寺岡呼人 ライフワークとも言えるGolden Gircleが20回目の開催!待望のNEWアルバムを携え展開する全国ツアーへ向けて語るロングインタビュー!

インタビュー | 2016.07.04 18:00

寺岡呼人

インタビュー/大橋美貴子

──Golden Circleももう足掛け15年の20回になるんですね。ライフワークと言っても過言ではないイベントになりましたが、最初からそういうつもりでした?

いや……例えばミュージシャンって、CDを作ってツアーに出てっていうサイクルがあると思うんです。でも、自分たちがアマチュアだった頃を考えると、好きな時に友達と集まってライヴをやったりして、楽しみ方がもっと自由だった気がして。アルバムを作ってツアーをするというだけではない何かができないかなということではじめたものなんですよ。最初はイベントにするというところまでも考えてなかった。でも、せっかくだから自分が尊敬する世代の人や、当時、僕はゆずのプロデュースをさせていただいてたので、一回りくらい下の世代と三世代で一緒に何かできないかなぁっていうおぼろげながらのイメージではじめまして。それが回を重ねるたびに形になってきたという感じなんですよ。

──過去には松任谷由実さんや忌野清志郎さんも登場したり、変化や進化もあったと思いますが、呼人さん自身、15年重ねた中で印象深い出来事はどんなことですか?

……印象深い出来事を振り返るというよりも、これまで出演していただいた方には、出ていただいた恩をどういう形で返したらいんだろう?っていうプレッシャーの方が大きいんですよ。ユーミンが出てくれた!CHABOが出てくれた!っていうことは、引退する身であれば、その時のVTRを見ながら年取って行けるんですけど(笑)。“やったぁ!”という気持ちだけじゃなくて、そこに来てくれた想いを自分なりにお返しするにはどうしたらいいんだろう?と。例えば、自分が下の世代の人たちに、“こういうことをしてもらったんだよ”っていうことを形を変えて伝えるのか。だから、意外と過去は振り返ってないんです。ただ、特別っていう意味でいうと、僕は中学高校とユーミンと清志郎さんが好きだったので、そのお二方が出てくれた時は特別な思いがあるんですけどね。でも、あえてその時のVTRは見ないようにしてるんです。ここで振り返っちゃいけないなって思ってしまって。

──振り返るのは、恩返しをしてからなんですね。宝箱に大切にしまって、鍵をかけているみたいな感じですね。

そうです、そうです。そうしないと逆に失礼かなって。これは自分の思い込みかもしれないですけど、そういう風に思っています。

──20回目のGolden Circleは桜井和寿さんと二人でということですね。呼人さんと桜井さんはどんな関係だと思いますか?戦友?

うん。戦友でもあるし、いつも刺激を受けます。桜井とは、ちょうど今年で出会って25年になるんですよ。例えば、僕の中で音楽を25~6年以上やってる諸先輩も含め、先例として25年経っても燃え上がるものが消えない感じと言いますか、突っ走ることを止めない例をあまり見た記憶がないわけですよ。だいたいみなさん貫禄が出てきて落ち着いて、ファンの人と一緒に年をとっていくみたいな、そういう年の取り方しか見たことがないから。25年前と変わらない姿勢で音楽を作り続けているような人は見たことがない。そういう意味では刺激というか、逆に凄みのようなものを感じますよね。Golden Circleにもたくさん出てもらっている中で、一緒に作った曲を何曲か演る機会もあるんですけど、25年間、こういう曲を作ってきたんだって二人が作ったものをちゃんと見つめ直すというか、改まってスポットを当てることも今までなかったので、今回のGolden Circleはすごく良い機会かなという感じがします。

──その桜井さんに加え、Kさんがゲストで出演するということで。

これは桜井からの強い希望もありまして。Mr.Childrenの桜井和寿という名前が出れば出るほど、気楽に他の人のイベントに出るという楽しみもプレッシャーになってしまうから、もっとKくんに歌ってもらったほうがいいなぁという感じのニュアンスでね。18回目のGolden Circleの時にKくんと桜井が初めて一緒になって、Kくんの歌声を聴いて、桜井もすごく好きになったみたいで。今ちょうどリハーサルもやってますけど、ホームというか、もう仲間みたいな感じでリハでも会話がなされている感じがいいなぁと思いますね。

──このGolden Circleが終わった直後の8月3日には2年ぶりのアルバム『COLOR』がリリースされますね。『COLOR』という楽曲も収録されていますが、どっちが先なんですか?

曲が先です。結局、この言葉がいろんなことを表しているなと思ったので。

──前作『Baton』の時に、「アルバムはワールドカップごとに」なんておっしゃってましたが、今作はオリンピックのタイミングでしたね。

そうなんですよ。ここ3作くらい続けて4年ごとにリリースする感じだったんですが、今回は2年ということで(笑)。ふと去年の暮れに、来年はGolden Circleも20回目だし、そこに合わせてアルバムができたらいいなと思っていて。でも今は全部一人でやっていてスタッフがいるわけでもないので、なんとなく1月から曲作りをして、3月くらいからレコーディングをしようかと考えていたんですが、1月は何もせず(笑)。2月も何もせず、3月になってやっと“これはヤバイな”と思い始め、3月7日、8日くらいにスタジオに行って、そこからは超ハイペースで作業をしたんです。1日1曲くらいで曲を書いて、そのまま4月からレコーディングをしたという感じで。10年かけて一つの作品を作るというのもすごいことだと思うんですけど、僕にとって音楽は仕事でもあるわけですよね。だから、作ろうと思ったらパッと作れる体質になれるんだと思い込ませるっていうやり方もあると思うんですよ。それが今作でできたというのは一つ自信になったかなという感じがします。

──前作では曲作りの段階から、作詞などを他のクリエイターの方と共同作業で行っていましたが、今作はほぼお一人での作業だったんですね。

100%に近いくらい、作詞、作曲、編曲をやっていますね。毎回、コンセプトは決めずに作業に入るんですけど、その時の自分のブームがあるので似たような曲ができることが多いんです。でも、それはそれで気にせず作っていくんですよ。バラードが少ないからバラードを作ろうとか、バランスはあまり考えずに作ったかもしれない。制作の一ヶ月の中で、大喜利みたいにお題を出して、バババっと作ったわりには、勢いとかノリ一発でできた曲も含めて、いい感じでできたなぁと思います。作詞をする時も悩まなかったんですよ。そういう意味では手応えはありますね。

──曲ごとのミュージシャンのキャスティングが絶妙ですね。例えば「カンフーボーイ」ではドラムに沼澤尚さん、ベースに松原秀樹さん、エレキギターに石成正人さん、鍵盤に森俊之さん、パーカッションに三沢またろうさんという豪華なメンバーでレコーディングされていたり。呼人さんがキャスティングも考えてらっしゃると思うんですけど、曲のイメージから合うミュージシャンを考えていくわけですよね?

そうなんですけど、とはいえ半分自主制作版みたいなものなので、贅沢にやろうというよりは、自分が直接声をかけて参加してくれるファミリーの中で作っていったという感じなんですよ。……例えば「COLOR」「もったいない」を叩いてくれたカースケさん(河村智康)にも、「蜜蜂」「檸檬」「ブランコ」の3曲を叩いてもらったJEN(鈴木英哉)にも1日でやってもらいました。あえてこの曲をJENにやってもらうのが面白いかもという感じでお願いして。きっとスタジオミュージシャンにお願いしたらカチッとおさまるものが、JENが叩くとバンドっぽい感じになるし、人間味が出るんですね。それが曲に新しいサムシングを与えてくれるんじゃないかと。イメージ以上のものを期待してのキャスティングということがあるかもしれないですね。

──曲の世界観をさらに広げるキャスティングなんですね。「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー」「最初の男」の大渡亮さんのソロパートも良いキャスティングです。

大渡くんは、僕のラジオでハードロック特集をしたときにギター持参で出てくれて。「最初の男」なんて、まさに、その時に大渡くんに半分教えてもらったリフを思い出しながら作ったので。そういうこともあったので、レコーディングでも弾いてもらいたいなという感じで。

──歌詞を聴いていると、1曲の中にも主観的な部分と客観的な部分が絶妙なさじ加減でバランス良く配分されていますよね。「キャッチボール」や「カンフーボーイ」のように、今の呼人さんの年齢だから書ける振り返りの曲もありますし。少年っぽさと大人っぽさのさじ加減も良い塩梅です。

自分が20代の頃、昔の40代、50代の人たちって、あまり自分をさらけ出していないというイメージがあったんですよ。40代、50代の人って大人だなぁ、みんなこうやって物分りのいい人になっていくのかなぁって思ってたんですよ。音楽を聴いていてもそう思うんですけど、もっと大人というか、賢くなっているというか。そこを賢くならないのがロックなんじゃないかというのは前作くらいから思い始めたんですね。40代なら40代の、50代なら50代の葛藤や悩みみたいなものを歌うことが青春ロックなのかなと。僕自身、普段は地味な生活をしているんですけど、音楽くらいはさらけ出す感じも、日常の反動としてはいいのかなと。

──楽曲としては「檸檬」が聴いててすごく面白かったです。サウンドもそうですが、歌詞の世界観も物語性があって洋楽チックですよね。かっこいい曲として楽しむこともできますが、今の世の中を皮肉っているところもあるので、深くも感じられますし。ピンクフロイドに触発されてできたとか?

そう。実はピンクフロイドは通ってこなかったんですけど、今年の1月末くらいにあるオーディオ評論家の方の家でロジャー・ウォーターズ(ピンクフロイドの元ベーシスト)のブルーレイの映像を見せてもらってからハマって。それからピンクフロイドの「The Wall」を一時期ずっと聴いてたんです。まさか曲になるとは思わなかったんですけど、1フレーズだけ作ってみたら結果的に曲になったんです。ピンクフロイドの表現って映像と一体化しているイメージがあるので、書いているときは映像をイメージしていましたね。

──先ほども手応えがあるとおっしゃてましたが、完成した今、思うのはどんなことですか?

音楽っていうのも瞬間芸術のようなところがあると思うんですよ。大喜利とかで、お題を出されて、“その心は?”みたいな。アドリブ的にポンポン作り上げていくのも音楽の一つの瞬間芸術的な部分なのかなと。もちろんジックリジックリ煮詰めて最高のものを作るというような、その両方があると思うんですけど、個人的には、すぐに出来て手応えを感じるもののほうが飽きないんです。それが今作では出来たと思うんです。年を重ねれば重ねるほど、瞬発力で作るというような部分は鈍くなっていくのかと思っていたので、自分の気持ち次第でこういう作品ができるんだと思ったら、非常に自信になりましたね。

──この作品を提げて11月からはツアーもありますね。

最近、落語をよく見るんですけど、落語家の方は、365日ほとんど喋っているんです。毎日喋っているからこそ存在感や説得力も成長するし、凄みを感じます。僕らミュージシャンの場合、レコーディングの期間はライヴは控えたり、1年に2回もツアーを回ったらお客さんが入らないから1年に1回にしたり、調整しながら活動をしているような感じがあって。そういう時代かもしれないけど、本来は落語家のようであるべきなのかなと。どんなにいいアルバムを作っても、それをお客さんの前でやり続けないと、次の成長はないと思います。だから、なるべく多くライヴをやって、歌える場所を増やして行きたいですね。

 

PRESENT
直筆サイン入りGolden Circleパスを2名様に!

以下URLよりメールにてご応募ください。応募〆切は2016年7月31日(日)23:59

プレゼントに応募する

寺岡呼人 ソロツアー2016 〜COLOR OF LIFE〜

2016年11月19日(土)Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
17:30 開場 / 18:00 開演
Band Member:Dr.林久悦/Ba.林由恭/Gt.佐藤健治
9月11日(日) SALE

寺岡呼人presents
Golden Circle 第20回記念スペシャル
〜僕と桜井和寿のメロディー〜

2016年7月5日(火)日本武道館
2016年8月2日(火)大阪城ホール
18:00 開場 / 19:00 開演
出演:寺岡呼人/桜井和寿
GC Band:Dr.林久悦/Ba.林由恭/Gt.佐藤健治/Key.松本圭司/Guest Key.K

ディスクガレージ先行先着受付

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受付公演:11月19日(土)Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
受付期間:受付中〜7月21日(木)23:59

JUN SKY WALKER(S) 9月7日(水)、New Full ALBUM 発売決定!
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RELEASE

NEW ALBUM「COLOR」
(SPACE SHOWER MUSIC)
8月3日(水) SALE