──暗黒期を過ぎて、「元気いっぱいやっちゃおう!」って振り切れた時期が来たと思ったら、今度はコロナじゃないですか。この2年はそのモヤモヤもあったんじゃないですか?
高橋いや、あんま無かったですかね。自粛期間を経て、一昨年の6月に府中FLIGHTでライブをやったんですけど、その日は1日3本ライブをやって。その時は『Imagination World』が出来てたんですけど、ライブ映えする曲をいっぱい入れてたかったし、自分たちの新たな挑戦を入れたくて。コロナ前のぐっちゃぐちゃのフロアを想定してアルバムを作ったら、コロナ禍でそれが出来なくなっちゃって。どうしようかなとは思ったんですけど、ツアーを回ってる中で、ステージ上にいる俺たちが棒立ちで見てるお客さんに寄せるのは違うなと思ったし、お客さんはいつもの俺たちを見たくて来てくれてるんだから、俺たちが変わっちゃいけないと思ったし。コロナが明けて、「音楽シーンを盛り上げて行こうぜ!」となった時、コロナ禍に寄せたライブをやってたら、何も出来なくなっちゃうなと思って。その時、先頭に立っていけるのは変わらずライブをやり続けたバンドだろうなと思って。ルール上の中で出来ることで、やれることをやっていこうと思っていました。
──なるほど。そういった意思は、最新シングル「Sparkle & YOU」からも感じて。前向きさやテンション感って、前作「The Gift of Sound e.p.」からもしっかり感じるんだけど。今作の方がよりポジティブで、外に向けている感があって。有観客でライブが出来るようになったからなのか、Yoshiさんが加入したいまのバンドのモチベーションの高さなのか? 前作と今作の間に、何か意識の変化があったんじゃないかと思うくらい印象が違いました。
Yoshiう~ん、コロナ禍になって、お客さんのことをより考えるようになったというのは大きいかも知れないですね。その前にメンバーが辞めて、サポートで乗り切って逆境を乗り越えた経験や自信があるから。「コロナだからなんだよ!?」って気持ちも正直、あると思うし。もちろん、コロナ禍で守らなきゃいけないルールや制御しなきゃいけない部分はあるんですけど、ライブスタイルの話と一緒で活動まで抑えてたら、コロナが明けた時にスタートダッシュが出来ないんで。そこに向けての助走でもいいから、いま出来ることを貫こうというのが、いまのPOETASTERの姿勢だと思うし。その姿勢が自信にも繋がってて、お客さんに対する「大丈夫、任せろ!」という気持ちになってるのかなと思います。
──うん、「大丈夫、任せろ!」という男らしさや心強さは楽曲からすごく出ています。
Yoshiその心意気は前作でも感じたんですけど。自分たちが強くなったのか、確かに今作の方がそういうメッセージ性は強くなったと思います。
Fuma-Zうん、高橋がいま書きたい曲を書いてるなというのはすごく思います。1st、2ndと出していく中で、より自分の書きたいことが書けるようになってると思います。
高橋そうだね、俺もそう思う(笑)。
──今回、「BEAT UP」なんて書きたい曲がありすぎて、ラップで詰め込んでますからね。
Yoshi最初、「BEAT UP」を作ってきた時、「正気か?」と思いましたけどね(笑)。明らかにいままでのPOETASTERに無い曲だったので、どうなるかと思ったけど。レコーディング終わってみたら、ちゃんとPOETASTERの曲になってて。このバンドはすごいなと思ったし、高橋のボーカルの力がすごいなと思いました。
──高橋さんは実際、前作以降の心境の変化みたいなところはあったんですか?
高橋なんだろう? 『Imagination World』から、自分のやりたいことに集中して、曲を作ったりライブしたりしていこうと思って作っていて。その頃はみんなに向けて書いている感覚だったんですが。「The Gift of Sound e.p.」はみんなに刺すというより、一人ひとりに刺す感じで書いて。どんな人に聴いて欲しいか、どんな人に届けたいか?をだんだん具体的に考えるようになったし、「お前に歌ってるんだよ!」って曲を作りたいなと強く思うようになって。今回もその延長上で、より伝わるものが書けた気はします。
──うん。歌を届けたい相手に焦点が合ってきてる気がします。だから有観客で歌を届けるべき相手の顔がちゃんと見えたから、こういう曲たちが書けたんじゃないかと思って。「ムーンライトメロディ」は恋愛ソングにも聴こえるけど、この状況下で会えてない人、それでも来てくれる人に向けて書いているようにも聴こえます。
高橋まさにそうです。自分たちの曲を聴いてくれる人、ライブに来てくれる人は当たり前に自分たちがなんとかしてあげたいと思うようになったので。いまはみんなのためにもっと頑張ろう!という気持ちですね。「ムーンライトメロディ」はここからも一生懸命、誠実に音楽に向き合っていこうという、僕らの意思表明みたいな曲だと思います。
Yoshi自然と未来を見てるというか、先のお客さんを想像出来てるよね。