──他のフリージャズと並ぶのではなく、普通のジャズと一緒にやりたい、という話もそうですし、三上寛や麿赤兒と共演したり、フォークやニューミュージックのライブに出て行ったり、最近だとZAZEN BOYSとセッションしたりしたのもそうですが──別のもの、異なるものと混ざっていきたい、という気持ちが一貫してある、ということですかね。
そうですね。ただ、ZAZEN BOYSにしてもそうですが、一緒にできるっていうことは、どこか同じものを持ってるんですよ。ZAZEN BOYSもむちゃくちゃフリーでしょ? ですから、やりたいことは同じだったりするんです。コードが決まってて「1,2,3,4」でこの曲をやろう、っていうんじゃなくて、「『せーの』で何かやっちゃえ」っていうことは一致してるんですね。その他は違っていいんです。お互い違うものを持ち寄って何か作る、っていうのは、とてもスリリングでおもしろい。そういうことを自覚してやっている、っていうことが大事ですね。
──今度のコンサートには、タモリさんもゲスト出演されるそうですが。よく知られていますが、タモリさんが世に出ることになる最初のきっかけは、山下さんだったという。
あの時は、福岡のホテルで、(中村)誠一が浴衣姿でゴミ箱をかぶって踊ってたんです。で、各々それに合わせて「♪かっぽん、かっぽん」とか言って、お能の真似をしてたわけですね。それがあまりにうるさいので、タモリが我々の部屋をのぞいたんです。それでタモリが「あ、ここは俺が行くべき場所だ」と思った、っていうのがすごいことで(笑)、それで中腰で踊りながら入って来たという。
それが始まりですね、タモリの。僕は言いふらしっぺですから、そのおもしろさをただただ言いふらして、新宿のみんなが集まるバーにタモリが現れることになった、という。
だからあの時は、自分たちだけの打ち上げですよ。誰が観ているわけでもない、ただ仲間を楽しませよう、仲間を笑わせようってんで、誠一はやっているわけです。それにのって僕たちも騒いでいて……だから、楽器を持っていなくてもそうなんですよ。
──(笑)。
そういう人間どもなんです。で、楽器を持っていても、たとえ誰ひとり聴いてなくても「俺たちはおもしろいよね」っていうことで、できるんですね。で、誰か聴いてくれたら、さらにうれしいから。それで僕たちは、誰でもが足を踏み入れられる、ピット・インという場所を選んだ。普通のジャズを聴きに来た人が「なんだこりゃ?」って思ってくれていい。そういう出会いがほしかった。そういう人たちの中には、「あれ? こっちの方がおもしろいんじゃないか?」って、また来てくれる人もいるかもしれない。最初から「これはフリージャズだよ、特別な人しか来られないよ」っていう方には行かない、っていう意志はありました。とにかく開かれたところでやる、ただしやることは変えない、誰かが振り向いてくれるはずだ、っていう。
──今回のコンサートについて、演者として楽しみにされていることってあります?
それはもう、ものすごく楽しみですね、この人たちとまた一緒に音を出せるっていうのは。何をやっても自分は自由だし、相手が自由にやることも全部受け止められるだろうし、そうやってとっても楽しい時間を作り上げることができるっていう予想は、すぐできますね。おもしろいことを、思いっきりできるんじゃないかな。
PRESENT
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