Photo:にしゆきみ
「危うく、足つりそうになっちゃった。はぁ、50歳ってさ……」とライブで自虐的に話していた椎名慶治だったが。なにを隠そう、僕も同い年の50歳。同様に身体の衰えを感じることは多々あるし、節目の年ということもあって思うことも多々あるけれど。椎名の最新作を聴いて、そして渋谷ストリーム ホールでのエネルギッシュなライブを観て、すごい元気と勇気をもらったし。「大丈夫、まだまだこれから」と背中を押された気がした。
今年5月、ソロ活動15周年記念となる最新ミニアルバム『I & key EN Ⅲ』をリリースした椎名慶治。リリースインタビューでは12年ぶりとなる『I & key EN』シリーズ最新作について、椎名を取り巻く“合縁奇縁”について、そして50歳になったいま考えてることと、作品を通じたいろんなお話をして。
≫【インタビュー】椎名慶治、ミニアルバム『I & key EN Ⅲ』が完成!合縁奇縁でソロ15周年、最高のメンバーとツアーを巡る
インタビュー中に本人にも伝えたが、僕が今作を聴いての感想は「よい意味で肩の力が抜けた、椎名慶治っぽい作品」ということと「共感性がすごく高い」ということだった。自分の中から湧き出るものを自然と形に出来てるところに、シンガーソングライターとしての好調ぶりを感じたし。キャリアも年齢もベテランの域に差し掛かりながら、全く落ち着くことなくギラギラしてるところにドキドキしたし。歳を重ねたからこその大人な考えや魅せ方、その説得力にすごく共感したし。なにより曲がどれもすごく良くて、「ライブで観たい!」と思わせてくれたのが、『I & key EN Ⅲ』という作品だった。
――ということで、ずっと楽しみにしていたリリースツアー。会場を埋める観客の期待が充満する中、颯爽とステージに登場した椎名が「key 2 the light」でクールに決めて、いよいよツアー最終日の幕が開く。「よく来たな!」と椎名がひと言告げ、始まった曲は「続・愛のファイア!!」。最新作収録ながら、リリース前からライブを沸かせてたこの曲。会場中が手拍子や手振りを合わせ、すでにライブ定番曲のような盛り上がりに、椎名の歌とパフォーマンスも絶好調! 愛のファイアを燃やす女性ファンから、黄色い声が上がる。
「悲しきマリオネット」に続いて始まった曲は、新曲「ギャンブリング・ダイス」。人生をギャンブルに例えた歌詞とジャジーな曲調が個人的にお気に入りのこの曲。「勝手知ったるメンバーで。このメンバーがいるだけで楽しくなる確約は取れてる」と椎名が語ってたバンド演奏はもちろんカッコいいし、<デカい勝ちにだけこだわってけ>とうそぶく歌詞が気持ちを奮起してくれる。メンバーとの息の合った掛け合いで沸かせたMCでは「あっという間に駆け抜けた3本でした」とツアーを振り返ったが、今作のレコーディングとツアーがいかに充実したものであったか、この日のステージを見ればよく分かる。
ネクタイとメガネを着用して、「I'm a サラリーマン」で始まったサラリーマンソングのブロックでは、新曲「妄想煩悩108」を披露。<スーツの下の本性を ギリギリ抑え込んでんだ>と、女性社員への下心を歌うこの曲。<幾つになっても 抗えない>と開き直る、欲まみれの主人公の気持ちもよく分かるし。そんな妄想煩悩を題材にする椎名の感性や、そんな曲さえカッコよく歌い上げちゃうところも面白い。そう、幾つになっても好きなもんは好きだから好きなんです!
MCではサラリーマンソングを歌い始めたキッカケを語って、「バレちゃいけない」を歌うと連想させて。実はSURFACEの「ゴーイング my 上へ」を披露するというサプライズ演出から、「それじゃあバイバイ」へ。意外な選曲にも関わらず、観客は歌声を合わせて大盛り上がりだったのだが。思った反応と違ったようで、ちょっぴり不服ぎみの椎名。「違う、もっと驚いて欲しかったのよ! SURFACE歌ってるんですよ!? もう、こんなサムい演出やらない!」とスネる椎名に観客が苦笑い。
そんな大人げないトークやもっちゅりん(ドーナツ)の話で和気あいあいとしたMCを展開すると、「I Love Youのうた」で美声を響かせて会場の空気をガラリと変えて、新曲「日常パート」へ。「ある意味、挑戦だった」と話していたこの曲。一輪の薔薇を片手に何気ない日常を優しい歌声で聴かせて、会場をハートウォームな雰囲気に包み込むと、切なくも優しい「komorebi」を披露。この振り幅やギャップの大きさも椎名の魅力。
「お節介焼きの天使と悪魔と僕」でしっかり魅せると、「年齢不showtime」でコンノユウタ(Gt)&宮田'レフティ'リョウ(Ba)が楽器を置いてラップパートを歌唱して、アッパーな曲調の「Giant Step」に会場中が手を振りかけ声を合わせてと、魅せ場が続きクライマックス感を生んだ終盤戦。“もはや神”とプリントされたタオルをみんなが掲げて、タオル回しで突風を吹かせた「TOWEL」から、拳を上げる観客の吠え声で始まった「Let's HIT」で本編を締めくくるラストの流れは『I & key EN Ⅲ』のリリースツアーならではだったし。心熱くさせる素晴らしいエンディングだった。
『I & key EN Ⅲ』のOPナンバー「I & key」で始まったアンコールでは、「人生スパイス -go for broke-」を披露すると、最終日ならではのリクエストコーナーに突入。「年齢不showtime」「ギャンブリング・ダイス」「妄想煩悩108」と、メンバーがセレクトしたリクエスト曲が続き、疲れ知らずのパワフルなステージングを見せる椎名と、まだまだ元気な観客。「これ以上騒げる曲って、これしか無くない?」と椎名が選んだリクエスト曲「TOWEL」に会場中が全力でタオルを回し、ラストは代表曲であり、永遠のテーマ曲とも言える「RABBIT-MAN」でビシッと締めてフィニッシュ。濃密濃厚、大満足の2時間だった。
椎名慶治 LIVE TOUR 2026 「I & key EN III」
6/7(日)渋谷ストリームホール
終了しました!素敵な夜でした!
みなさんの笑顔が本当に素敵でした!ありがとうございました☆ pic.twitter.com/3Gfnsgwv3T
— yoshiharushiina.com (@shiinayoshiharu) June 7, 2026
――そして終演後。“ライブ終わったら、ど~する?”というお話。ライブの余韻に浸りながら、一杯やりたいところではあるが。この日のライブのスタート時間が16時ということで、もう一本ライブに行く予定を入れてしまっていた俺。そんなに時間もないけど、お腹は空いていたので、サッとメシ食って次の目的地に向かおうと考えた時に思いついたのが、時間のないサラリーマンの味方である立食いそば。うん、椎名のライブにサラリーマンソングのコーナーもあったし、サラリーマン気分を味わうのも良いではないか。
渋谷駅の新南口直結という、すごく便利な位置にある渋谷ストリーム。駅の改札内には「そばいち」もあるし、ビルを下まで降りれば「富士そば」もある。ビル内の「酢重 Indigo」というお店では、僕の地元でもある長野県の本格信州そばが食べられることも知っているのだが、じっくり味わう時間はない。どこにしようか?と考えながら、渋谷ストリーム ホールのエスカレーターを降りていくと、ふと目に止まったのが「BANH MI STAR SHIBUYA by Nha Viet Nam(バインミースター渋谷)」という、ベトナム料理のお店。バインミーが名物で、テイクアウトも出来るお店なのだが、店内での飲食も可能。そして店前の看板を見てると、僕の目に飛び込んできたのはベトナムのライスヌードル、フォー。
BANH MI STAR SHIBUYA by Nha Viet Nam(情報は掲載時のものとなります)
数種類の中から選んだフォーにミニチキンカレーが付いてくる「チキンカリーと選べるフォーセット」なんて魅力的なセットもあって。そもそも、ベトナム料理とかシンガポール料理とか、東南アジア系の料理が大好きな僕は、「これはベトナム版立ち食いそばじゃないか!」と勝手な解釈をしてフォーをいただくことに決定。カウンターでメニューを眺めて、どのフォーにするか悩んだ結果、牛肉のフォーを選んで。ミニチキンカレーとアイスベトナムコーヒーをセットで注文。するとまさに立ち食いそばの速さで、あっという間にお料理が到着。奥のカウンター席を陣取って、さっそくいただきます!


奥の席に座って窓の外をよく見ると、なんとそこは新南口へと繋がる通路。「ベトナム版立ち食いそば」なんて冗談っぽく書いたが、この料理が出てくるまでのスピード感、数十秒で改札まで行ける距離感はマジで立ち食いそば感覚! しかも牛肉のフォーもチキンカレーもめちゃくちゃ美味い! 日本人に媚びない本格的な味ながら、すごく食べやすいし。ライムを絞ってさっぱり食べられるフォーと、スパイス感があるけどちょっとマイルドなチキンカレーの相性もすごく良い。備え付けの調味料から、チリソースを選んでちょっと味変しながら、ガツガツ食べちゃって。あっという間に完食!

「ごちそうさまでした、美味しかったです!」とアイスベトナムコーヒーを飲みながら、お店を出るまで正味10分程度。そして、新南口へさっと移動して、次の目的地に向かうために山手線ホームへ向かう。なんて便利なんでしょう!? もちろん早さや利便性だけでなく、食事の満足感と料理や店内の雰囲気から感じる異国感も十分すぎるほどで、「これはいい店を見つけた!」と大・満・足! 渋谷ストリームはちょっと他で見ないタイプの飲食店がたくさんあって、まだまだ掘りがいがあると思ってるが。時間がないけど、ちょっと珍しいものが食べたいという時は「バインミースター渋谷」がおすすめです!
そしてこの体験を無理やり、椎名慶治のライブと結びつけるならば。立ち食いそばで天玉そばを食べるという、間違いのない生き方も悪くないけど。幾つになっても変わらぬ興味や好奇心を持って、新しい挑戦をする生き方の方が面白くない? というのは、『I & key EN Ⅲ』から感じたことに近いかも知れない。さらにいうとベトナム料理屋が思いがけず目に飛び込んできて、吸い込まれるように入店したのも合縁奇縁。僕も変わらぬ興味と好奇心を持って合縁奇縁を引き寄せて、椎名のようにエネルギッシュに生きていきたい。
「I & key EN III」tour(基本セットリスト)
1:key 2 the light
2:続・愛のファイア!!
3:悲しきマリオネット
4:ギャンブリングダイス5:I'm a サラリーマン
6:コンティニュー?
7:妄想煩悩1088:ゴーイング my 上へ
9:それじゃあバイバイ(SHIINA ver.)10:I Love Youのうた…
— 椎名慶治 (@Shiinastar) June 13, 2026














