2018年のデビュー20周年を機に再始動。精力的にライブ活動を繰り広げてきたSURFACEが11年ぶりとなるオリジナル・アルバム『ON』を完成させた。「いままででいちばん2人で顔を突き合わせて、じっくり話し合いながらの制作でした」(椎名慶治/Vo)という本作、そして、7月末から始まる全国ツアー「ON ~two as one~」について、椎名、永谷喬夫(Gt)に聞いた。
──ニューアルバム『ON』の話の前に、5月25日に行われた“SURFACE×武部聡志”によるコラボレーションライブ「SAIKAI II」(東京・昭和女子大学人見記念講堂)について。SURFACEの代表曲、新曲から椎名さん、永谷さん、武部さんのソロ曲も披露された盛沢山の内容でしたが、手ごたえはどうでした?
椎名武部さんはデビュー前からSURFACEに関わってくれた恩師ですからね。20年音楽を続けてきて、武部さんとダブルネームでステージに立って、音が出せるというのは奇跡だと思っていて。ライブ中はずっと緊張していて、楽しむという感じではなかったんですが、とにかく実現できたて良かったなと。
永谷うん。武部さんはお忙しい方なので、まずライブが実現したことが嬉しくて。
──ソロコーナーでは永谷さんが歌う場面も。ソロアルバム『Heartbeat』の楽曲を披露していましたが、ブラックミュージック、AORのテイストが感じられるサウンドと永谷さんのボーカルがすごく合っていて。
永谷ありがとうございます。いろんな音楽を聴いてきましたけど、自分のなかにいちばん残っているのは、
カテゴライズでいうとブラックミュージックなんですよね。その雰囲気を武部さんが感じ取ってくれて、演奏に活かしてくださって。僕はただ歌うだけでした。リハは大変でしたけどね(笑)。
カテゴライズでいうとブラックミュージックなんですよね。その雰囲気を武部さんが感じ取ってくれて、演奏に活かしてくださって。僕はただ歌うだけでした。リハは大変でしたけどね(笑)。
椎名ライブの構成、曲のアレンジもそうですけど、とにかくどんどん決めていっちゃうんですよ(笑)。自分のソロコーナーで新曲を歌ったんですけど、楽曲のデモを武部さんにお渡ししたら、リハーサルのときに「ちょっと短くしよう」ってバッサリ切られたり。やってみると「こっちのほうがいいな」と思ったし、判断が的確なんです。ライブ全体の流れ、MCの置き場所に関してもアドバイスをくれて。
永谷物事を決めるのが速いから、目がクルクルしちゃいましたけど(笑)、すごくいいライブになったと思います。
──そして7月24日には活動再開後、最初のアルバムとなる『ON』がリリースされます。オリジナルアルバムは「Inivitation No.6」(2008年)以来、約11年ぶりですが、制作はどんなふうに始まったんでしょうか?
椎名(SURFACE活動休止中は)お互いの制作を見ていないから、まず、すり合わせをしたほうがいいなと思って。ギタリスト、ボーカリストのユニットだし、永谷がギターを弾いて、俺がその場で歌うという方法で曲作りを始めたんです。それが2年前くらいかな。
永谷うん。
椎名その後、再始動して、豊洲PITのライブ(20周年を記念した『Re:Attraction』)などがあって。曲作りも少しずつ進めていたんですが、「やっぱりアルバムにしよう」ということになったという感じですね。「いま椎名はどんなことをやりたい?」「わかんないな…」みたいな話をしながら(笑)。
──基本的に椎名さん、永谷さんが顔を合わせて制作することが多かった?
椎名今回はそうなりましたね。
永谷作ってるときは目の前の曲に集中していたし、必死でしたけどね。曲が出来上がってきて、「以前よりもいろんな部分を意識しながら曲を作れるようになったな」と思ったり。
──アレンジもバラエティに富んでますよね。バイオリンをフィーチャーしたアッパーチューン「Is life beautiful?」、ド派手なホーンセクションから始まるダンサブルナンバー「NANANA」など、椎名さんの歌、永谷さんのギターを軸にしながら、サウンドに広がりがあって。
椎名多彩ですよね。もともと永谷は多彩なアレンジができるヤツだし、それが活かされたのかなと。永谷自身は「自分が作るとこうなるよね」という傾向が気になっていたみたいで、僕のソロ作品に参加していた宮田’レフティ’リョウにアレンジャーとして入ってほしいと言い出して。たとえば3曲目の「やってみようよ」は、宮田がかなり手を加えているんです。
──R&Bテイストのビート、激しく歪んだギターなど、かなり攻めたアレンジですよね。
椎名自分たちとしてもかなり新鮮なことをやれたと思っていて。ただ、この曲を聴いた人はやっぱり「SURFACEらしい曲」と感じるような気がするんですよね。どんなに新鮮な風を吹かそうとしても、俺が歌って、永谷がギターを弾けば、SURFACEっぽくなるっていう。それは自分たちが培ってきたものでもあり、今後の課題でもあると思っていて。
永谷そうだね(笑)。