──アルバムの終盤には「you」「夜明けの月」といったストレートなラブソングも。ハルカさんの歌詞、すごく率直になってますよね。
ハルカ 今回は「要らないものは要らない」という感じだったかもしれないですね。言葉の選び方もメッセージも、なるべく削ぎ落としていったので。舞台(劇団 東京マハロの舞台『そして友は二度死んだ』)をやっていたことも大きかったんですよね。アルバムの曲作りからレコーディングの期間と、舞台の稽古と本番の時期がちょうど重なっていて。稽古した後で歌詞を書いたり、本番が終わってから歌を録ることもあって、自分が誰なのかわからなくなるような感じもあったんです。「ハルカなのか、舞台の役の人なのか、それとも素の自分なのか」って。でも、それはどうでもいいなって思ったんですよね。結局、自分じゃなくなることはないし、「役に入ってる状態で歌詞を書いてもおもしろい」みたいな考え方ができるようになって。いままでは自分の経験が強くないと書けなかったんだけど、今回はフィクションだったり、登場人物を明確にして歌詞を書くこともありましたね。
──置かれた状況や対面している相手によって、自分自身の感覚も少しずつ変化しますからね。
ハルカ それはすごく感じます。ちゃんとした自分とメチャクチャな自分が存在しているなって、ハッキリ気が付いたんですよね。たとえば「ふだん何をしてるんですか?」と聞かれたときに、同時にふたつのことを考えてたりするんですよ。すごく常識的な自分もいれば「全員、敵だ」って思っている自分もいるっていう。でも、それで普通なのかなって。
──最後に9月24日(土)に行われる日比谷野外大音楽堂のライブについて。現在開催されている47都道府県ツアーのファイナル公演ですが、どんなライブにしたいと思っていますか?
ハルカ そうですね…。これまではライブで歌っているときの感情と歌(の内容)がズレていると感じる瞬間がけっこうあったんです。以前の曲といまの感情がハマらないことがイヤで、だからこそ「“いま”のアルバムを作りたい。そのままの感情で歌える曲がほしい」と思ったし、「LOVELESS/ARTLESS」はライブが見えるアルバムでもあるなと感じていて。野音はただのリリースパーティではなくて——もちろん昔の曲もやるし——ハルカトミユキのいちばんの到達点にならなくちゃいけないという気持ちが強いですね。去年の野音(フリーライブ)から始まった1年、その前の時期を含めて、昇華できるんじゃないかなって。
ミユキ 今回のアルバムが出来たことは自分たちの自信にもなったし、「これをたくさんの人に届けたい」という気持ちも強くなっていて。あとは必死で47都道府県を回り切って、チケットを捌きたいなと(笑)。
ハルカ 去年の野音から考えると「どれだけ遠回りしてるんだよ?」って思うけど(笑)、47都道府県を回らないと、今年の野音も出来なかったと思うんです。“楽しみ”だけではなくて、怖いなと感じるところも沢山あるけど、それを含めて、この修行みたいな日々の結末を見届けてほしいですね。
●NEW ALBUM収録の「DRAG&HUG」MV