兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第164回[2024年6月後半・やついフェスの2日目、フラカン、どぶろっく×奥田民生などの5本を観ました]編

コラム | 2024.07.09 18:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、半月に一回の区切りで、自分が観たすべてのライブレポを書く連載の164回目=2024年6月後半編です。

6月16日(日) 12:00 YATSUI FESTIVAL! 2024 の2日目 @ 渋谷Spotify O-EASTなど 9会場

今年で13回目のやついフェスの2日目、ひとりで観れるだけ観て書いたオフィシャルレポはこちらです ≫ 過去最大の動員で、最大の熱狂。2024年のやついフェス、2日目をレポート!
で。以下、そのレポには書ききれなかったので、ここで補足しておきたいこと。
「今年が臨界点」であり、「今年が新しい一歩」、それが2024年のやついフェスだと思った。
「今年が臨界点」というのは、動員の意味でである。開催13回目にして過去最大の動員であることを、オープニングDJの時にやついいちろうが報告していたが、まさにそうだった、体感として。
一番目と二番目に大きいO-EASTとduo、アイドルとお笑いのステージなので転換時間がないWOMB、トークイベント会場で座席ありなので1アクトごとに入れ替え制をとっていたLOFT9以外、つまりO-WESTとO-nest6階・5階とO-Crestの4会場は、「入場規制かかってない時ある?」というくらいの超満員だったのだ、常に。
もうひとつの「今年が新しい第一歩」は、出演者とオーディエンスの世代交代が成されていた、ということ。コロナ禍前までのやついフェスは、出る側も来る側も顔ぶれが固定してきている印象があったが、今年は特に、それが目に見えて変わった。
ベテランも新人も含めて初出演組が増えた。新人の初出演組は、不勉強な僕などは初めて観るアクトも多かったのだが、どれも超満員で入場規制がかかっていた。つまり、若いアクトを観たい、若い世代の参加者が増えたということだ。会場を行き来するみなさんを見ていても、それを感じた。
という二点において、来年やついいちろうは、いかにこのフェスをオペレーションするのか、フェス自体がどう進化して行くのかが、楽しみになった。

6月19日(水)19:00 bokula. @ LIQUIDROOM

広島の平均年齢23歳、メジャー・ファーストEP『涙 滲むのは心の本音です.』をリリースして東名阪と広島で行ったツアーのファイナル。そのEPのタイミングでOTOTOYでインタビューした、なのにライブはこれまでフェスやイベントでしか観たことがなかったので、足を運んだ。あ、そのインタビューはこちらです。≫ 伝説的なライヴから早4ヶ月──憂鬱も衝動も皮肉も全部持ったまま、bokula.はメジャーへ
で。生で観る度に、「あ、そうだったそうだった」と思い出すのだが、バンド名や、作品タイトルや、曲名や、ラブソングが多い歌詞などから、こっちが持っているイメージと比べると、この人たちのライブ、めちゃめちゃ激しい。1曲1曲を叩きつけるように鳴らすし、叫ぶように歌うし、えい(Gt&Vo)がフロアにシンガロングを求めるたびに、怒声みたいな歌声が返ってくるし、そもそも男の子のお客多いし。特に後半の「バイマイフレンド」「愛してやまない一生を.」あたり、フロア、すさまじい状態だった。
アンコールで、次の東京ワンマンは追加公演として9/29(日)渋谷Spotify O-EASTであることを発表。えい曰く、今回のツアーは平日が多かったので、次は「スタッフの人たちがすごくがんばってくれた」とのこと。で、ライブ会場限定販売(CD)で、サブスク等にはない新曲「若者が全て.」を、オーディエンスに贈った。

6月23日(日)16:00 フラワーカンパニーズ @ 千葉LOOK

結成35周年ツアー『今が旬』全27本の21本目で、自分が観るのは2本目。このあとも続きがあるツアーの時って、ネタバレを避けるため、セットリストについては書かないようにしているが、フラカンの今回のツアーは、それ、あんまり意味ないかもしれない。ほんとに毎回違うので。
このツアーを僕が観るのは、2本目の3月23日HEAVEN'S ROCKさいたま新都心以来、2回目で、その合間にツアー以外のライブも2回観ている。4月2日(の名古屋中日ホールのオープニングイベント)と、短いワンマンくらいのボリュームがあった5月5日『OTODAMA’24〜音泉魂〜』のクロージング・アクト。その4回全部が、まったく違うセットリストだった。
いずれも、古い曲や、リリースは最近だけどライブであまりやらなかった曲なども多くて、うれしい選曲になっている。このツアーを何度観に来ても楽しいように、という熱心なファンへの配慮もあるだろうが、今はそういう、毎日同じじゃない、演者としてスリリングなツアーをやりたい時期、というのも、あるのかもしれない。
どれくらいスリリングかというと、この日も前半の某曲で、ギター竹安堅一が1曲飛ばして、その次の曲のイントロを弾き始めてしまい、演奏がストップ、やり直すくらい。以降、MCのたびにそのミスをいじり続けた鈴木圭介だったが、さすがに言いすぎたと思ったのか、アンコールで「責めてるんじゃなくて、笑いが取りたくて」とフォローしておられました。
3月17日に姫路で始まったこのツアーは、7月20日に鳥取でファイナルを迎える。

6月26日(水)19:00 どぶろっく×奥田民生 @ 渋谷Spotify O-EAST

どぶろっくの『芸人 VS ミュージシャン 掟破りのガチンコマッチツアー』東名阪3本の1本目、東京編。対バン相手は、7月16日大阪は超能力戦士ドリアン、7月23日名古屋はchelmico、そしてこの東京は奥田民生。なおOTは、去年のこのツアーの、同じく東京公演にも出ている。
で、弾き語りで、「野ばら」「トランスワールド」「荒野を行く」「春夏秋冬(泉谷しげるのカバー)」「ロックンローラーのバラード(ユニコーン)」「アルカセ(ユニコーン)」「トリッパー」「快楽ギター」「さすらい」の9曲を披露。「この間やったから」と歌ってくれた「春夏秋冬」(6月5日EX THEATER ROPPONGIの真心ブラザーズ「六本木フォーク村」に出た時に歌ったらしい)が、特にうれしかった。あと「トリッパー」、生で聴けたの久々だった気がする。
で、OT、曲の合間合間で「このあとテレビだから」とか「早く終わらないと」などと、何度も口にする。このあとというか、この日17:30から22:00まで放送のテレビ東京の生放送『テレ東ミュージックフェス2024夏』に出演することはうっすら知っていたので、ああそうか、終わったら即出でテレ東に行くんだな、じゃあどぶろっくとのセッションは今日はなしだな(前回は「農夫と神様〜大きなイチモツ〜」を一緒にやったそうです)、などと思いながら、どぶろっくの数々のネタに大笑いしていたのだが。
アンコールの「イチモツ音頭」で、出て来た、OT。びっくりしました。で、ライブが終わって20分後には、テレ東に出ていたし。番組のサイトを見たら「生中継でお届け予定!(一部事前収録あり)」と、ちゃんと書いてありました。

6月28日(金)19:00 fox capture plan @ LIQUIDROOM

仙台、福岡、新潟、札幌、大阪、高松、名古屋、東京、の『tour 2024 ”TRICOLOR”』全8本のファイナル。LIQUIDROOMでのワンマンは、三度目・7年ぶりだそうです。
事前にDI:GA ONLINEでインタビューを行ったが(こちらです ≫ fox capture plan ワンマンツアーが間もなくスタート!よりディープな音楽性を提示するセトリや新曲の構想も )、そこで3人が話しているように、「ライブでおなじみ」以外の曲もいっぱいやってくれる新鮮なセットリスト。
そのレア曲たちにまず「おおっ!」となるし、後半で「Butterfly Effect」や「Capturism」などの鉄板曲をプレイされると「出たあ!」という感じで盛り上がれる。
要は、相乗効果でどっちもうれしいライブだった。前に観た時よりもMCは少なめだったが(特に前半。頭10曲くらいMCなしだったと思う)、その分、MCになった時の脱力感と、演奏時の緊張感のコントラストが激しくて、それも楽しい。
この日は11曲目に演奏した新曲「Deep Inside」をそのままライブ録音し、入場者全員にプレゼント(ロビーにQRコードを貼り出してダウンロードできるようにする)、という施策を、全箇所で行って来たツアーでもあった。
で、この日のアンコールで、自分たちの新しいレーベル「CapturisM.」を立ち上げることと、そこから7月31日に「Deep Inside」のレコーディング・バージョンをリリースすることが、発表になった。さらに、発売から10年、7/9に「疾走する閃光(2024 NEW TAKE)」の配信が決定。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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