有安杏果、「サクライブ2022」を終えたばかりの心境、新曲に込めた思い、東京公演の2日目に見せた涙の理由を語る

インタビュー | 2022.04.27 15:00

──それもツアーならではですね。アンコールの最後に歌った新曲「オレンジ」は?

今回のライブに向けて作った曲です。ラブソングを作りたいなと思って。しかも、「ナツオモイ」のように、好きだけど思いを伝えられないみたいな切ない曲じゃなくて、付き合ってるカップルや夫婦のような二人が普段感じる、何気ない日常を歌にしたいなと思って作りました。

──どうしてオレンジ色でしたか。

もちろん、夕陽のオレンジでもあるんですけど、歌詞を書いているときに、二人で毎日、歩く道を二人だけの特別な道にできたらいいなと思って。その道に名前をつけたいなと思ったんです。あそこの道に行こうっていうよりも、二人だけが呼ぶ道の名前があったら素敵だなと思って。その道をオレンジという名前にして、<この道に名前をつけようオレンジ>から始まる曲にしました。

──「みんなの穏やかな日常がずっと続きますように」という願いを込めて歌ってましたが、お客さんの反応はどうでしたか?

やっぱり作りたてだったので、ツアー初日の時は、間に合ってよかったっていう気持ちもありましたけど(笑)、私にとっては、みんなが知らない曲、しかもバラードで終わるっていうのは挑戦的ではあったですね。みんなで盛り上がれる曲ではなかったんですけど、ツアー初日を「オレンジ」で締めた時に、ちゃんとお客さんに伝わったなっていうのを感じて。こういう曲でライブを締め括るのは新しいなと思ったし、自分的にも嬉しかったですね。

──最終日の仙台公演では、その後に「小さな勇気」を歌ったそうですね。

もともとツアーのセットリストに入れてなくて。本当は仙台でも、あんまり震災のことには触れるつもりはなかったんです。ライブの時だけくらいは、むしろ震災のことを忘れて楽しんで欲しいなと思っていたので、入れてなかったんですね。でも、ツアーの直前に、新幹線が止まるほどの地震があったので、やっぱり歌いたいなと純粋に思って。ツアー中に宮崎さんに言って、セミファイナルだった東京の2日目の時に仙台に向けてのリハーサルして。結構、久しぶりだったんですけど。

──2020年11月に渋谷公会堂で行われた「有安杏果 サクライブ 2020」以来ですね。

そうですね。去年の弾き語りでは歌ってないし、ピアノ一本で歌うのは初めてでした。サイズも変えたスペシャルバージョンだったので、あの日だけっていう特別感がありました。お客さんからも終わった後に、鼻をすする音がめちゃめちゃ聴こえて。あの曲を作ってよかったな、ここで歌えてよかったなって思いましたね。

──ちなみに仙台の日替わりカバーは?

東京と一緒で「花の名」(BUMP OF CHICKEN)にしました。

──今回は「花」がテーマになってましたね。

今回でサクライブが4回目なので、カバーもいっぱい歌い重ねてきて。春の曲も桜の曲もたくさん歌ったし、自分が好きな曲で、タイトルに花が入ってる曲か多いなと思ったので、花縛りにして。どの曲もほんとに好きで、印象的だったんですけど、ORANGE RANGEさんの「花」はすごく懐かしかったですね。自分が小学生の頃のことを思い出したりしたんですけど、原曲とアレンジを変えて。ガットギターでやったので難しかったですね。ちょっとボサノバっぽかったのかな。宮崎さん曰く、オシャレ系って言ってました(笑)。

──ガットギターでいうと、「TRAVEL FANTASISTA」はボサノバ風になってました。

あれも難しかったですね。最初はギターを弾かない予定だったんですけど、去年、ピアノで一人でやったし、ギターを弾いた方がデュオでやる意味もあるよなと思って、練習してて。リハを通して、シンプルに間引いていったら、ボサノバに寄っていって。今回のツアーのためにガットギターを買っていたので、じゃあ、思い切りボサノバにしようってことでボサノバになりました。

──ピアノとギターだけでもいろんな色彩が味わえたライブになったと思います。弾き語り、デュオときて、今後はどう考えてますか?

これからもいろんなライブをやりたいなと思ってますね。去年と今年は、コロナ禍でもライブを無事に開催するために、リスクを考えて、なるべく人数を減らして、少人数にしてきて。弾き語りやデュオが2年続いたんですけど、これからも弾き語りをメインにやっていきますっていう訳ではなくて。元々やっていたバンド編成でやるライブも……お客さんもそうだと思うけど、私もさすがにもうやりたい!っていう気持ちでいっぱい。あの音圧が恋しいです。ドラムが欲しいな、ベースが欲しいなと思ってますね。でも、状況を見ると、まだコロナが完全に収まっている訳ではないので、今すぐの約束はできなくて。それは、本当に申し訳ないんですけど、自分の頭の中ではバンドでやりたいし、それこそ、いつかは弦や管を入れたライブもやりたい。別の楽器とのデュオもありだし、トリオとか、いろんな編成でいろんなライブができたらいいなと思っています。

──最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

この状況の中でライブに行くことを選択するのは皆さんにとっても、前よりもハードルが上がってるかもしれないなと思います。ただ、自分にとって、音楽活動の中で一番大事にしているのはライブであることに変わりはなくて。だから、ツアーに足を運んでくれたみんなには感謝しかないし、今回は参加できなかったという人も、いつかライブに来ていただけたら嬉しいなって思います。

  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

  • 撮影

    ハービー・山口

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