ピノキオピー、約2年半ぶりのフルアルバム『UNDERWORLD』を携え、全国5ヶ所のZeppツアーを開催!アルバム楽曲を掘り下げながら、彼が思い描くツアーの青写真を探る

インタビュー | 2026.02.27 18:00

今年1月に約2年半ぶりのフルアルバム『UNDERWORLD』をリリースしたピノキオピーが、6月6日の札幌公演を皮切りに全国5ヶ所のZeppを回るワンマンツアー「ピノキオピー 2026 TOUR アンダーワールド」を開催する。
今作は“絶望”がテーマになっているものの、収録曲にはピノキオピーの想像を超えてライブのキラーチューンのひとつとして成長している「アポカリプスなう」、楽曲の感想や抱えている悩みなどが綴られたファンレターに目を通すなかで湧き上がる思いをしたためたバラード「僕なんかいなくても」、踊れる楽曲を目指して制作したテクノポップナンバー「Q」や真摯な思いを乗せた晴れやかでアッパーなタイトルトラック「アンダーワールド」など、ライブで真価を発揮する楽曲も多く揃っている。今回のインタビューでは彼がどのような思いで楽曲制作をし、ステージに立っているのかに焦点を当て、彼が思い描くツアーの青写真を探っていった。
──『UNDERWORLD』の収録楽曲は、ピノキオピーさんの伝えたいことが以前よりも滞りなく届く印象を受けました。
僕の曲は、自分の伝えたいことが曲解して伝わったり、相手に理解されないまま届いてしまうことがよくあって。それに加えて自分自身を疑う性質があるので、どうしてもストレートに言い切るのは難しくて……。だから最近は「こういう考え方が自分にとってはバランスのいいことだと思うんだけど、皆さんはどうでしょう?」みたいに、聴いてくれる人たちに投げかけるつもりで書いています。
──DI:GA ONLINEで行った過去2回のインタビューでも、ピノキオピーさんはご自分の本心がなかなか伝わらないことに深い悲しみを抱いていることがうかがえます。おそらくそれも『UNDERWORLD』のテーマである“絶望感”のひとつなのではないかと思いました。
いつも僕は自分にとって面白いものを投げかけているつもりだけど、自分の伝えたいことと真逆に受け取られることが多いんです。自分の意図とちょっと違うくらいだと「確かにそういう視点もあるな」みたいに、僕が書いたものから発展した解釈が生まれて面白いなとは思うんですけど、自分の意図と真逆の広がり方だとショックを感じてしまうというか。特にここ数年は、切り取った一部分だけで判断されることも多いので、そういう現象が起きやすくもあって。
──特にピノキオピーさんは1曲に様々な目線を詰め込んでいる楽曲が多いので、一部分の切り取りだとそうなってしまう確率は高そうです。
1曲を通して聴いてもらえたらわかってもらえるはずとはいえ、限られた時間のなかで皆さんに1曲を通して聴いてもらうのは難しいとも思うんです。「どう受け取られるかな?」「こういう書き方をしたら伝わるかな?」と熟考したうえで楽曲投稿をしているぶん、自分の伝えたいことが伝わらないと「それは誤解だよ」と言いたくなってしまうというか。

──そういう状況になるとその方向性や手法を取りやめたり、誤解を許容したりスルーするという選択もあると思うんです。それでもピノキオピーさんは諦めずに、常に「どうしたらそれが伝わるだろう?」と試行錯誤や創意工夫をしていますよね。その原動力はどこから来るのでしょう?
やっぱり負けず嫌いなんだと思います。誤解をされたら「じゃあこういう曲ならどうですか?」「こういう書き方ならどうですか?」としつこくやりたくなってしまうというか、ちょっとやる気になってしまうというか(苦笑)。だから『UNDERWORLD』の既発曲は、伝えることにフォーカスしすぎたかもしれないとは思っているんですよね。アルバムを作り終えてみて、もう少し自分の面白いと思うものに素直に取り組んでみてもいいのかなと思っているところです。
──では『UNDERWORLD』を作ったことで、少し浄化された部分もあるんですね。
そうですね。自分が世の中に絶望していたから『UNDERWORLD』が生まれたけれど、いざ作り終えてみると、世の中の皆さんは意外と絶望してないのかも? とも思ったんです。自分が思うことを書いた結果、自分以外の目線を捉えきれなかった感覚もあるので、もっと自分自身を疑う必要もあるなと痛感したし、それと同時にもっと自分が面白いと思うことを追求したら、聴いてくれる人も面白いと思ってくれるんじゃないかなという感覚もあるんです。今後はそのうえでどうしていくかを考えていきたいなと思っていますね。

7th Full Album「UNDERWORLD」[trailer]

──『UNDERWORLD』の新曲3曲は、ピノキオピーさんがこの数年抱えていた絶望に対する考え方の集大成や、いま話していただいた新しいフェーズを象徴するものだと思います。「不死身ごっこ」は苛烈な世の中で弱みを見せられないまま平気なふりをしている人が主人公です。
虚勢を張って強いフリをしていたり、ずっとダメージをくらい続けても「効いていないですよ」というフリをしている人たちの、そうしないと生きられないという姿に悲哀を感じるんです。でも人間は全員死に至るという絶対的な事実があって、それが不死身なふりをして生きている人の救いや、吹っ切れるきっかけになるんじゃないかと思ったんですよね。「ここ数年は死生観を歌詞にしてこなかったな」と思っていたタイミングで、古代エジプト展に行って当時の死生観に触れて、あらためてそういうものを書いてみてもいいのかなと思ったんです。

不死身ごっこ feat. 初音ミク

──たしかに不死身を装っている人に「あなたもわたしも、誰しも死に至るんですよ」と呼びかけることは、不死身の呪いから解放する一助になるかもしれません。
生きることは死を避けることだと思うんです。だから苦しみから目を背けていないとやってられないところもあるのかもしれないなって。不死身なフリをすることは、生きるためのエネルギーでもあるんだろうなと思ったりもしますね。だからサウンドもオフェンシブで、エッジの効いたものを目指しました。
──「Q」はライブで踊れるテクノ曲が欲しくて作ったとのことですが、となると制作はサウンド先行で進んだのでしょうか?
そうです。もともとライブのセットリストにダンスミュージック寄りの「デラシネ」や「Honjara-ke」を組み込むのが大好きで、『UNDERWORLD』にもそういうポジションの曲をひとつ入れたかったんですよね。フィジカルでノレるのもライブの楽しみだと思うので、音だけでも盛り上がるものに、自分が面白いと感じるフックになる言葉を入れて、歌詞で音を支えていくイメージで書いていきました。

──全体的に90年代のクイズ番組を思い出す音作りだなと感じました。イントロなどのピコピコ音はシンキングタイムのBGMみたいですし。
オーケストラヒットはまさにクイズ番組で「問題」と言ったあとのジャジャン!という音をイメージしました(笑)。ここ数年オーケストラヒットがアクセントとしてよく使われているから使うんじゃなくて、クイズという意味があったうえで使うならいいなと思ったんです。
──ライブではお客さんが踊るだけでなく、クイズの答えをコールしてくれそうですね。そうやって楽しめる曲だけれど、歌詞をしっかり読んでみると、現実を直視しない人間の姿が浮かんでくるという対比が小気味よいです。
そういう曲になるのは、僕がダンスミュージックもフォークも好きだからだと思います。ダンスミュージックはメッセージがないほうがリズムが生まれて寧ろ良いという場合もあるけれど、踊れるサウンドにフォーク的な歌詞を乗せる音楽はあんまりないし、どっちも好きだから混ぜちゃおう!みたいなところからこのスタンスになって。だからお客さんも半々ぐらいの気持ちで盛り上がってくれてるのかな。ステージからお客さんの表情を見ながら「歌詞も音も聴いてくれているんだろうな」「暗い歌詞でも踊れる音だから盛り上がってくれてるのかな」と感じています。

Q

公演情報

DISK GARAGE公演

ピノキオピー 2026 TOUR 「アンダーワールド」

2026年6月6日(土)札幌・Zepp Sapporo
2026年6月20日(土)名古屋・Zepp Nagoya
2026年6月21日(日)大阪・Zepp Osaka Bayside
2026年6月28日(日)福岡・Zepp Fukuoka
2026年7月10日(金)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
来場特典:アンダーワールドステッカー

オフィシャル1次抽選先行
受付期間:2026年2月20日(金) 18:00〜3月8日(日) 23:59
イープラス

RELEASE

『UNDERWORLD』

7th Album

『UNDERWORLD』

2026年1月28日(水)SALE
(mui)

詳細はこちら
  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

    • ツイッター
    • instagram
  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

    • ツイッター

SHARE

ピノキオピーの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る