最近、神視点になっちゃってて、悟り開いた奴みたいな発言ばっかりしてる(笑)
──冒頭で、日本においてヒップ・ホップはまだまだイロモノとしてみられているというようなお話がありましたけど、同時にリスナーとしての実感としてはシーンとして盛り上がってきているなぁという感覚もあって。KREVAさんは、どのように現状を診てらっしゃるのでしょうか?
いやぁ、でも、シーンってものがないと思うんですよね。若い奴らもそれを求めてないし、発表の場も自分たちでどうにかできる。「みんな、集まれよ!」って俺が音頭とったって「それってヒップ・ホップなの?」って思うし。勝手にやってるのがいいんじゃないですかね?音をもっとよくするとか、そういうテクニカルな部分に関しては俺もいろいろ若い奴らに手助けできることもあるのかもしれないですけど、みんな勝手にやってるっていう感じがいいんじゃないかなって思ってます。
──最近、アメリカのラッパー・Eminemが若手のラッパーをディスる楽曲をリリースして話題を呼んでいましたが、KREVAさんとしては若手に対して思うところはありますか?
いや、Eminemが言ってることでわかるところもあるんだけど、俺は正直ないっすよ(笑)。BAD HOPとか、KOHHとかめっちゃいいし……いいなぁって思うことの方が多いですね。なんていうか……俺の考えだとヤバい奴って「神」だと思うんですよ。アメリカとかだと一神教だから「神」っていうと、そのまんまの意味だけど日本は多神教だから。それでいうと、俺のスキルはもはや「神」だな、と。「神」って降りてきて、人間と争ったりしないじゃないですか。
──あー、なるほど!
自分的には天空にいて、下見てる感じなんですよね。最近、神視点になっちゃってて、悟り開いた奴みたいな発言ばっかりしてる(笑)。同じ土俵の競い合いじゃないから、そういうのを求めてる人たちからすると面白くないと思うんですけどね。まぁ、争うフィールドの成熟度とかもありますよね。やり合うのが面白そうだったら、やってたと思うんだけど。バトルを昔やってたのは、それが一番自分にとって表現できる場だったからやってただけなんですよ。だから、ヒップ・ホップ・シーンって呼ばれるものもないことはないだろうとは思うんだけど、そういうの気にしなくなっちゃいましたね。あと、たくさんの大物たちに会うことも多いんで、その人たちからすると俺なんかまだまだ小物で。小物がその下の小物と争ってても仕方ないでしょ(笑)。そう言う意味でいうと、俺が今、文句を言うべき相手はMr.Childrenの桜井さんクラスの人ですよ(笑)。でも、今、文句言うところ探しても特にねぇんだよな……みたいな(笑)冗談です。喧嘩を売っていくなら、自分と同じぐらいかそれよりも大きい存在に売りたいなって思ってます(笑)。
──すごい発言が、バンバン飛び出してきますね(笑)。KREVAさんの15周年のその先も楽しみです。
いやぁ、本当は片がつくんだったらつけときたかったですけどね。やりきったって全然思えないし、まだまだ曲作りたいって思ってるから。30周年では「衰退の一途」ってアルバムを出してるかもわからないけど(笑)。正直、先のことは考えている余裕がないですね。五十何歳とかでどんなラップしてるかとかも想像つかないし。
三十人ぐらいのクラブで、一人一人に目の前で直に歌ってるような感覚
──これまでのKREVAさんがそうだったように、モードがどんどん変わっていきますもんね。リリックも、サウンドも変化しているし。
そうですね。2011年以降、リリックの感じは明確に変わらざるを得なかったんですよね。世の中に向けて「これでいくぜ!」って言う感じじゃなくなった。そうじゃなくてもミニマムな視点になっていた中で、もっと自分のファンに対して向かったなって思います。自分のライヴを観にきてくれている人たちの笑顔とか、こんな人たちが俺のファンなんだって言うのが完全にイメージできているので、その人たちにこれは言えないなとかそう言うのが多くなってきて。だいぶ言うことが変わってきたし、考えて言うようになったなって思います。
──さっきのライヴの話もアルバムの話そうですけど、今、目の前にいるファンに向けて生の自分の言葉と音楽を届けようというスタンスが感じられます。
15年の中で目の前にいる何万人もの観客がいるって言う状況を体感した今だから思うんですけど、曲を作っている時のイメージって、初期の頃は15万人規模に向けて歌っていた気がするんですよ。最近は三十人ぐらいのクラブで、一人一人に目の前で直に歌ってるような感覚があって。自分がわかってる想定ステージみたいなものがあって、そこからは決して降りてないような気がします。
──武道館公演が本当に楽しみになる、お話でした。
ただやるだけじゃなくて、いいものにしたいと思ってます!
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