
今年結成15周年を迎えたfox capture planが、結成から2021年までに発表したオリジナルアルバム10作品を、完全リマスタースペシャル盤として、自主レーベルCapturisM.より順次リリース。5月20日にその第一弾として、1stアルバム『trinity』、2ndアルバム『BRIDGE』、3rdアルバム『WALL』が発売され、代表曲である「衝動の粒子」や「RISING」の新録バージョンは配信でもリリースされる。コンテンポラリージャズとポストロックを融合させた「現代版ジャズロック」を掲げてシーンに登場し、現在に至るfox capture planのベーシックを築いた重要な「ピアノトリオ三部作」について、メンバー3人に現在の視点から振り返ってもらった。
──結成15周年を記念して、オリジナルアルバム10作品をリマスタースペシャル盤としてリリースするというアイデアはどのように生まれたのでしょうか?
カワイ ヒデヒロ(Ba) 10周年くらいの時からぐっさん(Playwrightレーベル主宰・谷口慶介)がずっと「ベスト盤出せ」って言ってたんだよね。
井上 司(Dr)2024年にCapturisM.ができて、11作目の『DEEPER』を出したので、Playwright期の10作品をまとめるにはいいタイミングかなって。
──リマスター盤はCDのみのリリースで、新録の曲に関しては配信もするんですよね。
岸本 亮(Pf&Key)すでにリリース済みの曲なので、配信だと今の時代はプレイリストでも作れちゃうので、そこまでインパクトはないかなと思って。とはいえ今回のリマスタリング音源を聴くとやっぱり音が良くなってるので、「もう全部揃ってる」っていう人も、コレクトする価値はあると思います。
カワイコレクターじゃない人にも買ってもらいたいけど。
岸本そう、記念品としてじゃなくて、実際にCDプレーヤーとかで聴いてほしい。
井上しかもアルバムをそのままリマスターしてるんじゃなくて、その時期にリリースしたコンピレーションとかミニアルバムの曲も入ってるので、曲数的には全然多いんですよね。
──今回の3作品だと、『trinity』が20曲、『BRIDGE』が17曲、『WALL』が18曲入り。
カワイサントラみたいな量ですよね(笑)。
岸本一枚のアルバムにたくさん曲を入れるのは、例えば、オアシスの『(What’s the Story) Morning Glory?』をサブスクでひさびさに聴いてみようかなと思ったら、本来収録されてる楽曲だけじゃなくて、同じ時代に作ったであろう曲も収録されていて。
──「デラックスバージョン」みたいなのも増えましたよね。
岸本なので、フィジカルで出すんですけど、ヒントはサブスクだったんです。
──今回は初期の3作を振り返ってもらおうと思いますが、2011年に結成して、2012年8月にタワレコ新宿限定のCD-Rで『Sampleboard』、10月にタワレコ限定でミニアルバムの『FLEXIBLE』、そして、2013年5月に1stアルバム『trinity』と、最初からスピード感のあるリリースでしたよね。
岸本初ライブがいきなりワンマンだったから、そこに向けてガーッと曲を作って、いつでもレコーディングできる状態にしておいたんです。だから『Sampleboard』、『FLEXIBLE』、『trinity』、なんなら『BRIDGE』の収録曲の一部ぐらいまでは一気に作って、1stアルバムにがっつり賭けよう、みたいな感じで。だから『trinity』の10曲は一曲一曲めちゃくちゃキャラが立ってると思うんですよね。
カワイ当時はまだトリオの音だけで録音してたけど、曲調的にはマスロックの要素が入ってたり、変拍子だったり、そういうのを意識的に作った気がします。
岸本クラブジャズとポストロックの中間的なところでやってました。
──それを「現代版ジャズロック」という形で打ち出したことで、幅広い音楽ファンに響いた感じはありましたよね。当時から参照したバンドやアーティストの名前をいくつか挙げていましたが、15年経って、「やっぱりこのバンドが指針だった」みたいな存在はいますか?
岸本jizueとSchroeder-Headzが出てきたときはちょっと悔しい感じがあったんですよ。自分がやりたいと思ってた音楽を先に発信していて、すごく刺激になりました。でもSchroeder-Headzは(渡辺)シュンスケさんのソロプロジェクトだし、jizueはギターが入ってて、ポストロック色が強かったので、そうじゃない形で、自分たちの色を形作ったところはあります。もう少し上の世代で言うと、クラブジャズならSOIL & “PIMP”SESSIONSやPE’Zがいて、ポストロックならtoeとかがいて、そういうインストゥルメンタルならではの音楽性が邂逅していく時期でしたよね。
──海外でいうと、ジャズならe.s.t.やThe Bad Plus、ポストロックならJaga Jazzistの名前もよく挙がっていた印象です。司さんにとっては、初期のfoxらしさを作っていく中で、誰の存在が大きかったですか?
井上mouse on the keysは大きかったですね。ちょうどfoxを結成するかしないかぐらいのときにライブを見に行って、インパクトを覚えた記憶があります。自分がもともといた場所っていう意味でも、mouse on the keysと、あとtoeはだいぶ影響あったのかなって。
──当時だと岸本さんとカワイさんがジャズ出身、司さんはロック出身、みたいなイメージでしたもんね。カワイさんは初期のfoxらしさを形成する上で誰の存在が大きかったですか?
カワイ特に誰っていうのはあんまりないですけど…やっぱり近しい界隈はいろいろ聴いてみて、単にメロディーがあるだけじゃなくて、リフでキャッチーなものを作るっていうところが特徴だと思ったので、それをピアノトリオにどう落とし込むかをすごく考えて作ってた気がします。あとピアノにディレイをかけるのは自分たちにとって発明だったなと思ってて。エフェクティブなピアノというか、そこでfoxのキャラクターを一つ作れた気はしますね。
──その意味ではミックスの上原翔さんの存在も大きいと思いますが、もともとどういう関係性だったのでしょうか?
岸本僕は関西時代からJABBERLOOPのミックスとかを頼んでたんですけど、何年かアシスタントエンジニアを川崎の方のスタジオでやって、ちょうど辞めたタイミングで、「なんか仕事ない?」みたいな電話がかかってきて。それがちょうどfoxをやりだした頃だったんですよ。
カワイ急に「こういうエンジニアがいるんだけど、使ってみない?」みたいな感じで言われて。
井上スタジオに遊びに来たんですよね。スタジオの近くに住んでたこともあって、いつの間にかいた感じ(笑)。でもキャラクターがゆるキャラ的な感じなので、親しみやすくて。
岸本それで一緒にやったら、単純にアーティストのイメージを汲み取ってくれるだけじゃなくて、斬新なアイデアを出してくれたり、なんならアレンジの一部にも関わってくれて。
カワイレコーディング中に「これやってみて」って急にディレクションをしてきたり、そういう意味では面白い人物と組めたなって。多分彼自身も自分のエンジニアリングの特徴を模索してたと思うんですよ。なので、ディレイ以外のエフェクトも「やってみて」って言ったらいろいろやってくれて、面白いサウンドにしてくれたので、そういうのもデカかったかなと。
井上上ちゃんと、映像の仁宮(裕)さんと、ジャケットの須田(悠)さんっていう、最初のチームがあって、それで一気に広がった気がする。








