その2曲はやりますね。今回の編成にもぴったりだと思います。
2022年は尾崎豊が亡くなって30年という節目の年だったのですが、“尾崎豊の音楽を歌い継ぐ意識”が自分の中で変わってきたことを感じています。
デビューしてからこれまでの音楽活動の中で、尾崎裕哉としてのアイデンティティーを確立できた手ごたえを感じています。なので、最近は尾崎豊の曲をよりカバーしやすくなってきました。
そうですね。純粋にミュージシャンの曲のカバーをしているという感覚で歌えています。なので最近は積極的に尾崎豊の楽曲をやるようにしています。
違いを感じることの方が多いですね。これまで、自分の楽曲と尾崎豊の楽曲を入れたコンサートをやってきていますが、2つの異なる世界観をどう合わせていくか、どう相乗効果を生み出していくのか、ずっと実験し続けている感覚があるんですよ。自分の音楽と尾崎豊の音楽では、サウンド感も全然違いますし、歌詞の内容も違います。自分のバックボーンだけに頼らず、それぞれの要素を混ぜて構成した時に、“このすべてが尾崎裕哉の世界観なんだな”と感じてもらえるステージを目指しています。
自分にはない感性の持ち主だなと思っています。尾崎豊の音楽はいつも聴いていますし、歌ってはいるんですが、毎回発見があるというか、毎回新鮮な気持ちで歌えるんですよ。そこがすごいなと思っています。サウンドも違いますし、歌詞も大きく違います。たとえば、「I LOVE YOU」での描写の仕方もそうですよね。歌うたびに、もっと彩度や解像度を高めて表現しなければと思わされる何かがありますね。
言葉づかいも違いますし、視点・視座も違いますよね。僕だったら描かないだろうなというところを、尾崎豊の楽曲は描いていますしね。
影響は少なからず受けていると思いますが、その要素を取り入れて曲を作ろうとは考えていません。結局、自分の視点、自分の見てきたことを書かなければ、嘘になってしまうからです。もちろん物語を書くような作り方もありますし、フィクション、ノンフィクション、いろいろな作り方があると思っています。ただし、僕が作る場合には、自分が見てきたものしか、歌にできないと感じているんですよ。言葉を借りることはあったとしても、視点を借りることはないと思います。
初めての会場もあるので、自分としても楽しみです。日本橋三井ホールや芦屋ルナ・ホールは弾き語りではやったことがあるのですが、ピアノと弦楽カルテットが入った編成では初めてなので、どんな響きになるのか、楽しみです。
「弾き語りだけで満足しないでください」ということは言いたいですね(笑)。弦楽アンサンブルとの共演は、もともとやってきたスタイルですし、自分が自由に泳げる環境の中でのライブになるので、いろいろと試せるのではないかと考えています。弾き語りの場合は、歌以外にも考えなければならないことがたくさんありますが、今回は伴奏の方々にお任せできるので、より歌に集中していけるはずです。歌の彩度や解像度を上げることを目指していますし、より深化した歌の世界を楽しんでいただけたらと思っています。
今回、弦楽アンサンブル用のアレンジを初めてする曲もあります。バンドや弾き語りと違った景色にはなるのは間違いないですね。その景色がみなさんにどう受け入れられるのか、僕自身、とても楽しみにしています。いろいろチャレンジしていくつもりです。そして、その分、ちゃんと成長していけたらと思っています。今回のコンサート、僕自身もとても期待しています。