TEXT/永堀アツオ
──安藤さんと交流のある9組10人からの提供曲で構成されたニューアルバム『頂き物』のリリースを記念したバンドツアーが決定しました。
実は昨日、夜なべして、ライブのチケットとTシャツの柄を描いていたんですよ。アルバムタイトルは『頂き物』ですけど、山の頂きにいる10人が集まってる絵にして。改めて、ずいぶん素晴らしいところまで登り上げたなって感じたし、音楽の頂きにいる人間たちと一緒に時間を過ごす自分は、とても上等な人生を歩んでるなっていう感覚になりましたね。
──東京と大阪でたった2日間限りの貴重なライブに豪華ゲストが参加することも発表されましたね。
そうなんですよ。ゲストがいるライブなので、頂いた曲はもちろん、その方とちょっと遊べたらいいなと思っています。普段の自分のライブとは多分違うから、自分の曲はちょっとディープでもいい気がしてる。ゲストがいるときに朗らかに楽しめたらいいですね。
──各ゲストについてお伺いしてもいいですか?まず、大阪公演にピアノバラード「Touch me when the world ends」を提供した大塚愛さんが参加します。
大塚さんとの関係性はミュージシャン同士というよりママ友感が強いんですよね。子どもと一緒に会っていて。大塚さん、人間も存在も明るいんですけど、なぜかすごくネガティブなんですよね。そういう彼女の憂いと私が共通して持ってるものーー同じ年頃の子供がいて、毎日、未来を不安に思ってることを合わせて表現できたらいいなって思ってました。この曲と、TKくんが作ってくれた『Last Eye』の2曲に関しては、私が表現してきた安藤裕子の系譜に近くて。自分らしく歌えるなと思ってますね。
──東京公演にはとても縁の深いCharaさんが来ます。安藤さんが唄い手の道に進むきっかけになった方ですよね。
そうですね。当時は何の気無しだったんですけど、オーディションでCharaさんの『Break These Chain』を歌って。そこで声を褒めらたことで音楽を始めたし、デビュー当時に入っていたのも、Charaさんがいた事務所だったんですね。私にとっては、中高一貫の学校の体育会系の部活で、私が中1で入部した時に現れる高3の先輩っていうくらいの距離感です。
──あはははは。それは緊張しますね。
そのくらい緊張する先輩なんですけど、今回のアルバムでCharaさんが楽曲提供してくださった『やさしいだけじゃ聴こえない』からは、なんというか、思いやりを感じるんですよね。小さい頃に悲しかった何かを思い出すし、最後の<♪虹を誓った>という歌詞を読んだときに号泣しそうになって。すごくやさしい曲だし、個人的に労わられたような感じがして。まだちゃんと歌いこなせる実力が備わってないけど、すごく好きな曲になりましたね。
──ステージで2人がならんで声を重ねる瞬間を見るのが楽しみです。そして、両日参加の峯田和伸とおみそはん。
峯田くんは数少ない友達枠なので、真っ先にお願いしたんですけど、曲が上がってきたのは一番最後で。締め切りをかなり超過したことが心苦しかったのか、『なんでもやります!』って言ってくれたので、MVでは金田一耕助になってもらい、ライブにも来ていただけることになりました(笑)。おみそちゃんはラジオ枠。『ジャスタジスイ』を聴いた時に、この子とブギーバックみたいなことをやったら面白いなと思って。私までラップをやることになったのは衝撃だったけど、楽しかった。ただ、ライブをどうするのかーー。誰か、おみそちゃんのラップを一緒にやってくれる殊勝な方はいないかな?
■安藤裕子監督/峯田和伸主演「骨」MV(Short ver)