歌に寄り添う練られたアンサンブルで次世代のギターロックを鳴らすユアネス。一方、荒涼とした自然を想起させ、構造的にはポストロックの方向性も持つmol-74。この2バンドが2度目となる2マンツアーを実施!
出会いや今回ツアーに向けた抱負をヴォーカリスト対談でお送りする。
出会いや今回ツアーに向けた抱負をヴォーカリスト対談でお送りする。
自分が持ってないものを黒川くんはめっちゃ持っていて(武市)
──最初の出会いの経緯は何だったんですか?
黒川侑司(ユアネス)2018年5月にmol-74の恵比寿LIQUIDROOM公演をユアネスのメンバーみんなで観に行かせてもらって、そこが初対面でしたね。一方的な初対面でいうと、僕が福岡でバンドをやってた頃に友達のライヴを観に行ったら、たまたま対バンがmol-74で。4年前くらい前かな?でも僕はバイトが入っとったんで一瞬しか観れなくて、そのあとYouTubeで拝見してたので存じてはいたんです。
──武市さんはどのタイミングでユアネスを観たんですか?
武市和希(mol-74)僕は共通の仲が良いバンドがいて、そのヴォーカルの子が“ユアネスってバンド、すごくいいよ”って教えてくれて、たぶん「Bathroom」のミュージックビデオを観たのが一番最初だったと思います。それで、世界観をすごく大切にしてるんだろうなっていうのが伝わって。でも、そこから対バンするまではなかったよね?
黒川その年の7月にあった『GLICO LIVE“NEXT”』(大阪のFM802とGREENSのイベント)の時までは。
武市その『GLICO LIVE“NEXT”』はマカロニえんぴつと3マンで。その時の打ち上げとかで仲良くなったんです。で、あれなんだよね?ユアネスが本番の時間を5分か10分くらい違えてて、長くやっちゃったんです。で、演奏終わって僕らが戻ってくると、ユアネスが全員楽屋の前に立ってて“すみませんでした!”って言われたので“え?どうした、どうした?”って聞いたら、“演奏時間を間違えてて”って。“そんなに謝ることじゃないよ。大丈夫、大丈夫”って言ったんですけど、打ち上げでもずっと謝ってて(笑)。それがちょうど1年前ぐらいだね?逆にそれがあったから、余計に仲良くなれた部分はあって。
──2バンドともヴォーカリストの個性や声質が大事な部分だと思うんですけど、表出の仕方が全然違うじゃないですか。お互いの魅力を挙げるとすれば?
武市自分が持ってないものを黒川くんはめっちゃ持っていて。というのも、やっぱり歌っていうものを黒川くんもバンドもすごく大事にしていて。僕は昔から歌の技術に対してそこまで興味を持ってなかったんですよ。どちらかというと歌を楽器として扱いたいというのがあって。方や彼は歌がしっかりしていて、ライヴを観ても、ユアネスもきっと歌を一番前に持ってきたいというのがあるんだろうなと。ちゃんと黒川くんの歌と存在感がしっかりあってすごく羨ましいなっていうのが最初にライヴを観た時の感想ですね。
黒川僕が武市さんに思ったのは、今言われたこととまったく同じというか。自分が持ってないものを持っているのが一番大きいです。本人もおっしゃっていたように、歌を楽器のように扱っているっていうのはまさにその通りだとずっと思っていて。力強いわけではないけど、すごく響いてくるまさに楽器のような声だなと。出番前とかに声を確認したりするんですけど、その段階で聴き心地が良いんですよね、武市さんの声って。雑味がないというか、そこは僕にはないところで、常に他のメンバーさんの楽器とのバランスが保たれている武市さんの声は羨ましいと思いました。
──あとは人としての魅力も溢れてると思いますよ?
武市人懐こいですね、ユアネスは。とにかく腰が低いんですよね。誰からも可愛がってもらえるだろうなって感じがしました。MCにも出てるじゃないですか? 僕らはワンマンではほとんどMCをしないんですけど、この前の2マンの時も人となりが全部MCに出てて、それありきでの楽曲っていうのが、すごくあったかいバンドだなって思いますよね。
──時と場合によっては曲のことをそんなに説明しなくてもって思うバンドもいるじゃないですか? でもユアネスの場合、曲に入る前の語りが自然ですね。
武市そうなんですよね。ちょっと胡散臭い人もいるけど、黒川くんは“嘘つかないんだろうな”っていうのが出てますよね?(笑) それがすごくね、曲に結びついてるんですよね。
黒川でも僕からしたら、mol-74みたいな世界観を保ちつつのライヴ展開ってめちゃめちゃ憧れてたものではあるんですよ。結成当初はちょっと違うスタイルで、クールな自分を演出しているところがあったんですけど、全然上手くいかなくて。そもそもクールな人間じゃないので嘘くさいんですよ、それこそ。それで喋るのが一度嫌になったことがあって、ギターの古閑くんに喋らせていた時もあったんです。でもやっぱりヴォーカリストとして自分で喋りたかったので、自分の素直な言葉で喋るようになったんです。
武市むしろ意外だったりしない? ユアネスとやった時にお客さんの“好き”の円が被ってて、やってることって意外と違ったりするんだけど、逆にどこらへんが同じ好きの円にカテゴライズされたんだろうって。まずひとつ僕の中での見解はユアネスもそういう“おら、頑張れよ!”みたいな感じのバンドではない。
黒川そうですね。ちょっと後ろめたい気持ちはある中でも、多少なりの希望のかけら、みたいな。
武市そうそう(笑)。そういう部分はある。あと、ユアネスが書いてる曲も結構風景が見えたり心情描写であったりとか、そこでつながってんのかな?っていうのがありますね。
黒川サウンドだけで聴いちゃうと違うのかもしれないけど、詞で聴くと多少共通するものが被ってくるのかなと。そこはお客さんにちゃんと詞が聴いてもらえているんだなと思いますね。
ピアノ弾けるようになりたいんですよ。今回は「エイプリル」のカバーを完全にしたくて(黒川)
──ちなみに前回2月の2マンツアーの手応えはどうでしたか?
武市いや、楽しかったしか出てこない(笑)。
黒川シンプルに2マンツアーが初だったんで、正直、その感覚をどうやって掴めばいいんだろう?っていうのはあったんですけど、一番最初がmol-74で良かったなっていうのが個人的な意見です。自分たちの良さをどれだけ出せるか?というよりも、どれだけ吸収できるか?が僕は重要だと思っていて。もちろんお客さんに楽しんでいただくのが大前提なんですけど、すごく吸収しがいのある方々だったので。
武市僕らも2マンツアーってがっつり銘打ってやるのはユアネスが初めてでした。初日が仙台だったんですけど、その時、ユアネスが僕らの「エイプリル」という曲をカバーで持ってきたんですよ。
──あの名曲を(笑)。
武市すごく嬉しくて。僕らもやろうとしてたんですけど、やるとしてもファイナルの山口の時にやったらいいかなって話をしてたんですよ。そしたらツアーの初っ端から「エイプリル」やってくれて。
黒川ははは。
武市これはやろうぜってことになって、僕らも「Bathroom」をカバーしたんですけど。なんだろ? 本来2マンツアーって、仲は良くてもバチバチやらなくちゃいけないっていうのがあるんですけど、結局、僕の中で“ユアネスってええバンドやったなぁ”で終わったというか(笑)。でも僕らがそう思ったってことは僕らのお客さんもたぶん同じ気持ちなんだろうなと思ったし、あとはそれこそお互いの人間味がしっかり見えたツアーだったんじゃないかなと思っていて。
──今回もお互いのカバーを?
黒川僕、ピアノ買おうかな。前に「エイプリル」をカバーしたときは、パソコンでピアノを鳴らしてたんで、僕は歌うだけやったんです。でもやるんやったら完全にやりたいんですよ。
──ユアネスのオリジナルの前に黒川さんがmol-74のカバーでピアノを弾くという場面が目撃できるかもしれませんね(笑)。
PRESENT
サイン入りチェキを3名様に!
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