兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第27回[3月の巻~後編~]

コラム | 2019.04.06 18:00

3月29日(金)The Vocoders @ Zher the ZOO YOYOGI

今年本格始動した、POLYSICSと同メンバーの別ユニット、The Vocodersのワンマン。リアルサウンドにレポを書きました。
こちらです。ぜひ。

3月30日(土)杏沙子 @ 渋谷TSUTAYA O-EAST

2018年デビューのシンガー・ソング・ライター、ファースト・フル・アルバム『フェルマータ』をリリースしてのツアーの東京公演。MCで「自分は愚痴と妄想からし曲を作れないことを思い知った」と言っていた。確かにどの曲もそういうリリックではあるんだけど、その愚痴や妄想を、軽やかで、美しくて、聴く人を選別したり決してしない、それでいて切実な響きを持ったメロディに乗せて、のびやかに歌うことができるのがこの人の才能なんだなあ、と、聴きながら思った。

3月31日(日) 空想委員会 @ ヒューリックホール東京

ブッキングした後になって「ジャンプ禁止」と会場から通達されたらしく、それはいくらなんでも……ということで急遽この翌日に下北沢GARDENでの追加公演が追加されたのだが、その2本がツアーのラスト、これが終わると「現体制活動終了」(活動休止ということですね)となる空想委員会。
ジャンプできない代わりに、と言っては語弊がありますが、とても音のいい会場だったことで、そうだ、メンバー全員めっちゃ演奏うまいバンドだったなあ、と、どの曲でも思ったし、はっきりクリアに耳に飛び込んでくるメロディも歌詞にも、そうだ、こんなにもいいものだったよなあ、と改めて思った。ラスト・ライブとして、きっとこれ以上の出来はないのでは、というすばらしいステージだった。それだけに、「うまいバンドだったなあ」とか「いいものだったよなあ」と、過去形で語らざるを得ないことが寂しかった。というか、惜しかった。「ああ、まあ、バンドがこういう状態なら、休止するのはしょうがないか」と、まったく思わせてくれないステージだったので。
というようなことをグルグル考えながら観ていたら、本編最後のMCで三浦は、「活動が終わってしまう一番の原因は、僕だと思っています。力が足りませんでした」と言った。そんなこと言わんでも、と思ったが、こうして空想委員会を愛してくれるお客さんたちに、責任の所在を伝えておきたい、という彼の誠実さから出た発言だよなあ、そういう人だもんなあ、とも思った。
なお、アンコールのMCでは、メンバーそれぞれ今後の夢や目標を話したのだが、三浦はもう一度「力が足りませんでした」と言ってから、でもそんな往生際がいい人間じゃないので、その力の足りなさを解決することが、これからの目標だと言った。それが叶ったら、またメンバーみんなに声をかけたい、と。楽しみに待っています。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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