YATSUI FESTIVAL! 2024
2024年6月15日(土)16日(日)
Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest 5F / Spotify O-nest 6F/ Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / club asia / LOFT9 shibuya / WOMB
2024年6月15日(土)と16日(日)、Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest 5F / Spotify O-nest 6F / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / club asia / LOFT9 shibuya / WOMBの9会場で、エレキコミックやついいちろうによる都市型サーキットフェス『YATSUI FESTIVAL! 2024』(以下やついフェス)が、開催された。
2012年に始まって以来、今年で13回目。開催のメッセージで、やついは「子供でいえば中学1年生。バリバリの思春期突入です」と書いている。
コロナ禍の影響でオンライン開催→会場数や人数を制限しての開催を経て、4年ぶりに本来の形に戻って行われた昨年=2023年は、13年間でいちばん入ったんじゃないかというくらいだったが、今年は2日ともそれを超えている、過去最大数のお客様が来てくれる──ということを、やついは、1日目のオープニングDJ時に発表した。
そして、去年までニコニコ生放送等で行っていた各ステージの生配信が、ニコ生がサイバー攻撃に遭ったことで不可能になったことも、お知らせした。「6月7月と、まったく動かないそうです。でも収録して復旧以降に配信します。みなさん、6月7月とまったく観れませんけど、プレミアム会員になってください!」とのこと。
そして自身の曲「トロピカル源氏」をかける→みんなの反応が悪いと言って曲を止め、振付を練習させてもう一度トライ、をくり返す→巨大やつい人形が登場して撮影&拡散OKタイム──という、毎年おなじみのくだりを経て、高城れにが開会宣言を務めた。これも、ここ数年おなじみの光景である。
高城れに、開会宣言に続いて3曲を歌唱。3曲目は、今年の同フェスのオフィシャルTシャツで、やついが彼女のカラーである紫のバージョンも作った、ということで、「ひとつ夢がございまして。あの曲をやついさんと一緒に歌いたいと思いまして。快くOKをいただきました」と、やついを呼び込み、「トロピカル源氏」を歌った。
開会宣言に続くO-EASTのトップのアクトは、渋さ知らズオーケストラが務めることが恒例のようになっていたが、この日はその枠に水曜日のカンパネラが出演。
「Momotaro」で、詩羽が透明の巨大バルーンに入ってオーディエンスの上を転がりながら歌うのは、ボーカルがコムアイだった頃からおなじみだが、詩羽がボーカルになったのは2021年。2022年の出演時は、コロナ感染予防対策でそのパフォーマンスはなし、2023年は出演がなかったので、彼女がやついフェスでこれをやるのは初めてである。
ラストの「招き猫」では、ステージ中央に出現した巨大招き猫と共演。2022年リリースの曲なので、このパフォーマンスも、やついフェスでは初。
なお、渋さ知らズオーケストラは、同時刻にduoのトップを務めた。後半では、ゲストでサンディーが登場。1979年にテレビアニメ『ルパン三世』のエンディング曲でヒットした自身の曲「ラヴ・スコール(峰不二子のテーマ)」を歌って、拍手喝采を浴びた。
多数の芸人ネタをやる「お笑いコーナー」は、今年はO-EASTとWOMBを中心に展開。O-EASTの最初の枠のトップに、エレキコミックで登場したやついは、「生放送されないから何を言ってもいいんですね! 後で編集すればいいから」と、そのまま配信されたら支障をきたすにもほどがあることを次々と言いながら「やっつん人間ドック」のネタをやる。
続く友田オレのフリップ&歌ネタと、あぁ~しらきの「♪男かな、女かな」「あっ、あっ、あぁ~しらき!」ネタも大ウケだった。
次にO-EASTに登場したのは、初出演の錦野旦。全身純白の衣装で1曲目に「空に太陽がある限り」を熱唱、「愛してる」のコール&レスポンスで、オーディエンスに熱く迎えられる。
その後も歌うたびにコールや手拍子、MCのたびに爆笑。「初めて出て、受け入れてくれるかな、4,5人しか来ないんじゃないかな、と思ってたけど。もうみなさんの顔は忘れません!」。
次のお笑いコーナーのトップのフースーヤが「錦野旦のあと? 無理無理、絶対無理!」「おまえなに軽率にいじってんねん!」という掛け合いから始めるほどの盛り上がりだった。
なお、このブロックの二番手だったサスペンダーズが体調不良で欠場、その穴を埋めたガクヅケも、それに続いたストレッチーズも、しっかり笑いを取って行った。
次のO-EASTのアクト=何度もやついフェスのステージに立って来たでんぱ組.incは、2025年1月4・5日の幕張イベントホールでエンディングを迎えることが決まっているので、これが最後のやついフェス出演である。
「12年前、やついフェスに初めて出た時も、この曲を歌いました。聴いてください」と「くちづけキボンヌ」を歌う。後半に披露した、5月20日にリリースされたばかりの最新曲「商売繁盛!元祖電波屋!」では、超満員のオーディエンスが、これでもかとばかりにジャンプをくり広げた。
日本の最新型のオルタナティブ・バンドたち、とでも言ったらいいのか、Khaki→トリプルファイヤー→あらかじめ決められた恋人たちへ、と超満員が続くclub asiaに、四番手で登場したゆうらん船も、終始入場規制がかかったフルハウス状態。「我々、今はこれといって告知するようなことはないんですけど、最後まで今を楽しんでいっていただけたら幸いです」(本村拓磨/ベース)などと脱力した挨拶をしつつ、「Hurry up」等で、オーディエンスを魅了する。
サウンドチェックの後、いったん引っ込まずに「若者のみんな、中年のステージに来たからには、いいことを教えてあげよう」と、配信ではカットしてほしい、SNSに書かないでほしい、と注文をつけながら、確かに書かれると本人はともかく周囲が困る話を延々と続け、ふと時計を見て「開始時間すぎとるやないか!」と慌てて、オーディエンスを大笑いさせたのは、duoの七尾旅人。
トレイシー・チャップマンのデビュー曲の日本語訳に成功した、と、歌詞の解説をしてから歌った「Fast Car」や、「やついさんも犬が好きだから」と、自身の飼い犬が失明して、それでも生活できるようトレーニングをしている時に作ったという新曲「オーライ、オーライ」等を聴かせてくれた。
人気企画『やついフェススペシャル歌合戦』の1日目は、やついと堂島孝平が司会、審査員はいとうせいこうとしまおまほ。毎年何かのコスプレをすることを己に課しているしまおまほは、『Dr.スランプ』のアラレちゃんで登場する。
玉置浩二に扮したマキタスポーツ、歌ってからバンド(カルモニカ from Calmera やついフェス歌合戦SPバンド)の演奏の良さに感動していた鈴木蘭々、やつい曰く「ガチガチのコント」として仕上げてきたサツマカワRPG&でか美ちゃん夫妻を下してMVPに輝いたのは、Mrs.GREEN APPLEの「私は最強」を熱唱した、柏木ひなただった。
締めはSundayカミデが加わり、このフェスのテーマソング「FESTA!!!」を歌って終了。
同時刻にO-nestの6階スペースを入場規制にしていたのは、初出演を果たした工藤祐次郎、ひとりで弾き語りでライブ。やついがXで今週の自分内トップ5を発表する「やつコン」に、よく自分の曲を入れてくれていて、「6月15・16日、空いてます!」とリプしたかったががまんしていた、と、今回のオファーを喜ぶ。
2曲目では小山田壮平が飛び入りし、ハープを吹きつつ「ゴーゴー魚釣り」をデュエットした。
同会場の下の5Fフロアにバンドセットで出演した(メンバーはナナと篠原良彰のふたり)ラッキーオールドサンも、すさまじい超満員。みんなじーっと各曲に耳を傾けている。
個人的にはこのあたりから、今年のやついフェス、各アクトの人気もあるが、そもそもの動員が本当に例年のレベルではないようだ、だからこんなにどのアクトも超満員なんだ、ということを、実感し始めた。
「みんな悩んだよな? 俺たちもおとぼけビ~バ~観に行きたかった。崎山(蒼志)くんも気になる。でもこのステージに立つことを選びました!」
というわけで、裏のduoで、おとぼけビ~バ~が「ヤキトリ」でライブをスタートしたのとぴったり同時刻に、O-EASTのステージに上がったのは氣志團。「ずっとやついフェス出たかった、でもやついさんに会っても言い出せなくて……」と、團長(綾小路 翔)、初出演を喜ぶ。
ステージにQRコードを出してオーディエンスに読み取らせたり、THE YELLOW MONKEYとCOMPLEXとレッチリ、自分が観に行ったライブでみんなこれをやってたから──と、みんなにスマホのライトを掲げさせたり、サービスしつつさせつつの濃厚なステージをくり広げた末に、「ONE NIGHT CARNIVAL」二連発(通常バージョンとダンス・バージョン)で締めた。
團長が気にしていたO-WESTの崎山蒼志も、同じく超満員。ドラム守 真人・ベース有島コレスケとの3人編成で、ギブソン・エキスプローラーとオベーションを持ち替えながら、演奏し、歌っていく。「やついフェス、4~5年ぶりなんですよ。また出演することができてうれしいです」。
アイドルとお笑い芸人の専門ステージとしてブッキングされている、だからステージの転換なしで次々と演者が登場するWOMBのトリを務めたのは、アイドル方面のトップクラスのやついフェス常連、ばってん少女隊。
怒号のようなフロアからの歓声に「すごいすごい、ちょっと、めちゃ元気がいいねえ、みなさん夜型ってこと?」と応じる。「トリということで、残ってくださってありがとうございます。これは来週の福岡市民会館(6月23日、9周年記念ライブ)にも、みなさん来てくださるってことですよね?」。
O-EASTのトリは、昨年の初日と同じく、サニーデイ・サービスが務めた。「I’m a boy」で始まり、「セツナ」で終わる全9曲、の予定だったようだが、6曲目の「春の風」を歌い終えたところで、曽我部恵一、「1曲増やしていい?」。
やついくんが学生の時に僕らのファーストアルバムを試聴した、最初はいいのかどうかわかんなかった、でも気になって買って帰って部室で聴いてたんだって。青春ってそういうもんなんだよね、いいか悪いかわかんないんだよね。「若者たち」って曲をやります──と、曲に入る。大喜びのオーディエンスは、曲の最後にオフマイクでアカペラで歌った曽我部と一緒に大合唱した。
最後のDJやついいちろうは、ラモーンズ~ジャスティン・ビーバーを経て、今立進と片桐仁が登場して3人でキケチャレ!の「FUNKY FUN!!!」を歌って終了、残っていた出演者が多数登場して……という恒例の段取りを踏むはずが、やつい、ソデを見て「まだ誰もいません! なのでもう1曲行きましょう!」、曲終わりに「まだ誰も来ません!」と、結局3曲追加して場をつないだ。
そしてようやく出演者たちがオンステージ。サニーデイ・サービスの演奏で、このフェスのテーマソング「月が今夜笑ってるから、ぼくらそっと東京の空を見上げる」を歌う。
みんなで客席をバックに記念撮影してからステージを去る時に、やつい、ゆんぼだんぷに「締めにやっとく?」。ふたりの持ち芸「まるで鏡のような水面に雨の雫が一滴、落ちる音。」で、1日目が終了した。
2日目に続く。