──この30年の中で印象に残っている光景というと?
たくさんありすぎますね。でも渋谷公会堂での解散コンサートのことはあまり覚えていません。20周年の渋谷公会堂はかなり印象に残っていますね。というのは、解散する時点ではまた同じ場所のステージに立つことになるなんて、0.0001パーセントも思っていなかったから。20周年の時に渋公のステージに立った時に、こんなことって本当にあるんやな、不思議だな、みんなに迷惑をかけて解散したのに、また一緒にやるなんて、ヘンなバンドだなって、いろんな感情が湧いてきました。
──ブランクがあっても、また結集できるのは、根底に深い絆があるからなのではないですか?
メンバーがすごいんですよ。私が出産でどうしようもなくなって、解散する時も本当は嫌だったはずなんですが、「わかった」って言ってくれて、20周年の時に「やらない?」って言ったら、「わかった」って。メンバーが辛抱強いというか、出来てるんですね。みんな、私の我がままに付き合ってくれてる。
──ツアーに向けて新曲も制作しているとのことですが。
ツアーをやると決めてから、家でシミュレーションしていて、何か足りないなってずっと考えていて、新曲だなと気付きました。時間的にはかなりギリギリだったんですが、メンバーに「新曲を作りたい」って言ったら、「いいんじゃないか」ということになりました。それで、タイトなスケジュールの中、みんなで制作して、その中から曲を選び、12月31日、年を越す2時間前に歌を録り終わりました(笑)。
──どんな曲なんですか?
私が50歳、CHERRYが60歳、LINDBERGが30歳でキリがいいので、新たなLINDBERGをお見せしたいという気持ちが強かったんですよ。そのことをメンバーに伝えて、みんなで共有して、制作しました。30年やってきたいろんなお出汁が入ったミディアムテンポのとてもいい曲ができました。ライブ会場でみんなで一緒に歌える歌というイメージで作っていきました。
──30周年のツアーで、みんなで新曲を一緒に歌えたら、素晴らしいですね。
そうなんです。これでやっと腑に落ちました(笑)。歌詞の内容は聴いてくれる人が自分の好きなようにとってくれたらいいんですけど、私はこの2年間、ずっと眠っていたような感じだったので、そのことを書きました。歌にして吐き出すことで、乗り越えられたところがあるので、同じような体験をした人たちと共有できたらいいなあと思っています。
──今の渡瀬さんだからこそ、作ることが出来た歌と言えそうですね。
完成して思ったのはこの2年間は無駄じゃなかったなあってこと。この体験がなかったら、書けていない歌詞だと思います。この数年間、自分が味わった苦しみだったり、逆に喜びだったりがあったからこそ、書けた世界で。転んでも、ただで起きたらいかん、何かお土産をつかまないといかんということですね(笑)。
──ツアーはどんな内容になりそうですか?
たくさん曲があるので考え中なんですが、LINDBERGのライブを初めて観る中高校生から30年ずっと応援してくれている人まで、すべての年代の人に楽しんでもらえるライブにしたいですね。
──『 NO LIND, NO LIFE? 』というツアー・タイトルはどういういきさつで決まったのですか?
タイトルはCHERRYのアイディアです。メンバーそれぞれがタイトル案を考えて来て、その中から選んだんですが、30周年にふさわしいし、響きもいいねってことで、これに決めました。一応、最後にクエスチョンが入ってて、おうかがいを立ててる感もありつつという。
──8本のツアーということで、前回のツアーで行っていない場所も回る予定です。これは?
簡単に言うと、30周年なんで、行けるなら、行っちゃうおう!っていうことです(笑)。札幌も新潟も広島もしばらく行ってないので、とても楽しみですね。
──最終日の4月24日のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) の翌日、31年に突入します。
スタッフが頑張ってこの日を取ってくれました。解散の時も20周年の時もここでやってるし、渋公には特別な思い入れがあり、大好きな会場なんですよ。NHK紅白歌合戦に出て、同じ日に渋公でカウントダウンライブをやったこともありました。渋公でリハーサルをやって、横断歩道を渡って、NHKホールに行って、紅白の本番をやって、また戻って、というおもしろいことをやった場所でもあります。特別な場所で30周年を締めくくれるのはとてもうれしいですね。是非みんなで一緒に新曲を歌って、31年目に向かっていけたらと思っています。
──ツアーが終わると、デビュー31年となります。LINDBERGの未来についてはどう思っていますか?
これはあくまでも自分の頭の中だけで漠然と思っていることなんですけど、年齢も重ねてきてますし、ビルボードライブ東京やブルーノート東京みたいな場所で、食事をしながら、歌と演奏を聴いてもらえる、ディナーショーみたいなものもやっていけたらいいですね。もうそろそろ“大人LINDBERG”みたいなことをやってもいいんじゃないかなって。そういうシチュエーションにふさわしいように、オリジナル曲をアレンジし直すことで、楽曲に違う命が吹き込まれて、違う風が吹いて、新しい発見があるんじゃないかと思うんですよ。LINDBERGはまだまだ進化できると信じています。年齢とともに少しずつでいいし、ゆっくりでもいいんですが、とにかく進んでいきたいですね。
PRESENT
渡瀬マキデザイン!メンバーサイン入り「chu秋の迷月スタンドミラー」を2名様に!
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