尾崎裕哉、ストリングスとの共演ライブについて語る「歌の彩度や解像度を上げることを目指す」

インタビュー | 2023.03.13 19:00

2023年4月から5月にかけて開催される「尾崎裕哉 Strings Ensemble Premium Concert 2023」は、尾崎裕哉と弦楽アンサンブルとの共演ライブだ。ストリングスとの共演は、2016年9月の彼の初ワンマンライブなど、初期のステージでも実現している。その後もさまざまな場面で、彼はオーケストラやストリングスと共演してきた。ワンマンというシチュエーションで弦楽アンサンブルとの共演が実現するのは、約7年ぶりとなる。今回のステージでは、彼の父親・尾崎豊の曲もカバーする予定だ。尾崎裕哉のライブの原点とも言えるストリングスとの共演ライブについて、話を聞いた。
──弦楽アンサンブルとの共演による4本のワンマンコンサートという話がきて、どう感じましたか?

このような形でのオファーをいただいて、驚いたところはありました。単発では何度かオーケストラや弦楽との共演はありましたが、今回のように4本という形でできるのは、なかなかないことですから、良い機会をいただいたな、と感じています。実験的な試みも行えるでしょうし、この編成の中で自分がどのようなステージを行えるのか、しっかり考えてのぞみます。

──ピアノとストリングスとの共演でのワンマンは、2016年以来となります。よみうり大手町ホールでの初ワンマンのライブも観させていただきましたが、あの時も、まさに挑戦という言葉がぴったりのステージだったのではないですか?

ああいう形での新人ライブはめったにないですよね(笑)。あの時は、いろいろなことをやらせてもらいました。オリジナル曲だけでは足りないので、カバーもいろいろやりましたし、音響的なことではボーカルエフェクターを試したりもしましたし。あの時に試したことで、今普通にやっていることもたくさんありますね。

──当時のライブを観た時に、尾崎裕哉さんの歌声とピアノとストリングスとの相性の良さにも驚きました。

あのスタイルでワンマンが決まった背景にも、「この声の持っている良さが出せるんじゃないか」との狙いがありました。自分の良さをお見せできたらという意識はあったと思います。

──2016年に経験したことは、今回のコンサートにも大きなプラスになるのではないですか?

あの時に経験を積んでおいて良かったなと思っています。初ワンマンライブがあったから、今回のオファーをいただけたのだと思いますし、あの時に経験したことは確実に今回のステージにも活かせるだろうと考えています。

──初ワンマンの経験でとくに大きかったことはどのようなことですか?

生楽器の生の響きと一緒に歌った経験ですね。通常のバンドでのライブでは、楽器の鳴らした音が電気信号としてアンプを通り、スピーカーから音が出るじゃないですか。でも弦楽器の場合は、基本的にはスピーカーを通さないので、生の楽器の響きそのままの音が鳴っています。つまり、ひとりひとりの演奏者がスピーカであり、楽器なんですよ。その生の音がホール内の響きを形成しているので、その生の音と調和するためには、どのような歌い方をするのがいいのか、感覚や勘を自然に身につけることができました。

──その感覚とは具体的にはどのようなものですか?

細かいことでいうと、Aメロの入り方をどうやったら、弦楽器のみなさんと同じタイム感でスタートできるかを考えました。弦は基本的にアタック音がないため、感覚としては立ち上がりが遅れる印象があります。なので、自分の歌の刻み方を滑らかにすることで対応していました。

──当時と現在との違いは、どのようなことに表れそうですか?

今は精神的にも音楽的にも余裕がありますよね。2016年の時はどんなセットリストにするか、そんなに選べませんでした。逆にいろいろカバーをやれたので、それはそれで自由でしたが、今は楽曲のバリエーションがかなり増えたので、構成にしても、いろいろなやり方ができますね。「今日はこれをやろうかな」って、公演ごとに曲を変えることもできるでしょうし、より即興性の高いステージになると思います。

──コンサートの構成はどんなものになりそうですか?

大まかにいうと、管弦楽とピアノでやる楽曲と、ピアノとベースと僕というトリオ編成でやる楽曲と、僕だけの弾き語りという3つの編成が楽しめる内容にする予定です。

──トリオ編成なら、ジャジーなものも似合いそうですし、演奏する音楽ジャンルの幅も広がりそうですね。

幅のある構成が可能になるので、おもしろいステージになると思います。より“生感”のあるコンサートになるんじゃないかな。やる側としてもいろんなチャレンジができるので、楽しみですね。

──曲名については、観てのお楽しみでしょうけれど、選曲の基準は?

基本的には僕のオリジナル曲と尾崎豊の楽曲と洋楽カバーを入れようという話をしています。音楽監督であり、ピアノを弾かれる宮本貴奈さんは、もっとクラシック寄りの方なのかなと思っていたら、とても音楽の幅の広い方で、打ち合わせの段階から、いろいろなインスピレーションをいただきました。なので、そういった自由な空気感も反映したコンサートになるんじゃないかなと思っています。宮本さんは僕と同じ時期にボストンに住んでいて、4年間かぶっているんですよ。そういうところでも同じような空気を感じたりもしました。

──宮本さんと共通すると感じたのは、どんなところですか?

多分、同じクラムチャウダーや同じロブスターを食べたことがあるんだろうなという感じがしました(笑)。

──京都フィルハーモニー室内合奏団については?

リハーサルなどはまだこれからなのですが、確かな技術を習得していらっしゃる音楽IQの高い方々と一緒にできるわけですから、とても緊張感がありますし、それだけにとても楽しみですね。オーケストラではなくて、少人数編成なので、その中でどんな表現ができるのか、試していけたらと思っています。

公演情報

DISK GARAGE公演

尾崎裕哉Strings Ensemble Premium Concert 2023

2023年4月9日(日) 東京・日本橋三井ホール
2023年4月15日(土) 兵庫・ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール
2023年5月6日(土) 愛知・名古屋市昭和文化小劇場
2023年5月20日(土) 東京・浜離宮朝日ホール

■出演:尾崎裕哉(Vo&Gt)
宮本貴奈(Pf・4/9、5/6、5/20)、中島徹(Pf・4/15)
京都フィルハーモニー室内合奏団(弦楽アンサンブル)
■芸術監督:須藤晃
■弦楽アンサブル編成:第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート
■編曲:宮本貴奈、山下康介

■チケット料金
チケット:5,500円
ペアチケット(2枚)10,000円
※全席指定、プログラム付、税込

チケット一般発売日:2023年3月4日(土)10:00〜

RELEASE

「I LOVE YOU」

NEW EP

「I LOVE YOU」

2023年4月5日(水)SALE

父である尾崎豊の時代を超えた名曲カバー2曲を初収録。スタジオ録音による注目の初音源化
  • 長谷川 誠

    取材・文

    長谷川 誠

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