変な言い方だが、みんながみんなライブ活動をほぼ封じられることになってしまった2020年において、こんなに活発に動いているのはfox capture planぐらいかもしれない。
外のボーカリストたちとコラボした新曲を6曲発表、映画やアニメのサウンドトラック・アルバムを3作発表、そして11月4日には全11曲収録のニュー・アルバム『DISCOVERY』のリリースが控えている(なお、前述のコラボ曲は一切入っていない)。三者三様に超絶テクニックを持つ、しかし技術力以上に作曲やアレンジのセンスが前面に出るピアノ・インスト・バンド、というポジションから、さらに次のフェーズに踏み出した意欲作、『DISCOVERY』に至るまでを訊いた。
外のボーカリストたちとコラボした新曲を6曲発表、映画やアニメのサウンドトラック・アルバムを3作発表、そして11月4日には全11曲収録のニュー・アルバム『DISCOVERY』のリリースが控えている(なお、前述のコラボ曲は一切入っていない)。三者三様に超絶テクニックを持つ、しかし技術力以上に作曲やアレンジのセンスが前面に出るピアノ・インスト・バンド、というポジションから、さらに次のフェーズに踏み出した意欲作、『DISCOVERY』に至るまでを訊いた。
foxは、「劇伴作家もやるけどバンドもやっている人たち」(カワイ)
──2020年になってサウンドトラックのアルバムが3作出ていますよね。TVアニメ『スタンドマイヒーローズ PIECE OF TRUTH』、映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』、映画『事故物件 恐い間取り』。
岸本 亮(Piano)はい。
──あと、9月27日に始まったNHK BSプレミアムのドラマ『一億円のさようなら』や、6月放送のテレビ東京の単発ドラマ『ラストライン 刑事 岩倉剛』の音楽とかもあるし。これ、もう、普通の劇伴作家の仕事量ですよね。
岸本(笑)。そうですね、それなりの仕事量かもしれないですけど、3人で分担して作っているので。だから普段のバンドとしての活動と、並行してできてるんだと思うんですけど。
───訊かれても困るでしょうけど、こんなにどんどん仕事が来るのはなぜなんですかね?
カワイヒデヒロ(Double Bass)(笑)なんですかね?
井上 司(Drums)2017年に『カルテット』(TBSのドラマ、1月〜3月放送)の劇伴をやってから、どんどんこうなっていった感じですね。「あのドラマを観て」って言ってくれる方が多いので、打ち合わせの時に。
岸本そうだね。あの時は、バンドがやっているからこそのおもしろさみたいなのを出せたと思うので、それを新鮮だと捉えていただいた方が、多かったのかもしれないですね。
カワイこの前、知り合いのプロデューサーに、謎に分析されたんですけど。foxが『カルテット』の劇伴とかを始めた頃に、ほかのバンドも何組か、劇伴をやっていたんですよ。だけど、なんでfoxはその後も多いのか、というのは、その人が言うには、ほかのバンドはアーティストとして劇伴を頼まれている、だけどfoxは劇伴作家もやるけどバンドもやっている人たちとして頼まれていると(笑)。
岸本それは、うちの劇伴制作担当のスタッフも言っていて。バンドとしての表現を持っているんだけど、管弦関係のアレンジとかもできる、という。
──元はバンドマンで今は劇伴作家になっているとか、バンドマンだけど個人で劇伴もやっている人はけっこういますけど、バンドごと両方同時進行でやっている人は──。
カワイそうですね、そんなにいないかもしれないですね。
活動している界隈が違う人と一緒にやった方がおもしろい(岸本)
──それをやりながら、歌もののコラボもありましたよね。フレンズのおかもとえみと作った「やけにSUNSHINE」と「甲州街道はもう夏なのさ」(ランタンパレードのカバー)、Survive Said The ProphetのYoshとコラボした「Curtain Call」、クリエイティブ・ユニットkolmeとの「See you feat. fox capture plan」、ジャズ・シンガーの青木カレンとの「another way / fire in the air」。
岸本はい。あと、去年は『Precious My Heroes』の宮本一粋さんとのコラボも(「Precious My Heroes」)。そこからつながっている感じなんですけど。
カワイ何年も前から言ってたんですよね、やりたいって。でも「誰とやろう?」っていうので止まってたんですけど、去年から本格的に始めて。
岸本カレンさんはもともとのシーンが近いですけど、えみそん(おかもとえみ)やYoshくんは、活動している界隈が違うので。そういう人と一緒にやった方がおもしろいんじゃないかな、っていう。
カワイ去年対バンツアーをやって、フレンズと共演したあたりから、「音源を出した方がいいんじゃないか」っていう声はあって。
──じゃあフレンズとの東京キネマ倶楽部で、一緒に「やけにSUNSHINE」をやった時は(2019年7月13日)、もうリリースするつもりだったんですね。
カワイそうですね。ただ──。
岸本もっと早く出すつもりだったんですよ。
カワイそう、あのライブの日に「リリースします」とか言えればよかったんですけど、いかんせん作ったのがギリギリすぎて、間に合わなかったので。
岸本あの曲、歌詞に夏感があるじゃないですか。
カワイでも、今からレコーディングしたら、最短でも9月、それじゃ遅いか、1年寝かそう、という(結果、2020年6月24日リリース)。
ピアノ・トリオとしてのスタイルは、ここで完結して新しいフェーズに行かないと(岸本)
──あの曲、すごくいいですよね。
岸本いいですよね。
カワイちょっと「サマーヌード」(真心ブラザーズ)的な。
──あ、自分で言いますか(笑)。
カワイめっちゃ意識して作ったんで。「絶対みんなこういうの好きでしょ!」みたいな。コード進行とかは全然違いますけど、雰囲気的なところは、90年代中盤の匂いというか、そういうのを意識してアレンジをしました。
井上ただ、1年後にレコーディングする時は、完全に曲を忘れてました(笑)。