そうですね。今はとにかく歌詞を覚えることに必死です(笑)。
そうですね。『GREATEST SONGS』はファンの人気曲、『BAD SPEED PUNK』はパンキッシュでテンポが速くて激しい曲を、それぞれアルバム『BIG SUNSHINE』の曲と絡めながらやるんですけど。それともうひとつ、これはアルバムとは関係ないんですが、『TAKUI SONGS ONLY LIVE』という、TAKUIという表記をしていた頃の楽曲縛りのライヴもやろうと。そこは、独立して好きにやりたいっていう気持ちと、僕はファンが喜んでくれればそれでいいと思ってもいるので、昔の曲縛りでやることが決してネガティヴなことではもうないというか。もちろん新曲もやっているわけですし、こういうこともやってあげたいなという気持ちになりまして。それで3パターン用意してみようかなと。
こういったツアーをやろうと思ったのは、『BIG SUNSHINE』に16曲も入れてしまったからなんですよ。独立後一発目だから、これぐらいのボリューム感でやりたいという気持ちはあったけど、いざライヴで16曲やると、昔の曲がやれなくなってしまう。僕は昔の曲をやりたくないわけじゃないし、やらない理由もないんですよね。それに、ライヴを通して一緒に育ててきた曲をやらずに、今回のアルバムをしっかり聴いてくれっていう気持ちに、自分がそこまでならなくて。それなら、セットリストのパターンを増やせば、アルバムの曲もほとんどやれるし、古い曲を散りばめることができることに気付いて、セットリストを増やそうと思ったんです。
その通りです(笑)。アルバムを作るときにはもちろんツアーを意識していたし、これが独立第一弾という意思表明でもあったんですよね。そこで中途半端なものなんか作りたくないし、ファンが「こんな卓偉を待っていた!」と思ってもらえるアルバムを作らなきゃウソだと思ってましたから。それに、独立して一発目っていうときに、「いい曲だけど勢いがない」とか、そういうのは嫌だったんですよ。かといって、過去の焼き直しでもないものにしたい。そういったいろんなバランスを考えたら16曲になってしまったっていうところもあるんですけど、24年やってきて、ファンの評判が一番いいですね。
これは本当に嬉しいことだと思っていて。今年で45歳になるんですけど、残り半分の人生を考えたときに──あと40年歌えるかはわからないけど──自分の好きなように楽曲を作り、自分の好きなセットリストをやるというところに行きたかったと思うんですよね。独立したからには、誰の意見も聞かないというのは無鉄砲な感じがするけど、やっぱり制作者として、作曲家として、自分が本当にやりたいことを提示しなければという気持ちもあって、こういうアルバムになったところもあるので。
セットリストは今回に限らず毎回すごく悩みますよ。やっぱりいろんなお客さんがいて、全員に喜んでもらうというのは難しいことですし。自分がこれまでどういうセットリストを組んできたかを思い返すと、このアルバムは絶対に全曲やるんだというときもあったでしょうし、アルバムを出したけれどもほとんど人気曲で、ピンポイントでしか新曲入れないようなツアーもあったんですよね。ちょっと余談になりますけど、KISSが「もう新譜は出さない」という発言をしてたじゃないですか。初期の曲へのファンの思いがあまりにも強いから、新曲を作ってもなかなかその距離感が埋まらない。ただ、やっぱり我々はエンターテイメントバンドだから、これからは新譜を出さずに、往年の曲だけでみんなと残りの人生を楽しくやりたい、みたいなコメントをしていて。そこまで行くのもすごいことだと思うんですよね。
まあ、もちろん僕はそこまで辿り着いていないわけなんですが、そういう発言をすると、新曲を出す意味がなくなっちゃうんです。だから、これからも新曲は作っていく。けど、自分は過去の曲も否定せずにやっていくんだということをファンにも知ってもらいたくて。24年もやってると、僕だけじゃなくてファンの皆さんだって年を取りますし、主婦や会社員になったりすると、新曲が出ても中学生や高校生の頃みたいに四六時中ずっと聴いていられる環境でもないわけじゃないですか。そのことを考えてあげるのがいい関係なのかもなと思ったりもするんですよね。そこは僕の変化でもあって。
独立するときに、一度ファンクラブを解散して、再募集をかけることになったんですけど、半分ぐらいが男性だったんですよ。で、「今の中島卓偉がほしい」って言うのは、野郎ファンに多いんですよね。女子はたぶん、その都度の思い出がほしいっていう人のほうが多いと思うし、その気持ちももちろんよくわかりますし。
ボーイズオンリー/ガールズオンリーのライヴもやってきましたし、またどこかでやれたらいいなと思っているんですけどね。その空気を感じて、自分が今後どうやっていけばいいのか見えたりもすると思いますし。で、前に新宿LOFTでボーイズオンリーをやったときに、終わった後に1人ひとりと乾杯して、握手して、ハグしたりしたんですけど、その時に一言二言会話するじゃないですか。その時にも言われたんです。「卓偉さん、僕らは、“We need 新曲”です」って(笑)。みんな口を合わせたように熱く言ってくれて嬉しかったんですけど、でもまぁ、そこは野郎目線というか。結局、僕も新譜に飢えてますから。「出たんだ? 買おう」っていう。これと一緒かなと思うと、まあわかるんですよ。
ただ、自分の中の懸念として、新曲を毎年出し続けることで、消化不良になっていくかもしれない。たとえば、ポール・ウェラーなんて毎年のようにアルバムを出していて。僕も新木場STUDIO COASTにライヴを観に行ったんですよ、TRICERATOPSの和田(唱)さんと。4年振り(の来日)だったのかな。4年でも早いほうですよ。で、前半はニューアルバムの曲をやって、アンコールにTHE JAMとかThe Style Councilの曲を持ってきて、やっぱりこの人はエンターテイナーだなと思ったんですけど、ただ、あまりにもアルバムを出してくれているから、「どれに入ってたっけ?」っていう曲があるんですよね(笑)。自分でもそう思ってしまうところがあるから、やっぱりそうなるよりは、じっくりとプロモーションすることも必要だと思うし、「はい、次。はい、次」ってやっていくのは、若い頃はよかったかもしれないけれど、しっかり消化してもらう時間も作らなきゃいけないのかなとか、勉強になりましたね。みんなで作ってきた曲で「やっぱり好きだな」と思ってもらうことも大事だなと感じるようになりました。