KIRINJI、新EPリリース記念スペシャルライブ開催!堀込高樹が本ライブや楽曲制作について現在の想いを語る

インタビュー | 2021.07.19 18:00

──去年の今頃は、コロナの影響で他のアーティストと同じくKIRINJIも予定していたツアーが中止になりました。ようやく少しずつ有観客ライブが出来るようになりましたね。

「何十回とリハーサルを重ねても、一回の本番には及ばない」という話をよく聞くじゃないですか。確かにその通りで。ライブから遠ざかったら勘が鈍るんです。ただ、KIRINJIは今年から新体制になって、8月には新しい方たちとライブをすることも決まったので、それを励みに頑張りたいなって。油断したら「KIRINJIって下手じゃん」と思われかねないほど、今の若い人は演奏が上手いですからね。

──レベルは変わっていますか。

昔も上手い人はいたのかな? とにかく昭和40年代生まれからすれば、「演奏は下手でも良い。何なら下手な方がカッコイイ!」みたいな風潮がありましたが、彼らは「上手いなら上手いでカッコいいじゃん」という考えだと思うんですよね。だからロックバンドの人でも、みんな歌も演奏も上手でしょ? ちょっと下手なぐらいが良い、という発想はないですよね。

──初ライブの時はどうでした?

初めてのライブはSHIBUYA CLUB QUATTROでした。僕らとNONA REEVESとネタンダーズのスリーマン。内容は覚えていないけれど、演奏も歌も酷かったんじゃないかな(笑)。なにせ、ライブをやることに興味がなかったんですよね。

──それはどうして?

自分で録音したテープをダビングして友達に聴いてもらうのが好きだったので、ライブには全然興味が持てなかったんです。「ライブよりも一生懸命作ったテープを聴いて欲しいんだけど」という感じでした。しかも、ライブでは自らチケットを売らなきゃいけない。もし自分が友達から「チケットを1000円で買ってくれ」と言われたら嫌だなと思っちゃうんですよ(笑)。だって特段観たいわけじゃないのに、どうして俺の数少ない小遣いから払わなきゃいけないんだろうって(笑)。

──若い頃の1000円は大きいですからね。

中古レコード屋へ行ったらCD5枚くらい買えるのに、と思っちゃう。中々、ライブに気持ちが向かなかったのはインディーズ時代はもちろんですが、メジャーデビューしてからも「こんなに良いアルバムが出来たのに、どうして万全じゃない編成でライブをしなくちゃいけないんだろう」と思っていて(笑)。その疑問は長いこと晴れなかったです。

──だけど、ライブをする高揚感はあるんじゃないですか。

そもそも目の前のモニターからガンガン音が鳴っているから、ステージ上は何の音が鳴っているのか分からなかったんです。演奏していて全然心地よくない。僕はキーボードで曲を作っているから、それが一番聴きたいんだけどちゃんと聴こえない。ボリュームを上げたら、今度は自分の声が聞こえないとか。そういったストレスを抱えつつ「これは仕事なんだからやらなきゃいけないんだ」と言い聞かせるようにやっていましたね(笑)。だけど2013年にバンド編成になってからは、イヤモニを使うようになった。そうすると、みんなの音がちゃんと聴こえるし、自分が何をやっているのかも分かるようになって。

──……なるほど。というか、イヤモニを導入するまでが長すぎますよ!

そうそう(笑)。バンド編成になってから、やっとライブが楽しくなりました。

──8月13、14日に開催するライブは、どのようなステージをイメージされていますか。

ベースが千ヶ崎学くん、マニピュレーションとパーカッションに矢野博康さん、サックス&フルートにMELRAWくんという布陣は去年と一緒ですが、今回はドラムに伊吹文裕くん、キーボードに宮川純くん、ギターにKASHIFくんを招いて演奏します。あとはゲストにAwichを招いて「爆ぜる心臓」もやるし、「再会」も披露する予定です。

──話しに出た「再会」は新体制1発目の作品ですけど、リリースされて手応えはどうですか。

コロナ禍の話なので、別に泣かせるつもりはないけれど「泣きました」みたいな反応が多かったです。

──コロナ禍になって曲作りのモードは変わりました?

やっぱり変化はありますよ。気にしなければ良いのですが、どこへ行くにもマスクをしなければいけないとなったら、やっぱり意識してしまいますよね。実際、ライブもツアーのスケジュールも飛んだし、そういうのが続いて「次も、もしかしたら」という気持ちになると前のようにガッと作品に向き合いにくい。だからこそ、今自分が抱えている感情を整理するためにも「再会」を書いたのがあって。一回、こういうコロナに関することを歌って、気持ちも新たに楽しく曲作りを出来ないかなと思って作りました。

──震災の直後にリリースした「あたらしい友だち」のインタビューで高樹さんは、「震災を題材にした曲を作ったのは、当時の生活の中に身近にあったものだから。エンターテイメントを発信する側が、そこを無視するのは違うんじゃないかと思った」と仰っていて。今回のコロナという、みんなが直面している問題に対しても非現実な希望ではなくて、自然に起こりうる希望を楽曲で描きましたよね。これがKIRINJIのポップスであり、エンターテイメントなのかなと思いました。

そうですね。「Pizza VS Hamburger」にしても割と身近なことを歌っているわけでね。やっぱり常に身近なものから題材を得ているので、そこは自分の中では避けて通れない感じがします。

──「あたらしい友だち」にしても「再会」にしても、高樹さんの中で「リスナーの心を少しでも晴れやかにしたい」という気持ちはあるんですか?

やっぱり聴いた人の心が晴れて欲しいと思って作っています。逆に、自分だけがスッキリすれば良いのなら、もうちょっと別のアプローチがあったのかもしれない。だけど、聴く人が「自分もこの歌の中にいるんだ」ということを改めて感じてほしい。カタルシスを得ることによって、何か浄化されたら良いなとぼんやり思いながら書いてました。

公演情報

DISK GARAGE公演

KIRINJI SPECIAL LIVE 2021 ~SAIKAI~

2021年8月13日(金) Zepp Haneda(TOKYO)
2021年8月14日(土) Zepp Haneda(TOKYO)
8月14日(土)は1日2回公演

出演:KIRINJI
ゲスト出演:Awich

チケット一般発売日:2021年7月17日(土)

RELEASE

「爆ぜる心臓 feat. Awich」

シングル

「爆ぜる心臓 feat. Awich」

(ユニバーサル ミュージック)
2021年7月28日(水)SALE
※初回限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD)の2形態

※画像は上から初回限定盤、通常盤

試聴・ご予約はこちら
https://jazz.lnk.to/KIRINJI_HazeruPR
「鳩の撃退法 (オリジナル・サウンドトラック)」

音楽:堀込高樹

「鳩の撃退法 (オリジナル・サウンドトラック)」

(ユニバーサル ミュージック)
2021年8月27日(金)SALE

ご予約はこちら
https://store.universal-music.co.jp/product/uccj2195/
  • 真貝聡

    取材・文

    真貝聡

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