10月31日にミニアルバム『Hypnotic Poison』をリリースするヒステリックパニック。“催眠毒”というタイトルの通り、今作で彼らが掲げたコンセプトは、ずばり“毒”。いつも以上にヘヴィでラウドな要素が色濃い、彼ららしい毒っ気たっぷりな全7曲になっている。しかし、そもそも彼らは“このバンドの強みであり、アイデンティティ(とも談)”でもある“毒”をテーマに選んだのか。11月からスタートする<どくどくツアー>のことなど、メンバー全員に話を訊いた。
10代の頃の自分が聴いたら、思わず拳を挙げてしまうようなものにしたかった
──もともとバンドにある要素だったとはいえ、今回はなぜ“毒”を強く押し出そうと思ったんです?
とも(Vo)春に出したEP(『666』)までは、ポップとかキャッチーなほうにフォーカスを当てていて。そこもこのバンドの強みではあるんですけど、次の作品をどうしようという話し合いをしていたときに、純粋にカッコいい楽曲を作りたいねっていう方向で意見がまとまったんですよ。初期衝動というか、10代の頃の自分が聴いたら、思わず拳を挙げてしまうようなものにしたいっていう。それはTack朗(Gt,Vo)が言い出したんですけど。
Tack朗この前、ELLEGARDENが復活したじゃないですか。今でもたまに聴いていたんですけど、復活のタイミングでめちゃめちゃ聴いたんですよ。で、初めて聴いたときからもう10年以上経つんですけど、その当時の僕が、今の僕らの音楽を聴いたらどう思うのかなって。
──なるほど。
Tack朗僕らがやっている音楽って、自分たちをキャラクタライズするというかデフォルメして、ポップでキャッチーでみんなが楽しめるものを作っているけど、それを10代の自分が見たらどう思うんだろうと思ったんですよね。だから今回は、あの頃の自分に戻って、純粋にカッコいいと思うものを突き詰めたものを作りたいと思って。なので、キャッチーは大事にしつつ、ポップさは抜いてとにかくシンプルに……とはいっても、シンプルではないと思うんですけど(笑)。僕ら的にスタイリッシュというか、シュッとした感じの曲を集めました。だから、今回は珍しくあんまりふざけてないんですよ。1曲だけちょっと問題な曲があるんですけど。
──「俺は赤ちゃん」ですかね。
Tack朗たぶんそれです。
ともまごうことなきそれだね。でも、全体を通していつもよりはシンプルだよね、俺ら的には。
$EIGO(Gt,Cho)うん。まあ、感覚は人それぞれだから。
やっち(Dr)「絶対×絶命」もほぼ狙い通りできたんじゃない?この曲は全員で話し合いながら作ったんですよ。
──それで作曲がバンドクレジットなんですね。展開がかなり多い「Venom Shock」もバンド名義ですが、この曲も話し合いながら作ったんですか?
ともそうですね。5人の要素が満遍なく入ってます。この曲は、アルバムを作っていく中で、踊れる曲がほしいという話が出たんですけど、ただの踊れる曲ではダメなんじゃないか?っていうことで、“史上最強にカッコいい曲を作る”っていうテーマで作り始めたんですよ。でも、その振りのプレッシャーがデカすぎて、全員何も出てこなくなっちゃって(笑)。で、ちょっと詰まったときに$EIGOがなんとなくギターを弾いたら、“今、史上最強があったよ!?”って。
$EIGOそれがイントロのフレーズなんですけど、速いんですよ。ギターを弾く人からしたらわかると思うんですけど。
Tack朗速いよねえ……。
$EIGOパっと弾いているように感じるけど、実はちょっとテクニカルなニュアンスもあって。でも、そこは僕とTack朗以外はわからないから、それカッコいい!それでいこう!って。だから勢いでできたところもありますね。
──やっちさんは「Venom Shock」を作る際にどんな提案をされたんですか?
やっち今回は初期衝動というのもあって、どの曲も自分がカッコいいなと思うフレーズをとにかく入れてたんですけど、ヒスパニってアタマ打ちのビートが少ないんですよ。でも、俺はアタマ打ちがすごく好きなんで、サビで入れたいなって。
$EIGO多数決したもんね?
やっちそうそう。最初は、サビは全部アタマ打ちだったんですけど、それだとパっとしなくね?っていうので、今の形になりました。