このような形でのオファーをいただいて、驚いたところはありました。単発では何度かオーケストラや弦楽との共演はありましたが、今回のように4本という形でできるのは、なかなかないことですから、良い機会をいただいたな、と感じています。実験的な試みも行えるでしょうし、この編成の中で自分がどのようなステージを行えるのか、しっかり考えてのぞみます。
ああいう形での新人ライブはめったにないですよね(笑)。あの時は、いろいろなことをやらせてもらいました。オリジナル曲だけでは足りないので、カバーもいろいろやりましたし、音響的なことではボーカルエフェクターを試したりもしましたし。あの時に試したことで、今普通にやっていることもたくさんありますね。
あのスタイルでワンマンが決まった背景にも、「この声の持っている良さが出せるんじゃないか」との狙いがありました。自分の良さをお見せできたらという意識はあったと思います。
あの時に経験を積んでおいて良かったなと思っています。初ワンマンライブがあったから、今回のオファーをいただけたのだと思いますし、あの時に経験したことは確実に今回のステージにも活かせるだろうと考えています。
生楽器の生の響きと一緒に歌った経験ですね。通常のバンドでのライブでは、楽器の鳴らした音が電気信号としてアンプを通り、スピーカーから音が出るじゃないですか。でも弦楽器の場合は、基本的にはスピーカーを通さないので、生の楽器の響きそのままの音が鳴っています。つまり、ひとりひとりの演奏者がスピーカであり、楽器なんですよ。その生の音がホール内の響きを形成しているので、その生の音と調和するためには、どのような歌い方をするのがいいのか、感覚や勘を自然に身につけることができました。
細かいことでいうと、Aメロの入り方をどうやったら、弦楽器のみなさんと同じタイム感でスタートできるかを考えました。弦は基本的にアタック音がないため、感覚としては立ち上がりが遅れる印象があります。なので、自分の歌の刻み方を滑らかにすることで対応していました。
今は精神的にも音楽的にも余裕がありますよね。2016年の時はどんなセットリストにするか、そんなに選べませんでした。逆にいろいろカバーをやれたので、それはそれで自由でしたが、今は楽曲のバリエーションがかなり増えたので、構成にしても、いろいろなやり方ができますね。「今日はこれをやろうかな」って、公演ごとに曲を変えることもできるでしょうし、より即興性の高いステージになると思います。
大まかにいうと、管弦楽とピアノでやる楽曲と、ピアノとベースと僕というトリオ編成でやる楽曲と、僕だけの弾き語りという3つの編成が楽しめる内容にする予定です。
幅のある構成が可能になるので、おもしろいステージになると思います。より“生感”のあるコンサートになるんじゃないかな。やる側としてもいろんなチャレンジができるので、楽しみですね。
基本的には僕のオリジナル曲と尾崎豊の楽曲と洋楽カバーを入れようという話をしています。音楽監督であり、ピアノを弾かれる宮本貴奈さんは、もっとクラシック寄りの方なのかなと思っていたら、とても音楽の幅の広い方で、打ち合わせの段階から、いろいろなインスピレーションをいただきました。なので、そういった自由な空気感も反映したコンサートになるんじゃないかなと思っています。宮本さんは僕と同じ時期にボストンに住んでいて、4年間かぶっているんですよ。そういうところでも同じような空気を感じたりもしました。
多分、同じクラムチャウダーや同じロブスターを食べたことがあるんだろうなという感じがしました(笑)。
リハーサルなどはまだこれからなのですが、確かな技術を習得していらっしゃる音楽IQの高い方々と一緒にできるわけですから、とても緊張感がありますし、それだけにとても楽しみですね。オーケストラではなくて、少人数編成なので、その中でどんな表現ができるのか、試していけたらと思っています。