お客さんのノリがバラバラのライヴが最高ですよね
──2006年にソロとしては初めて武道館の舞台に立たれて、その時のことで特に覚えていらっしゃることはありますか?
m-floのVERBALが、アンブッシュってブランドをやってるんですけど。当時、彼にダイアのネックレスを注文したんですよ。ヒップ・ホップで勝ち上がったやつはダイアのネックレスをつけるっていうのがすごく流行っていて。俺もいったろうかって思って(笑)。それが、武道館の当日に出来上がってきて……もう、とんでもないやつが。それは覚えてます(笑)。
──ほぼ毎年武道館でずっとライヴをやっていらっしゃるということもあって、武道館はもはやKREVAさんのホームといっていいんじゃないかと思うんですけど、ご自身としては武道館という会場に対してはどのような想いを抱いてらっしゃいますか?
そうですね。やり続けていくことで俺としても勝手にホームだと思うようになってました。あそこはシンプルに言って「最高」なんですよ。音楽やるのにあんなにいい会場ない。お客さんが全体に覆いかぶさってくる感じとか。改修するなら現状維持してほしいなって思ってます(笑)。武道館でやることは特別じゃないんですけど、あそこが特別な場所だってことは理解しながら、いつもやってるつもりです。軽く、パッとやるって感じじゃない。
──先日、三浦大知さんのライヴを武道館でご覧になられたそうですね。ほぼ毎年武道館でやっているにも関わらず客席でライヴを観たのは11年ぶりだったそうで。
今回の大ちゃんのライヴもその11年前に観に行ったPerfumeのライヴでもそうでしたけど、とにかく距離が近い感じがするんですよ。どっちも二階の真ん中に座って観てたんですけど、ダンスする時のステップとか表情がよく見える。大ちゃんの場合はセンターステージだったんで尚更でした。
──15周年記念のライヴも行われる予定ですが、どんなライヴになりそうでしょうか?「完全1人ツアー」で得たものとバンドのサウンドが合わさったようなものになると、ご自身のブログでは書かれてらっしゃいましたが。
正直、このベスト・アルバムの曲を順番に17曲やればライヴできちゃうんですけど、そうじゃなくて、今までバンドの時には出してなかった1人ツアーでやってたようなエンターテインメント性とか、そういうことも織り込んでいけたらなって思ってますね。
──エデュテイメント的な要素も入ってくるんでしょうか?
まだ、全然考えてないんですけど、あぁいうのは一人でやったほうがいいっちゃいいんですよね(笑)。でも、みんなすごく当たり前にライヴとかTVでバンドが生演奏するのを観てると思うんですけど、あぁやって間違わないで演奏するのって実はすごいことなんですよ。その技術みたいなところをわかりやすく、うまく見せるだけでエンターテインメントになると思うんですよね。でも、まぁ、ずっと黙って演奏してる方がいいなって思ったら、そうすると思いますよ(笑)。
──理想のライヴの形ってKREVAさんにとって、どんなものでしょうか?
お客さんのノリがバラバラのライヴが最高ですよね。何年か前からずっと言ってる事で、俺は「赤べこ」って呼んでるんですけど、手をあげてずーっと上下に振ってるような感じよりは、何にも指示してないんですけど、その人たちなりの楽しみ方のベストを好きなように出してくれてる状態のライヴはやってて楽しいです。
──どのような条件が整うとそんなライヴになるんでしょうか?
初めてライヴに来てくれる人たちと前から観に来てくれている人たちのフュージョンが重要なんですよ。初めて観る人たちってノリ方のルールを知らないから、自然に反応するじゃないですか。そういう人たちにはいつも来てくれている人たちを参考にしながら、自由にやればいいよって言っていて。いつも来てくれる人たちには「信頼してるよ」ってところを見せるようにしていますね。
──それってつまり誰も置いてきぼりにしないってことで。すごく難しいですよね。
いや、そうですよね。できるかできないかは別として意識することは大事ですよね。連れてこられてる人もいるだろうしね(笑)。やっぱり彼女に無理やり連れてこられた彼氏とかにも楽しんでもらいたいなって思ってますよ。いやぁ、自分の好きな人が俺のことを好きなわけで、それを観ろって言われてるの……複雑ですよね(笑)。やる側としてはハードル高いんですけど、そんな人がKREVAに対して思ってるイメージを変えたり、あるいは期待に応えるようにバランスを考えながらやってるつもりなんで、安心して連れてこられてください(笑)。