今年で30周年を迎えるザ・コンボイショウ。「あっという間でしたね」と、主宰で脚本・構成・演出・出演をつとめる今村ねずみは言う。
「結成時は、メンバーとこんなに長い付き合いになるとは思ってなかったし、ましてや、こういう形でまだやってるなんて想像もしなかった。それが今、お互いに歳をとって、白髪もちょっと生えて、それでいてコンボイショウをやっている。面白いなと思います。30年間、コンボイショウという看板を掲げてやってこれたことが、自分にとっては一番嬉しいこと。こういう集団があってもいいと思うし、こういう歳でこういうことをやっているカンパニーは、ちょっと他にはないんじゃないかと思います」
自分たちのスタイル・世界観を追求して、妥協なく全力で創り続け、“コンボイショウ”というエンターテイメント・ショーのいちスタイルを確立した彼ら。
「言葉で、ストーリーがあって、踊って歌って、全員が主役で脇役で……と説明すると、そんなの他でもやってるよと言われそうだけど、僕らが始めた頃は、そんなことをやっているカンパニーは周りになかった。メンバー各々が役者やダンサーとしても活動する中で、この年になってもコンボイショウがやれる仲間と場所と時間があること、自分たちが存在できるスタイルがあることは、幸せなこと。一回一回のステージを、よりいっそう大事にしていきたいですね」
いまやメンバー全員が50代。東京で昨秋上演した新作『1960』は、約4年ぶりの公演だったのだが、そのステージに懸ける熱量に、積み重ねてきた年月の厚味が加わり、まさに“大人のカッコよさ”満載の笑って泣ける舞台となった。世の中の出来事を見ていて、自己に向き合い、「自分は今どこにいる?どこに向かっている?みんなをどこに連れて行きたいんだ?」と問い続けた末に生み出された、1冊のノートを巡る物語だ。
「作品づくりを通して、自分の身近な人や物や何気ない日常や出会いの大切さ、待っていてくれる人がいる=未来に対するご褒美なんだということに、改めて気付きました。それだけに、久々にコンボイとしてお客さんの前に立って、たくさんの皆さんに支えられてここまでやってこられたことの幸せを、つくづく実感しましたね。結局、やりたいことはずっと変わらない。やっぱり自分にはこれしかないという手応えを感じました」
その『1960』を引っ提げて、4月からは約6年ぶりの全国ツアーを行う。
「メンバーには、歌と踊りをしっかり稽古して来い、歳をとったからって、外では絶対に弱音を吐くなよと言ってあります(笑)。日本各地でコンボイショウができることに、今からワクワクしていますよ。若い方にも、日本にはこんなオヤジ達もいるんだよっていうことを、ぜひ観に来てほしい。活きのいいオッサンの姿をお見せして、日本全国に“オッサン旋風”を巻き起こしたいですね。楽しんで元気をもらって帰っていただけたら嬉しいです」
インタビュー/岡﨑 香