インタビュー/有賀誠文
人気ゲームアプリ『モンスターストライク』のアニメに提供したテーマ曲や、ゲームBGMのカバー曲などを含む、まさに“モンスト尽くし”の3rdミニアルバム「Quest」をリリースした4人組ロックバンドWHITE ASH。11月4日(金)のTSUTAYA O-EAST公演を皮切りに、同作を引っさげてのツアー「Sympathy For The Monster」を行う彼らに、ライブに込めた想いやツアーへの意気込みを語ってもらった。
誰かにとっては必ず初めてのライブ。それを“長い付き合い”にしていけるかどうか
──今夏もフェス出演など、WHITE ASHとしての活動はかなり忙しかったのでは?
のび太 たしかに……忙しかったかも。
山さん リリースと同じタイミングだったので。バリバリ働いたな~って(笑)
のび太 ありがたいなぁと(笑)
──そういった音楽フェスとワンマン公演では、例えば心境的にも違いはありますか?
のび太 7月の赤坂BLITZ公演が(4thアルバム)『SPADE 3』のツアーのファイナルだったんですが、そこに至るまでのライブの本数がバンド史上最多だったんです。今までよりも長く廻ってきた分、ライブの度に「ここをもうちょっとこういうふうにできるな」とか、改善点みたいなものが見えて。それらをクリアしていって、最後のBLITZ公演で集大成みたいなものを見せられたっていうのは、自分たちとしても満足感というか、「ああ良いツアーを廻れたんだな」っていう、今までにないくらいの気持ちでしたね。
──そんな前回のツアーとは違って、今回はツアーのスタートが東京公演です。
のび太 僕たち、最初に大きな東京公演をやってから、ツアーに出るっていうのが初めてなんです。そういう意味では新たなチャレンジというか、どういうツアーになるんだろう、っていうワクワク感はありますね。
──WHITE ASHはステージでのアクションも激しいですが、ライブハウスと大会場ではどんな違いがありますか? 何かこだわりなどがあったら教えてください。
山さん 『SPADE 3』自体がライブハウス/ライブを意識して作ったものだったんです。それまでは「カッコいい音を作ってそれをライブで表現する」ってパターンだったんですけど、『SPADE 3』は「ライブハウスでお客さんと一緒に楽しむための音楽を作ろう」みたいな感覚で作ったので、そういう意味ではライブハウス用の音楽だったんですよね。なので、会場の大きい小さいを意識するというよりは、ツアーで培ってきたものをそのまま大会場で出したっていう感覚のほうが強かったというか。
剛 もともと「もう一回ロックバンドをやろうよ」っていうところから始まったというか。それまでは自分たちなりに色々と模索しながらも、シーケンスを多用したりだとか、“ロックバンド+α”のサウンドを提供していたんですけど、ライブをどんどんやることによって、「この4人で出してる音がいいよね」っていう自信が出てきて。そこから始まったツアーだったこともあって、お客さんとの距離感も縮めたいっていう感覚でやっていたので、規模感どうこうは自分としては意識していないですね。
──ある意味、原点回帰的な部分が大きかったと。
山さん ……広いところと狭いところ違いを考えると、音の届け方っていうのは、ちょっと違うかなっていうのはあって。さっき無いとは言ったものの(笑)
のび太 急にくつがえしたね!(一同笑)
山さん パフォーマンスと音のバランスで、自分の中で割合があるんですよ。より広い会場のほうが「届け!」と思いながら弾いてるというか(笑)。“気持ち”的な……。
のび太 山さんは“見え方”っていうところの意識は強くて。“お立ち台”ってあるじゃないですか? ライブハウスによっては、ステージの高さによって後ろの人まで見えづらいところもあるんですよ。それが、お立ち台に乗ることによって後ろの人たちにも見えやすくなる。距離が近いぶん前の方には“熱”が届きやすいんですが、会場の規模が大きくなったときに、後ろの方のお客さんに対しても同じくらいの気持ちで“熱”を届けられるのかどうかっていう、そういうところは意識してるかもしれないですね。
山さん 「この曲はめっちゃ真顔で弾きたい」とか「切ない顔で弾きたい」っていうのが、小さい会場だと届くじゃないですか、顔が見えるから(笑)。それが、大きな会場だと届いていないかもしれない。頑張ってそういう顔はしてるけど(笑)。そこを「音で届け!」くらいに感じられるようにしたいっていうか、お客さんひとりひとりに。
剛 いちばん見てるしね、お客さんの表情を。
山さん 先日も「XFLAG PARK 2016」(9月25日に幕張メッセで開催された大型エンターテイメントイベント)というイベントに出演させていただいたんですが、お客さんが1万人くらいいたんですよ。だけど、WHITE ASHのお客さんをほぼ見つけた気がする(笑)。いつも応援してくださってるファンの方もいるので、どんな会場でも「届け!」っていう気持ちでやってます。もちろん、初めて観てくださった方にも「ライブ良かったよ!」って言ってもらえて、めっちゃ嬉しかったし。「届いたんだなぁ」って。
のび太 でも基本的には、初めてライブを観た方にも「カッコいいな」「また観たいな」って思ってもらえるようなライブをしたいっていうのは、4人の共通認識としてありますね。誰かにとっては必ず初めてのライブだと思うので、それを“長い付き合い”にしていけるかどうかっていうのが大事だなって。
「Quest」はWHITE ASHらしさもしっかり出せた、『モンスト』との“コラボ”作品
──今回の「Sympathy For The Monster」はミニアルバム「Quest」のリリースツアーですが、本作は『モンスト』ありきの作品なのでしょうか?
のび太 そうですね、昨年末にアニメ『モンスターストライク』がYouTubeで配信されて、そのエンディング・テーマのお話を頂いて。『モンスト』ってメインテーマに使われているメロディがあるんですが、「それを基にWHITE ASHに曲を書いてほしい」というお話だったんです。それで、アップテンポな曲とミディアムテンポの曲を作って、どちらかが採用されると思っていたら、どっちも採用されて(笑)
剛 嬉しいことですよね。
のび太 なおかつ「ストーリーのエンディングによって流れる曲を変えたい。つきましては、あと3曲ほど欲しいです」ということになりまして(笑)。アニメ『モンスト』のエンディング用に計5曲作りました。
──それぞれのエンディングがどんな内容かを把握してから作られたんですか?
のび太 そうですね、『アニメ モンスト』の音楽担当の方と一緒に作りたい曲のイメージだったり世界観の話をして。例えば「この曲はこのキャラクターをフィーチャーした曲にしたい」「そのキャラはこういう性格なので、こういう曲調がよくて、こういうテーマで」……っていう話を1曲ずつ。ある意味“狙い”みたいなものがあって、そこに向かって曲作りを進めていくっていう形ではあったんですけど、すごくありがたいことに担当の方が僕らの音楽を好きで、聴き込んでくださっていて。とても理解してくださっていたので、もちろん『アニメ モンスト』の世界観も大切にしつつ、WHITE ASHの音楽性とか魅力も損なわずに、お互いが良い形で曲を仕上げていきたいと、そういう“コラボ”だったんです。僕たちも第三者を交えて制作することが初めてだったんですが、理解していただいていたことですごく作りやすかったというのもありますし、いちWHITE ASHファンとして、どういうところに僕らの魅力を感じてくれているのか? っていうのを客観的に教えてもらえる機会にもなって。
──リスナーの意見や気持ちを共有させてもらえた、みたいな?
のび太 そうですね。「WHITE ASHはこういうところがカッコよくて、こういうところが好きなんです。だからこの曲にはそういう要素を入れたいんです」という感じで。そういうやり取りを経て、いろんなタイプの曲が集まってできたミニアルバムでもあるので、すごくアッパーで勢いのある曲もあれば、ミディアムテンポの聴かせる曲、ロックンロールな曲、グルーヴィーで体を動かせるような曲もあって。でも、どれも本来のWHITE ASHらしさを持った曲になっているので、企画モノではありながら“新曲だけのベスト盤”みたいな、そういう作品に仕上がったなって思います。
──普段、ゲームとかはやられるんですか?
のび太 『モンスト』は、お話をいただいてからメンバー全員で始めました(笑)。ランクは剛が一番ですけど、『モンスト』って強いモンスターを倒してゲットできたりするんですが、一番強いキャラを持ってるのは彩さんです(笑)
彩 みんなガチでハマってます(笑)
剛 完璧なキャラがいないところが良いですね、それぞれ特化した能力があって。だからバンドと一緒で、専門的なスキルを持ってるメンバーが一緒に戦うっていう。
のび太 ガチャでもレアなキャラが出たりするんですけど、山さんはそれを当てる能力がスゴい。
山さん 能力というより運が良いっていう、ごっつぁん的な(笑)
のび太 作品の曲を作ったり歌詞を書いたりっていうのは、自分もゲームを体験したほうが理解度が違うっていうか、やってるからこそ分かる部分もあると思うんです。作品にちなんだ歌詞とかも入れたりしてるので、『モンスト』ファンの方には「あ、これプレイしてる人の見方だな」とかって反応してもらえると思います。