中島卓偉が3つのコンセプトごとに異なるセットリストで全国ツアーを開催!卓偉はなぜ異色のレコ発ツアーを開催するに至ったのか?

インタビュー | 2023.02.17 12:00

2022年に所属事務所から独立し、自ら新たな道を切り拓き始めた中島卓偉。そんな彼が独立第一弾アルバム『BIG SUNSHINE』を手に、3月から待望の全国ツアー『中島卓偉 LIVE 2023 VIVA LA BIG SUNSHINE TOUR』を開催する。いわばリリース記念ツアーになるのだが、各公演に『GREATEST SONGS』『BAD SPEED PUNK』『TAKUI SONGS ONLY LIVE』という3つのコンセプトを設け、それぞれ異なったセットリストを組むという、一風変わった内容になっている。卓偉はなぜ異色のレコ発ツアーを開催するに至ったのか。彼の今に迫った。
──この取材をしているのは2月上旬ですが、そろそろリハーサルに……という感じでしょうか。

そうですね。今はとにかく歌詞を覚えることに必死です(笑)。

──(笑)。今回のツアーはセットリストを3バージョン用意することを発表されていますが、歌詞を覚えているということは、もうどの曲をやるのかは結構決まっているんですか?

そうですね。『GREATEST SONGS』はファンの人気曲、『BAD SPEED PUNK』はパンキッシュでテンポが速くて激しい曲を、それぞれアルバム『BIG SUNSHINE』の曲と絡めながらやるんですけど。それともうひとつ、これはアルバムとは関係ないんですが、『TAKUI SONGS ONLY LIVE』という、TAKUIという表記をしていた頃の楽曲縛りのライヴもやろうと。そこは、独立して好きにやりたいっていう気持ちと、僕はファンが喜んでくれればそれでいいと思ってもいるので、昔の曲縛りでやることが決してネガティヴなことではもうないというか。もちろん新曲もやっているわけですし、こういうこともやってあげたいなという気持ちになりまして。それで3パターン用意してみようかなと。

──卓偉さんはコンセプチュアルなライヴをよくされますよね。

こういったツアーをやろうと思ったのは、『BIG SUNSHINE』に16曲も入れてしまったからなんですよ。独立後一発目だから、これぐらいのボリューム感でやりたいという気持ちはあったけど、いざライヴで16曲やると、昔の曲がやれなくなってしまう。僕は昔の曲をやりたくないわけじゃないし、やらない理由もないんですよね。それに、ライヴを通して一緒に育ててきた曲をやらずに、今回のアルバムをしっかり聴いてくれっていう気持ちに、自分がそこまでならなくて。それなら、セットリストのパターンを増やせば、アルバムの曲もほとんどやれるし、古い曲を散りばめることができることに気付いて、セットリストを増やそうと思ったんです。

──曲数的な面もそうですし、『BIG SUNSHINE』にはロック、パンク、ソウルと、卓偉さんがこれまでやってきた音楽がすべて入っている印象もあって。そうなると、アルバム曲をある程度大きな枠で分けたほうが、セットリストも組みやすかったりするのかなと思ったりもしたんですが。

その通りです(笑)。アルバムを作るときにはもちろんツアーを意識していたし、これが独立第一弾という意思表明でもあったんですよね。そこで中途半端なものなんか作りたくないし、ファンが「こんな卓偉を待っていた!」と思ってもらえるアルバムを作らなきゃウソだと思ってましたから。それに、独立して一発目っていうときに、「いい曲だけど勢いがない」とか、そういうのは嫌だったんですよ。かといって、過去の焼き直しでもないものにしたい。そういったいろんなバランスを考えたら16曲になってしまったっていうところもあるんですけど、24年やってきて、ファンの評判が一番いいですね。

──おおー。最高じゃないですか。

これは本当に嬉しいことだと思っていて。今年で45歳になるんですけど、残り半分の人生を考えたときに──あと40年歌えるかはわからないけど──自分の好きなように楽曲を作り、自分の好きなセットリストをやるというところに行きたかったと思うんですよね。独立したからには、誰の意見も聞かないというのは無鉄砲な感じがするけど、やっぱり制作者として、作曲家として、自分が本当にやりたいことを提示しなければという気持ちもあって、こういうアルバムになったところもあるので。

──3バージョンのセットリストを実際に考えるにあたって、時間はかかりました?

セットリストは今回に限らず毎回すごく悩みますよ。やっぱりいろんなお客さんがいて、全員に喜んでもらうというのは難しいことですし。自分がこれまでどういうセットリストを組んできたかを思い返すと、このアルバムは絶対に全曲やるんだというときもあったでしょうし、アルバムを出したけれどもほとんど人気曲で、ピンポイントでしか新曲入れないようなツアーもあったんですよね。ちょっと余談になりますけど、KISSが「もう新譜は出さない」という発言をしてたじゃないですか。初期の曲へのファンの思いがあまりにも強いから、新曲を作ってもなかなかその距離感が埋まらない。ただ、やっぱり我々はエンターテイメントバンドだから、これからは新譜を出さずに、往年の曲だけでみんなと残りの人生を楽しくやりたい、みたいなコメントをしていて。そこまで行くのもすごいことだと思うんですよね。

──極地というか。

まあ、もちろん僕はそこまで辿り着いていないわけなんですが、そういう発言をすると、新曲を出す意味がなくなっちゃうんです。だから、これからも新曲は作っていく。けど、自分は過去の曲も否定せずにやっていくんだということをファンにも知ってもらいたくて。24年もやってると、僕だけじゃなくてファンの皆さんだって年を取りますし、主婦や会社員になったりすると、新曲が出ても中学生や高校生の頃みたいに四六時中ずっと聴いていられる環境でもないわけじゃないですか。そのことを考えてあげるのがいい関係なのかもなと思ったりもするんですよね。そこは僕の変化でもあって。

──お話されていた“新譜問題”ですけど、卓偉さんってご自身がいま思っていること、感じていることを常に歌われているじゃないですか。それもあって、今の卓偉さんを知りたい=新曲を聴きたいという方も多そうな気がします。

独立するときに、一度ファンクラブを解散して、再募集をかけることになったんですけど、半分ぐらいが男性だったんですよ。で、「今の中島卓偉がほしい」って言うのは、野郎ファンに多いんですよね。女子はたぶん、その都度の思い出がほしいっていう人のほうが多いと思うし、その気持ちももちろんよくわかりますし。

──そこに男女差があるのっておもしろいですね。

ボーイズオンリー/ガールズオンリーのライヴもやってきましたし、またどこかでやれたらいいなと思っているんですけどね。その空気を感じて、自分が今後どうやっていけばいいのか見えたりもすると思いますし。で、前に新宿LOFTでボーイズオンリーをやったときに、終わった後に1人ひとりと乾杯して、握手して、ハグしたりしたんですけど、その時に一言二言会話するじゃないですか。その時にも言われたんです。「卓偉さん、僕らは、“We need 新曲”です」って(笑)。みんな口を合わせたように熱く言ってくれて嬉しかったんですけど、でもまぁ、そこは野郎目線というか。結局、僕も新譜に飢えてますから。「出たんだ? 買おう」っていう。これと一緒かなと思うと、まあわかるんですよ。

──確かに。

ただ、自分の中の懸念として、新曲を毎年出し続けることで、消化不良になっていくかもしれない。たとえば、ポール・ウェラーなんて毎年のようにアルバムを出していて。僕も新木場STUDIO COASTにライヴを観に行ったんですよ、TRICERATOPSの和田(唱)さんと。4年振り(の来日)だったのかな。4年でも早いほうですよ。で、前半はニューアルバムの曲をやって、アンコールにTHE JAMとかThe Style Councilの曲を持ってきて、やっぱりこの人はエンターテイナーだなと思ったんですけど、ただ、あまりにもアルバムを出してくれているから、「どれに入ってたっけ?」っていう曲があるんですよね(笑)。自分でもそう思ってしまうところがあるから、やっぱりそうなるよりは、じっくりとプロモーションすることも必要だと思うし、「はい、次。はい、次」ってやっていくのは、若い頃はよかったかもしれないけれど、しっかり消化してもらう時間も作らなきゃいけないのかなとか、勉強になりましたね。みんなで作ってきた曲で「やっぱり好きだな」と思ってもらうことも大事だなと感じるようになりました。

公演情報

DISK GARAGE公演

中島卓偉 LIVE 2023 VIVA LA BIG SUNSHINE TOUR

Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS
2023年3月11日(土) 福岡 DRUM Be-1

開場/開演 15:00/15:30

Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年3月12日(日) 福岡 DRUM Be-1

開場/開演 14:00/14:30

Version 1 BIG SUNSHINE&GREATEST SONGS
2023年3月18日(土) 仙台 MACANA

開場/開演 15:00/15:30

Version 2 昼公演 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年3月19日(日) 埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

開場/開演 14:00/14:30

Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年3月19日(日) 埼玉HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

開場/開演 17:00/17:30

Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS
2023年4月8日(土) 東京 Veats Shibuya

開場/開演 15:00/15:30

Version 2 昼公演 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年4月9日(日) 東京 Veats Shibuya

開場/開演 14:00/14:30

Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年4月9日(日) 東京 Veats Shibuya

開場/開演 17:00/17:30

Version 1 昼公演 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS
2023年4月15日(土) 大阪 BIGCAT

開場/開演 14:00/14:30

Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年4月15日(土) 大阪 BIGCAT

開場/開演 17:00/17:30

Version 2 昼公演 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
2023年4月16日(日) 名古屋 ElectricLadyLand

開場/開演 14:00/14:30

Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
2023年4月16日(日) 名古屋 ElectricLadyLand

開場/開演 17:00/17:30

■Support Musician
Guitar.you (Nicori Light Tours / ex.Janne Da Arc)
Bass.NAOKI(FANTASISTA)
Drums.SHINGO (THE TERROR’S 666 / ex.JURASSIC)

RELEASE

『BIG SUNSHINE』

NEW ALBUM

『BIG SUNSHINE』

2022年12月7日(水)SALE

アルバム情報は >>こちら
配信情報は >>こちら

  • 山口哲生

    取材・文

    山口哲生

SHARE

中島卓偉の関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る