──どんなサウンド、どんなアレンジでも、SURFACEの個性がしっかり感じられるところがこのアルバムの魅力だと思いますけどね。
椎名ありがとうございます。それは自分たちもわかってるし、SURFACEらしさがなかったら、再始動する意味もないですからね(笑)。
永谷いろんなタイプの曲があるんだけど、確かに“らしさ”は残ってますよね。歌詞にしても、時代を切り取るような歌もあれば、パーティ・ソング、泣ける恋愛の歌もあって。こういうラブソングはどういう経緯で…?
椎名実体験じゃないからね(笑)。妄想力というか、映画、マンガなどから受け取った刺激を自分のフィルターを通して表現している感じですね。アルバムでいうと、5曲目(『spilt milk』)、6曲目(『また僕はうなずく』)がポイントだと思ってて。こういう泣ける曲があることで、背中を押せるような前向きな曲も活きるんじゃないかなと。
──いまの年齢だから歌える曲もある?
椎名どうでしょうね。若いときに書いた曲、たとえばデビューシングル(『それじゃあバイバイ』/1998年)をライブで歌うと、「曲の響き方が違う」と言われるんです。そう考えると、どんな曲を歌っても、いまの自分として表現できるんじゃないのかなと。学生を主人公にした歌も歌えると思うし、「いまの年齢でしか歌えないものを」とは考えてないですね。
──なるほど。永谷さんのギターも素晴らしいです。音色、フレーズを含めて、すごく個性的で。
椎名「NANANA」のカッティングなんて、永谷しか弾けないですからね。
永谷ギターに関しては、椎名くんやエンジニアの方を含めて、みんなで話しながら作っていった感じなんです。以前はひとりでダビングすることが多かったんですよね。録音の操作も自分でやって、ひたすらひとりで弾いて。
椎名そうだった(笑)。
永谷今回は「今のフレーズ、どう?」って聞きながらレコーディングしていたから、そこはぜんぜん違いますね。大切なのは音色なんですよ。音色が決まれば、自ずとフレーズも見えてくるので。
椎名ギターに感情を込めるのが上手くなってるんですよね。耳もよくなって、細かいニュアンスまでわかるぶん、「以前だったらOKテイクだろうな」というソロがNGになったり。
永谷そうかもね。
椎名ギターの録音にここまでしっかり立ち会ったのは初めてだったから、印象深かったし。アドバイスを求められることも初めてだったし、俺も「このほうがいいんじゃない?」というジャッジできるようになってるので。ギターソロはすごく個性的なんだけど、バッキングでは絶対に歌をジャマしないのも永谷らしいなと。
永谷そこは大事にしてるからね。今回も楽曲に合ったギターが弾けたと思うし、そこは良かったです。
──ボーカルのレコーディングはどうだったんですか?
永谷ギター録りと同じで、ボーカルのレコーディングにもほとんど立ち会ってました。
椎名それも初めてですね。「ここのコーラス、必要かな?」「いや、そこは要らないんじゃない?」みたいな話をしながら、ハモリのアレンジもその場で作って。
──全体を通して、密接なコミュニケーションを取りながらの制作だったんですね。
椎名そうですね。デモ作りの段階から密にそばにいる状態で制作して。いちばんシンプルなやり方ですよね。どうして今までやってなかったんだろう?(笑)
永谷ホントだよね(笑)。「spilt milk」では武部さんにピアノで参加してもらって。
椎名ありがたいよね。
永谷音もいいんですよね。今回はイギリスのメトロポリス・スタジオでリマスタリングして(The Killers、Gorillaz、U2 などの作品を手がけるマスタリングエンジニア、John Davisが担当)。声がすごく太くなってるんですよ。
椎名メトロポリス・スタジオでマスタリングすることを勧めてくれたのは、一緒にレコーディングをやったエンジニアなんです。海外のマスタリングも初めてだったけど、やってよかったですね。
──7月末から始まる全国ツアー「ON ~two as one~」も楽しみです。アルバム『ON』の曲もたっぷり聴けると思いますが、どんなライブになりそうですか?
椎名いま話しているところなんですが、まずギターに関しては、永谷のギター1本でやりたいんですよね。音源では何本も重ねてるんですけど、フレーズを上手くまとめてもらって。永谷には負担がかかりますけど、歌とギターはしっかり生で届けたいので。
永谷新曲以外の曲も、『ON』のテイストに寄せたアレンジにしてみたくて。アルバムの色に染めるというか…。今回のアルバムはゴリゴリのロックというよりも、ポップス寄りだと思うんですよね。それをライブでも表現したくて。
──確かに今回のアルバムは、これまで以上にジャンルレスですよね。
椎名そうかもしれないですね。俺も永谷もずっとロックだけを聴いてきたわけではないし、ブラックミュージックも好きだし、いちばん好きなアーティストはマイケル・ジャクソンだったりするんですよ。今回のアルバムはジャンルに関係なく、「これがSURFACEだ」と言えるものになったんじゃないかなと。ツアーでも「これがいまの永谷だ」「これがいまの椎名だ」「これがいまのSURFACEだ」というものを見せたいですね。
──ファイナルは9/21(土)の東京・中野サンプラザホール公演です。
椎名ツアーはほとんどスタンディングなので、中野サンプラザもいい意味で同じような感じでやりたくて。座って聴いてもらう曲を増やすとかではなくて、(座席のあるホールで)余裕のあるスタンディングライブができたらなと。とにかくいいライブにできるようにがんばります!
PRESENT
直筆サイン入りポスターを3名様に!
※転載禁止
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