兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く：第193回[2025年9月前半・グループ魂やロッキンやSTING等の7本を観ました]編

コラム ｜ 2025.10.08 17:00

音楽などのライター兵庫慎司が、自分が生で観たすべてのライブのレポを書いて月に二回アップする連載の193回目=2025年9月前半編です。ROCK IN JAPAN FESTIVAL、今年から9月に移ったの、大正解だと思いました。9月の暑さ、8月に比べれば全然耐えられるレベルだったので。

9月5日(日)神はサイコロを振らない @ Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)

ツアーのセミファイナル、Kanadevia Hallの2デイズの2日目。このDI:GA ONLINEにレポを書きました。
≫ 神はサイコロを振らない、「Hall Tour 2025 “Lovey Dovey City”」セミファイナルをレポート。“新たな挑戦”に挑んだツアーで感じた、神サイの行方（セトリ掲載あり）
なお、Kanadevia Hallとは、TOKYO DOME CITY HALLのこと。この名前になってから、初めて行った。最初はJCB HALL、次はTOKYO DOME CITY HALL、そして今がKanadevia Hall、ということですね。

9月7日(日)17:30 DOGADOGA @ 新代田FEVER

レーベルがUKプロジェクトのDAIZAWA RECORDSに移り、まとまった作品としてはファースト・アルバムに次ぐ2作目＝6曲入りEP『あっ！』を、8月20日にデジタル･リリースしたDOGADOGA(と書いてDOGAと読む)の、そのレコ発ワンマン。
ボーカル＆ギター江沼郁弥、ベース藤原寛、ドラム古市健太、サックスetc.渡邉恭一、サポート･パーカッションのシマダボーイ、という編成で、ロックにファンクやR&B方面の要素も入った、1980年代のニューウェイブ/ポスト･パンクあたりに根ざした音楽をやる。
という、「その編成でこの音楽をやっている」こと自体は「ああ、なるほど」なんだけど、そこに「このメンバーで」がくっつくと、こんなにおもしろいことになるのか。と、観ながらつくづく思った。メンバーもお客さんも、とても楽しそう。
なお、アンコールで江沼、メンバーに「下半期、やることがないわけじゃないですか? だから、レコーディングすりゃあいいじゃないですか、と、勝手に思ってるんですけど」と、提案する。お客さんたち、拍手。
で、そのあと、江沼が本番前にコンビニで年齢確認をされたことを、古市健太がバラす。免許証を出したら、「しょ、昭和ですか？」と、店内に響きわたる大声で言われて、めちゃくちゃ恥ずかしかったそうです。で、「36歳です」。
笑ったけど、そうかあ、江沼36歳かあ、初めてライブ観た時は20歳だったもんな、じゃあ俺は41歳だったのか……と、自分のことまで含めて、何かしみじみしました。

9月10日(水)18:30 グループ魂 @ Zepp Haneda(TOKYO)

1年ぶりのワンマン。その1年前の時は(こちら ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く：第170回[2024年9月後半・グループ魂や電気やサザンなどの7本を観ました]編)、「新しいアルバイトの面接を行う」ということで、履歴書を持ったゲストが順番に面接を受けに来る、という構成になっていて、宍戸美和公、遅番(こと少路勇介)、荒川良々、松尾スズキが出演した。
今回も同じくバイト面接方式で、シソンヌじろう、ニューロティカあっちゃん、宍戸美和公が出演。で、遅番は、ほぼメンバー扱い、と言っていいほど出ずっぱりだった。
1年前も披露した新曲「来世は叶姉妹」が、ようやく9月3日にリリースされたタイミングでのライブ、ということで、開演前、2階座席の最前列に叶美香が来場。オーディエンスに手を振ったりして、すんごい盛り上がる。ゆえに、その後に登場した港カヲル(皆川猿時)の第一声は「美香さん、俺より目立たないでよ！」だった。
全体的に、この日はカヲルさん、いつもに増して好き放題に大暴れ状態で爆笑をとりまくっていたが、その中のひとつ＝アシスタント的にシソンヌじろうを伴っての「皆川スポーツ」のコーナーで、やりすぎて場を変な空気にした時の、破壊(阿部サダヲ)のひとことが、とても良かった。曰く、「おまえがのびのびやってるの、好きじゃない」。あっはっは。
さらに、アンコールの「大江戸コール&レスポンス」のコーナーでは、「おまえが堂々としてるの、ほんと腹立つ」。「堂々としてることを覚えたんだよ、なんの確信もないのに」と答えるカヲルさんだった。
なお、そのアンコールで、12月26日(金)にLINE CUBE SHIBUYAでワンマンを行うことが、発表になりました。

9月12日(金)18:30 Ooochie Koochie @ 日本武道館

7月12日(土)広島グリーンアリーナから始まったツアーのファイナル、日本武道館2デイズの2日目。
私が書いた、ツアー初日のオフィシャルレポはこちら。
≫ 【ライブレポート】奥田民生×吉川晃司のユニットOoochie Koochie、ツアー開幕「今日は初日で、広島じゃけえ」
この時は初日なので、ネタバレ一切なしで書きました。で、DI:GA ONLINEにもアップされた(書いたの私ではありませんが)、この最終日のオフィシャルレポは、セットリストも含めてネタバレありで、詳しく書かれています。こちら。
≫ Ooochie Koochie、全国ツアー東京公演2daysで魅せた、ロックの楽しさ。重なる声、重なる音、2つの燃えたぎる情熱が人々の魂を鼓舞
で。初日を観た時も、この日を観た時も、思ったこと。
MCの時、広島弁でしゃべりまくるのがこのふたり＝OoochieとKoochieの特徴だが、同じ年齢で、10代の時から面識があって、広島市東区と広島県安芸郡府中町、つまり隣町の出身であるにもかかわらず、それぞれの広島弁が、ちょっと違うのだ。
Ooochieの方は、彼の3歳下である僕と同じ広島弁だが、Koochieの方はもっと歳上の、我々の目線からすると、「おっちゃん」とか「じいちゃん」のそれなのである。
どっちかというと、ふたりの5歳上で呉市出身の、ユニコーン川西幸一に近い。と言ったら、彼らのスタッフのみなさん、「俺もそう思ってた」などと同意してくれました。
なんでだろう。なんででもいいが。
Ooochie Koochieのライブはあと1本、このツアーの追加公演＝12月31日広島グリーンアリーナ。

9月14日(日) 11:20 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025(2日目) @ 蘇我スポーツ公園

2025年のROCK IN JAPAN FESTIVAL、2週末･5日間の2日目。後述のような事情で、go!go!vanillasと宮本浩次だけ観て急いで移動する、という、非常にもったいないことをした。
ただ、go!go!vanillasは「こんなバンドだったっけ？」と「いや、こんなバンドだ！」の両方の思いが観ていて入り交じる、すばらしいステージだった。宮本浩次は、持ち時間40分の中に9曲詰め込む(なので2曲をショート･バージョンにしていた)濃厚なセットリスト。「over the top」や「哀愁につつまれて」を聴けたのがうれしかった。
というわけで、短いしもったいないけど、大変に充実した時間でした。あと、宮本浩次のバンド、ここしばらくの間、ベースは須藤優だったが、キタダマキに戻っていた。

9月14日(日) 17:00 STING 3.0 @ 有明アリーナ

このチケットを買っていたので、ROCK IN JAPAN FESTIVALを途中で抜けざるを得なかったのだった。STINGが新しく作った3人編成バンド「STING 3.0」での来日公演。
THE POLICEと同じ編成で、すばらしい演奏だし、THE POLICEもソロも合わせて、とにかくもう「みんな知ってる曲しかやらない」くらいの徹底ぶりだったし、つくづく、楽しかった。当然ながら、自分が全然浮かない、というかむしろ若い方、くらいの客層だし。普段なかなかないです、この歳になると。
終演後のロビーに、その日のセットリストのQRコードが用意されていて、各サブスクのプレイリストに飛べる。で、それより全然前の4月25日に、そのセットリストの21曲のうちの10曲を、「STING 3.0」が演奏しているライブ･アルバムも、配信されている。そのふたつを交互にかけっぱなしにしながら、仕事したりしています、最近。

9月15日(月･祝) 19:00 画鋲、おとぼけビ～バ～ @ 下北沢CLUB Que

画鋲の対バンイベント『ショートコア合法集会』。このタイトルは、僕が高校生の頃(1984年)に、LAGHIN’ NOSEのAA RECORDSからインディ・リリースされたコンピレーション･アルバム(当時の呼び方だとオムニバス･アルバム)『ハードコア不法集会』が元ネタです。今回のゲストはおとぼけビ～バ～、あと「審判員」という役目で、まちゃまちゃがそれぞれの前説を務めた。
おとぼけビ～バ～は、9/12下北沢FLOWERS LOFT、9/13･14月見ル君想フ、そしてこの日の下北沢CLUB Que、という東京4デイズの4日目。なので、あっこりんりんの声、MCの時はしゃがれていたが、歌っている時はなんともないのが……いや、ちょっとしゃがれてはいるが、それによってピッチがふらついたり声量が下がったりしていないのが、さすが。「あいつといると私to be yips」という新曲もやった。あと「ババアと言った瞬間にきみはババアになってしまう」という曲も、自分は初めて聴いた気がする。
なお、ギターのよよよしえ、「画鋲、すばらしすぎる！あんなに忙しい人たちが片手間でやってるとはまったく思えない！」。あっこりんりんは「バンドをやってて、初めて曲の数で負けて、めっちゃ悔しいです」。おとぼけビ～バ～が21曲、画鋲が28曲でした。
そんなおとぼけビ～バ～に対し、宮藤官九郎は「ほんとに勘弁してください、サラダも自分で取り分けるし」とか、「おとぼけビ～バ～の歌詞は、刺さるね。これね、賢者タイムに聴くと、もっと刺さるんだよ」と、ビビる。
中盤では、まちゃまちゃがボーカルで、彼女のリクエストで、Theピーズの「エッチ」をカバー。さらに、アンコールの「画鋲」(外道「香り」の替え歌カバー)では全員＝おとぼけビ～バ～とまちゃまちゃも登場、全員でセッションした。間奏であっこりんりんとよよよしえさんは、背中からフロアへ身を委ねた。

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