インタビュー/長谷川 誠
2014年から2015年にかけてのTM NETWORKの30周年の活動がひと区切りしたタイミングで、宇都宮 隆率いるスーパーバンド、T.UTU with The BANDが復活することになった。この名義でのツアーは実に1993年の“T.UTU with The BAND LIVE BUTTERFLY”以来、22年ぶりとなる。当時参加していた土橋安騎夫、葛城哲哉、是永巧一、山田わたるという百戦錬磨のメンバーが再結集してのツアー開催。さらにはT.UTU 名義の集大成とも言うべき、『T.UTU with the BAND All Song Collection』もリリースされた。ロックという柱がありつつ、ダンサブルでポップなスーパーバンドのサウンドは今の時代にも新鮮に響く。しかもこの作品には新曲も収録されていて、最新の彼らの音楽も見えてくる。このバンドとともに宇都宮 隆はどんなステージを展開していくことになるのだろうか?
──T.UTU with The BAND、22年ぶりの復活となりますが、このタイミングで動き出すことにしたのはどうしてなんですか?
いつ何が起こるかわからないような年齢になってきたことが大きかったと思います。自分がやりたいなって思い付いたことは、なるべく早いタイミングで実現していくべきじゃないかなって。TM(TM NETWORK)の30周年の一連の活動が終わったぐらいの時期からU_WAVE(2005年始動した宇都宮プロデュースによるプロジェクト)をやりながら、次は何をやろうかって考えていて、T.UTU with the BAND、おもしろいんじゃないかなって思ったんですよ。2017年がソロ25周年になるので、来年の方がふさわしいんですが、タイミングは関係ないな、やりたいと思った時がやる時だなって。幸い、メンバーも今のところ元気ですけど、来年はどうなるかわからないので、元気なうちに集めようということになりました。
──メンバーの反応はどんな感じでしたか?
土橋君はバンマスなので、先に言っておこうかなと思って、前からちらほら「やるよ」って言ってたんですが、その時点では本気だと思ってなかったみたいですね(笑)。それで正式に事務所にも伝えて、スケジュールも合わせてもらいました。ベーシストだけは何人か変わっているので、臨機応変で、過去にソロを手伝ってくれた人でもいいかなってことで、種子田健君にお願いしました。
──T.UTU名義での全作品集『T.UTU with the BAND All Songs Collection』もリリースになります。これは?
事務所とレコード会社との間での提案がうまくハマったということですね。ソロの一発目で録音して、世に出てなかった未発表曲、ザ・タイガースの『シーサイド・バウンド』のカバーもあったし、当時のアレンジでは演奏したことがないので、ライブも想定して、このタイミングで出すのがいいかなと。
──バンドサウンドが炸裂するアレンジになってますもんね。
大変優れたギタリストが2人いるので、さらに炸裂すると思います。
──新曲「flow」も収録されていて、ソリッドなサウンドがスリリングです。この曲はどういうきっかけから生まれたのですか?
過去のものだけでやるよりは、今の年齢になったT.UTU with the BANDで1曲作ろうよという話になって、土橋が何曲か仮で書いてきた中から僕がチョイスして、メンバーでせーので録っていきました。
──レッド・ツェッペリン的なテイストもありつつ、最新のロック・サウンドになっていて、ライブでやったら盛りあがりそうですね。
そんな感じになるんじゃないかと思います。
──歌詞は今回、再始動するバンドの動きとも重なってくる部分もありそうですけど、リクエストしたことはありますか?
方向性みたいなものは僕と土橋君とでちょっと考えました。あと、曲調が曲調なので、あまり軽すぎないもので、でもみんなで叫べる歌詞にしたいよねってことは伝えました。
──ボーカル録りの時は何かポイントにしたことはありますか?
久々に生バンドの演奏に乗って歌うわけで、しかもあの人たちなので、バンドが生み出すグルーヴ感にどう寄り添っていくか、ということに気を使いながら、歌いました。ライブに向けても、いいリハーサルになったんじゃないかと思います。
──20数年ぶりにこのメンバーでスタジオに入って感じたことはありましたか?
前のツアーはほぼ今回のメンバーで回りましたけど、レコーディングはこのメンバー、フルではないんですよ。例えば、デビューシングルの「Trouble In Heaven」はドラムはわたるちゃん(山田わたる)で、ギターも葛城君だったけど、ベースはREBECCAの高橋教之君だったり。このメンバーって、ホントに上手い人たちばかりなので、あっという間にレコーディングが終わってしまいました。で、ああ、やっぱりこの人たちって、上手いんだなって、確認したというか(笑)。
──20数年前と比べて、変わったことは?
みんな、おっとりしてきていますよね(笑)。時間にルーズになってきたり。まったく変わってないのは是ちゃん(是永巧一)かな。いつもちょこまか忙しく動いている。それぞれ音楽的にすごい人たちが集まってますが、是ちゃんは音楽に対する取り組み方が若い時から変わっていない。そこはすごいなって思いますね。
──『T.UTU with the BAND All Song Collection』という形でまとめてみて、感じたことというと?
いちばん感じたのは20何年たっているけど、楽曲も自分の声質も含めて、古くさくないなってことですね。
──ボーカル、伸びやかで気持ち良く響いてきました。サウンドもダンス・ロック的な要素が今、新鮮だなと感じました。
そうですね。そのあたりは自分でも新鮮でした。
宇都宮 隆からの動画メッセージ公開!