ピノキオピーがフルアルバム『META』を携え、ワンマンライブを開催!彼の追い求める理想の表現について紐解くインタビュー!

インタビュー | 2023.05.18 18:00

2009年にVOCALOIDクリエイターとしてのキャリアをスタートさせ数多くの楽曲をヒットさせるだけでなく、Adoや超学生など様々なアーティストへ楽曲提供を行うなど、精力的な音楽活動を続けるピノキオピー。彼が約1年9ヶ月振りとなるフルアルバム『META』を完成させた。自身とは異なる視点を通して自身を見出す“メタ思考”をテーマに、ピノキオピーの客観性に長けたワードセンス、洗練されたサウンドデザインなど、彼の持ち味が発揮された作品に仕上がっている。同作はどのような思考のもと導き出されたのだろうか。7月29日に開催されるKT Zepp Yokohamaワンマン「MIMIC」に向けてのライブ観などについても訊きながら、彼の追い求める理想の表現について紐解いていった。
──今作『META』の1曲目「神っぽいな」は、前作『ラヴ』リリースの1ヶ月後に動画投稿されました。あの当時から『META』のイメージはおありだったのでしょうか?

その頃はまったくなかったです。「神っぽいな」は『ラヴ』を作っている最中にできた曲なんですけど、『ラヴ』のテーマには合わなかったので収録せず、あのタイミングで公開したんですよね。でも「神っぽいな」は、『ラヴ』があったからこそできた曲だと思っていて。

──と言いますと?

もともと『ラヴ』がいろんなかたちの愛を表現してみようという趣旨のアルバムだったので、自分ではない視点に立って曲を書いていたんですよね。そのなかで他の視点に立って何かをすることは興味深いなと改めて思ったんです。あと、2020年や2021年あたりは攻撃的な感じのVOCALOID曲がちょっと流行っていたので、僕がああいったものをやってみたらどうなるかなという興味もありました。でもただ攻撃的なものにするのは違うかなと思ったので、“攻撃をすると攻撃をされる”というサイクルそのものを曲にしたのが「神っぽいな」ですね。

ピノキオピー - 神っぽいな feat. 初音ミク / God-ish

──「神っぽいな」をきっかけに、もともとピノキオピーさんが持っていた“客観的な視点”に特化した制作にのめり込んでいった結果、『META』というアルバムにつながっていったということですね。

自分の客観的な視点だけでなく、自分以外の視点も入れていく制作でしたね。“こういう人っているよなあ。この人はどんな思考を持ってるんだろう?”と想像で書いて、“でもその考え方って、結局こういうことにもなるよね?”みたいに他の考え方をぶつけてみて……そういうふうに作っていくことが多かったです。

──“こういう人っているよなあ”とチョイスしたくなるポイントはありますか?

最近よくこういう人見掛けるなーというのもありますし、あとはすごいエネルギーだな、ものすごく強い感情だなと思うものに引っ張られることが多いですね。一体これはなんなんだ?と気になったものを分析するというか。

──それは素敵だと感じるものですか? それとも嫌悪感を抱くものでしょうか。

どちらもです。自分とは相容れないなと思う考え方に対して、その人と重なる場所はどこだろうと共通点を探していくと、“こういう部分は割と自分と近いけど、ここは自分の考え方と全然違うし、あんまりいいとは思わないな”と感じる部分が出てくるんです。でも自分の言い分も、こういう見方をすると良くないことだよなあ……というところまで考える。その繰り返しが曲になっていくんです。

──その客観的な視点は、どこで育まれたものなのでしょう?

小学校の時に読んだ藤子・F・不二雄さんのSF短編集ですね。宇宙人から見た地球人を描いていて、なかでも地球でいうウシと人類の立場が逆転した星の話の『ミノタウロスの皿』を読んだときに“当たり前だと思っていることにもおかしなことがたくさんあるんだな。こういうひねった視点で物事を見るのは面白いな”と思うようになって。それが創作の原点になっているんです。

──となると『META』のテーマは、ピノキオピーさんの人生の総集編としての側面もありそうですね。

そうですね。自分がやってきたことを過度に推し進めた結果のアルバムだなとは思っています。

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