になったということ……まあ、それが感覚的に大人になったということかもしれないですけどね。「自分の責任でひとつの新しい命が生まれたんだ」と思うと、考え方が変わりました。精神年齢は変わってないんですけど(笑)、責任というものを明確に感じたのは、やっぱり子供ができた時かな。
宮田 渡邊さん、いくつの時に子供できたっけ?
渡邊 僕は23の時ですね。
宮田 早いですね!そうか……俺は28でできたからね。でも、たしかに子供が生まれるとそういうの、ありますよね。そうか……それで若いのに、しっかりしてるように見えてたんだね?(笑)
渡邊 そんなことないですよ!(笑)
青木 子供ができると責任感が大きくなるというのは、すごく共感します。僕も「自分は人の運命を背負ったんだな」と思いましたし。そうなるまではすごく大変そうだなと思ってたけど、いざ直面すると、もう頑張るしかないんですよね。そういえばうちの子供はいま12歳なんですけど、親に似てライブ好きで、小さい頃からフェスやイベントに一緒に行ったりしてるんです。このROOTS 66も見せてやりたいなと思ってるくらいなんですよ。
宮田 ああ~、それはいいですね!
渡邊 ぜひぜひ!一緒にお越しください。
宮田 うんうん。でもさ、いま50になって思うんだけど……子供ができたことで、いろんなことが制限される時期ってあるでしょう?普通に行ってた呑み屋に行けなくなるとか、カミさんが家にいなくちゃいけなくて、それで自分に当たられたりさ。
青木 すごくわかります。わが家はまだそれに近い状況ですね。
宮田 で、そんな時期もあったけど、それがうちはハタチも過ぎてくれたわけですよ。で、今は朝ドラなんかを、『あさが来た』とかを見ると、「うちの子供が孫を連れてきたら、ほんとに人生楽しいんだろうな」って思うの。「やっぱり子供作っといて良かったな」って俺は思うし、本当の幸せな時間は今からやって来るのかなと思うんですよね。
渡邊 うちの長男はもう就職もしてるし、彼女を連れてきたこともありますからね。そうすると孫も、可能性としては……。
宮田 だよね?そうすると、ますます大人としての自覚が出てくるよね(笑)。
50歳でもまだサナギ、まだ夢の途中
青木 でも50って、響きが重くないですか?この前、母親に「あんたももう50なんだね」と言われて、「そうだよなあ、そう言われると重いな~」と思ったんですよ。
宮田 ああ、でも今の50って、昔の30とか20代とかぐらいじゃないかな?侍の時代だったら50歳なんてかなり老人だけど、今は同じ年齢でも違うんじゃないかと思うんですね。50でも、まだサナギぐらいなんじゃないかとも思うんですよ。
青木 サナギ?(笑)成虫にもなってないですかね?
宮田 そうそう。だって、もし80まで生きられるとしたら、あと30年あるわけじゃないですか。そういう意味ではまだまだここから長いし、ツラいこともあるんだろうし……病気とかね。
渡邊 そうですね。でもこのROOTS 66の仲間たち、同級生たちには、50歳ということを全然感じないですね。僕ら裏方も含めて、現役感というか……勝手な見方ですけど(笑)、現役感がある気がします。
宮田 ああ、わかるわかる!そうだよね。
青木 それは……あえて青臭い言い方をしますけど、まだ夢を追いかけてる、というか。
宮田 うん!それはたしかに。まだ夢の途中な感じはあるかな。とくにこういう世界にいる人はみんな、気持ちが若いんだろうね。そこは舞台にいる側だろうが、ライターの人だろうが、PAだろうが楽器担当の人だろうが、ね。
いま思う、これからの人生の生き方