鈴フェス Vol.2
2025年9月21日(日)Zepp Haneda(TOKYO)
出演者 : 鈴木このみ / ASCA / angela / 大橋彩香 / 芹澤優 / 東山奈央
鈴フェスバンドメンバー:Gu.奈良悠樹 / Ba.櫻井陸来 / Key.西村奈央 / Dr.北村望
2021年3月にオンラインで産声を上げた、鈴木このみ主催の音楽フェス『鈴フェス』。コロナ禍でライブ活動が制限されるなか、「いま生まれた気持ちが歌声になる前に過去になってしまうなら、オンラインライブという方法でそれを伝えたい」という彼女の熱意に、スタッフやアーティストが共鳴して開催に至った。それから4年半の月日が流れ、第2回目にしてとうとう『鈴フェス』の現地開催が9月21日にZepp Haneda(TOKYO)にて実現。出演者にはASCA、angela、大橋彩香、芹澤優、東山奈央という鈴木と縁の深い面々が集まり、チケットも早々にソールドアウトした。
開演時刻になるとオープニングSEに乗せて、この日の全楽曲を演奏するバンドメンバーが現れる。そして鈴木、ASCA、angelaのatsukoの3人が鈴木の楽曲「DAYS of DASH」のサビを豊かなハーモニーで彩り、KATSUの熱いギターソロからそのまま「Beat your Heart」へとなだれ込んで盛大なオープニングを迎えた。
鈴木とangelaはステージを後にし、残ったASCAがトップバッターを務める。パワフルかつ可憐な歌声と爽やかな笑顔で「Howling」を届けると、観客も全力のシンガロングで応えた。ASCAが観客を巻き込むステージを展開すると同時に、観客も能動的に楽しもうという姿勢を見せ、相思相愛となった会場のボルテージは瞬時にトップまで上昇した。
ASCAは鈴木について「かなり気合いが入っている」「この後もいろんなコラボで登場してくれる」と語り、鈴フェス成功のためにも観客に「力を貸してほしい」と呼びかける。そして観客のシンガロングが高らかに鳴り響いたロックナンバー「Fighter!!」、ASCAの繊細で芯の強さを感じる歌声が映える切なく壮大なバラード「MOONWORK」に続き、高校生の頃に大倉明日香名義でリリースした「Prime number~君と出会える日~」を披露すると、観客からはどよめきにも近い声援が起きた。ASCAと鈴木は全日本アニソングランプリ第5回大会で出会い、同曲はTVアニメ『さくら荘のペットな彼女』のOPテーマを鈴木が担当したタイミングで、EDテーマに起用されたものだ。10年の時を超えた楽曲を歌うASCAの表情も非常に晴れやかで、いまも両者がマイクを握り続けている事実も胸を熱くさせた。
アッパーな「NO FAKE - short version -」と「RESISTER」を届けると、鈴木とangelaがステージに現れてASCAとトークを繰り広げる。鈴木が「ASCAが“Prime number”を歌うのを横で観られるまで(音楽活動を)続けてきて良かった」と満面の笑みで告げると、大きな歓声が沸いた。4人がトークで場の空気をアイドリングすると、続いて登場したのは芹澤優。スパンコールをたっぷりあしらったダイナーガール風の衣装に身を包んでキュートでポップな「デビきゅー」、甘美なだけでなく色気も持ち合わせる「PRINCESS POLICY」と声色を巧みに操り、楽曲の世界を彩度高く届ける。「最悪な日でもあなたが好き。」ではフロアから熱いコールが巻き起こり、芹澤も観客とアイコンタクトを取りながら手を振って歌唱した。
「ここまでのこのみちゃんの思いや、(出演者の)皆さんの思いも背負って、めちゃくちゃいいライブをお届けしていきたい」と意気込むと、ハイテンションな「Voice for YOU!」を溌溂としたパフォーマンスで彩る。ユーロビート×ロックが交錯するキラーチューン「JUNGLE FIRE feat.MOTSU」ではたくましい歌声やラスサビ前のハイキックなど女性の凛々しさを存分に発揮し、会場を熱狂させた。
鈴木と芹澤の2ショットトークでは、接点の多いふたりの最初の作品が2018年に放送されたTVアニメ『LOST SONG』だったことなどを振り返る。そして出会いの曲である「歌えばそこに君がいるから」をデュエットで届けた。息ぴったりにエモーショナルな歌声を響かせ、笑顔で向かい合いながら声を重ねる様子にも互いへのリスペクトや信頼関係が滲んでいた。
暗転ののち、ドラムのきっかけから登場したのは大橋彩香。1曲目「変革Delight」から、パンキッシュな衣装に相応しいパワーのある歌唱で魅了する。ハードロックテイストの「Be My Friend!!!」でさらにその熱量を高めると、MCでは鈴フェス初参加の喜びをあらわにし、過去に鈴木とコラボレーションをした以外にも、昨年開催したツアーを鈴木が観に来てくれたこと、頻繁にパスタの差し入れをしてくれるなど、良好な関係を明かした。
「まだ鈴フェスは中盤ですが、皆さんの体力をごっそり削り取っていきたいと思います」と告げると、ポップでアッパーな「NOISY LOVE POWER☆」をポンポンでパフォーマンスし、「please, please」では振り付けを交えて高揚感を煽り、デビュー曲の「YES!!」でポジティブな空気感で包み込んだ。大橋と鈴木の2ショットトークでは、鈴木が大橋を鈴フェスに誘った理由について、普段の笑顔と虎のようなライブパフォーマンスのギャップに衝撃を受けたことがきっかけであったと話す。そして鈴木が「過去にファンクラブでカバーしたことがあるくらい大好き」と語った大橋の楽曲「ワガママ MIRROR HEART」をふたりで披露する。ふたりのダンスとスマイルも会場を大いに盛り上げた。
とうとう鈴フェスも折り返し地点へ。東山奈央はステージに登場するや否や「一緒に歌ってください!」と告げ、ダイナミックな歌唱で観客の歌声を引き出す。疾走感のある「群青インフィニティ」で会場を一気にひとつにすると、三味線やストリングスなどをふんだんに盛り込んだ和風ナンバー「灯火のまにまに」では振り付けも交え、鮮やかに曲の世界を体現した。MCでは各出演者のステージに賛辞を送り、同じ楽屋のangelaから「座長を支えるという気持ちで臨めば緊張も和らいで、サポートしよう、盛り上げようという気持ちに変わるはずだよ」というアドバイスをもらったことを明かす。そしてこの日まで念入りに準備をしてきた鈴木を称え、観客に「今日ここに集まった皆さんは同志です。一緒に掛け替えのない思い出を作っていきましょう!」と呼びかけた。
曲中に観客への質問タイムを設けるライブチューン「さよならモラトリアム」、キュートなラップを盛り込んだキャッチーなロックナンバー「真夜中の怪獣」、優しさと爽やかさが詰め込まれた清らかな「あの日のことば」と異なるタイプの楽曲をカラフルに届けると、鈴木がステージに現れて東山とともに「de messiah」をコラボレーションでパフォーマンスする。緊迫感のあるアグレッシブなボーカルとダンスに、観客も息を呑んだ。その後のトークでは鈴木が「(こんな凄いダンスを踊れるなんて)東山さんはバケモノです」とひれ伏す。さらにはこのコラボのために東山がスローで踊ったダンス動画を鈴木に送り、東山の稽古場で合同リハを重ねたことを明かし、東山の手厚いフォローについて「幸せでした」と噛み締めた。
とうとうイベントも佳境へ。atsukoが「Zepp Hanedaに集いし、鈴フェスの騎士たちよ!」と高らかに叫び、angelaがステージに現れて「シドニア」を届ける。TVアニメ『シドニアの騎士』の世界を音楽で表現しながらも、ユーモラスなギミックたっぷりに観客を煽る様子は、現実とアニメの世界をつなぎ合わせて新しい空間を作るようだ。ポップナンバー「乙女のルートはひとつじゃない!」で会場を楽しませると、続いての「KINGS」ではペンライトの色を分けて振り付けをレクチャーし、ウェーブやワイパーも促すなどエンタメ性の高いライブを展開する。これらの振れ幅はパワーと情緒を併せ持つatsukoのボーカルとKATSUのギタープレイがあるからこそ、高い説得力をもって成立するのだろう。
angelaのラストナンバーは「Shangri-La」。たくましいボーカル、熱いギターソロ、コール&レスポンス、観客のシンガロングやタオル回しと、ライブならではの旨味を凝縮させる。鉄壁のセットリストと、様々なライブやイベントで観客を熱狂させてきた手腕でトリ前を盛り上げて、しっかりとホストの鈴木にバトンをつないだ。
5組がつないだバトンを受け取った鈴木は、黒いブルゾンと真っ赤なミニのワンピースに身を包んでステージに登場。これまでチャージしてきたエネルギーを解放するように「ダメージ小でした」「命の灯火」を立て続けに歌い上げた。ライブ前には不安に襲われることが多いという彼女だが、「今日を迎えるのがすごく楽しみでした。これだけたくさんの豪華ゲストの皆さんが、わたしのつたない思いをすくい上げてステージをつないでくれたので、今日は“不安”なんて言いません!」と笑顔を見せる。そして最新リリース曲の「フィニステラー」をライブにて初披露した。これまでの感謝はもちろん、この先の希望やときめきまでも感じられる歌声が観客を幸福感で包み込み、青さ溢れるロックナンバー「東のシンドバッド」では全身を躍動させながら歌う様子も非常に勇敢だった。
「Crossroads」を歌い終えると、鈴木は「今日の総括は“楽しい、うれしい、ありがたい”! 終わりたくないよ!」と率直な思いを吐露する。そしてライブという一度しかない空間がとにかく大好きである旨を語り、「切磋琢磨できる仲間がいて、すごく優しい人ばかりに囲まれています。歌手になりたくてこの世界に入ってきたけれど、なかでもアニソン界に入って心から良かったと思っています。そんな誇らしい気持ちを、今日はたくさんありがとうございます」と興奮気味に伝えた。そして2026年6月20日に、水道橋のKanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)にて『鈴フェス Vol.3』を開催すること、同イベントに藍井エイルとオーイシマサヨシの出演が決定していること、この2名以外にも出演者がいることを発表する。「さらにスケールアップしてお届けする」「お楽しみをたくさん用意している」と次回への期待を煽ると、最後に未来へと駆け出すように「DAYS of DASH」でときめきに満ちた歌声を響かせ、「『鈴フェス Vol.3』で会いましょう!」と告げて観客とともにジャンプで締めくくった。
バンドメンバー紹介のあと、出演者を一人ずつステージに呼び込んだ鈴木は「ご褒美みたいな、宝物みたいなひとときをありがとうございます。感無量です」「本音を言うと不安だったんだけど、本当にみんなのおかげでいい1日でした」とこの日の思いをあらためて口にする。全員で手をつないで頭を下げたあと、ひとり残った鈴木は「やりたい放題なわたしですが、今後もついてきてください。もっともっとみんなと観たい景色があります!」と笑顔で言い残し、ステージを後にした。
『鈴フェスVol.2』だけでなく、来年1月17日にLINE CUBE SHIBUYAにて開催される『鈴木このみ Live 2026 ~Anison Collection~』もソールドアウトしており、その勢いを継続させている彼女は、きっとさらに規模を大きくした『鈴フェス Vol.3』も大成功させるだろう。彼女の周りに仲間が絶えないのは、彼女が自分の理想に向かって果敢に挑戦を重ねているからに他ならない。我が道を進めば進むほど彼女の輝きは増し、その光に導かれるように仲間が増えていく。彼女のアーティストとして、人間としてのパワーを再確認する1日だった。
SET LIST
01.Beat your Heart(鈴木このみ・ASCA・angelaコラボ)
02. Howling(ASCA)
03. Fighter!!(ASCA)
04. MOONWORK(ASCA)
05. Prime number~君と出会える日~(大倉明日香「ASCA」)
06. NO FAKE - short version - (ASCA)
07. RESISTER(ASCA)
08. デビきゅー(芹澤優)
09. PRINCESS POLICY(芹澤優)
10. 最悪な日でもあなたが好き。(芹澤優)
11. Voice for YOU!(芹澤優)
12. JUNGLE FIRE feat.MOTSU(芹澤優)
13. 歌えばそこに君がいるから(芹澤優・鈴木このみコラボ)
14. 変革Delight(大橋彩香)
15. Be My Friend!!!(大橋彩香)
16. NOISY LOVE POWER☆(大橋彩香)
17. Please,Please!(大橋彩香)
18. YES!!(大橋彩香)
19. ワガママMIRROR HEAT(大橋彩香・鈴木このみコラボ)
20. 群青インフィニティ(東山奈央)
21. 灯火のまにまに(東山奈央)
22. さよならモラトリアム(東山奈央)
23. 真夜中の怪獣(東山奈央)
24. あの日のことば(東山奈央)
25. de messiah(東山奈央・鈴木このみコラボ)
26. シドニア(angela)
27. 乙女のルートはひとつじゃない!(angela)
28. KINGS(angela)
29. Shangri-La(angela)
30. ダメージ小でした(鈴木このみ)
31. 命の灯火(鈴木このみ)
32. フィニステラー(鈴木このみ)
33. 東のシンドバッド(鈴木このみ)
34. Crossroads(鈴木このみ)
35. DAYS of DASH(鈴木このみ)















