ポルノグラフィティ 19th ライヴサーキット "PG wasn't built in a day"
2024年3月31日(日) 有明アリーナ
大きな宮殿のようなセットに、真っ直ぐではなく曲がりくねった花道。これらも25年のキャリアの中で進んできた道と築いてきた自信が表れているように感じた。“ローマは一日にして成らず”という言葉同様、タイトルになっている通り、ポルノグラフィティも一日にしてならず、積み上げてきた歴史がそこにある。高らかにファンファーレが鳴り響き、岡野昭仁と新藤晴一がステージに登場すると割れんばかりの歓声と拍手が轟いた。ポルノグラフィティのライヴで観客の声出しがOKとなったのはおよそ4年半ぶり。振り返ると2019年9月に東京ドームで行った「20th Anniversary Special LIVE NIPPONロマンスポルノ'19〜神vs神〜」以来となる。
「ファイナル、盛り上がっていこうぜ!」と岡野がオーディエンスを煽り、キャノン砲で銀テープ発射と共に「Century Lovers」でライヴがスタートした。1曲目からの盛り上がりに「最高じゃん!」と岡野もゴキゲン。「やっと一緒に歌えるぜ!」と喜びを爆発させた「テーマソング」では客席がビジョンに映し出され、あちこちでファンの笑顔や感極まる表情、シンガロングする姿があった。そして「キング&クイーン」「Mugen」と勢いを加速させ、すでにこの時点で会場全体に一体感が生まれていた。
4曲を一気に歌って盛り上げた岡野は「こんにちは?元気?盛り上がっとる?あんたらの心は熱くなってますか?」と呼びかけ、「わしらが、ポルノグラフィティじゃ!」と挨拶。「最終日、みんなも気合い入っとんじゃ?ステージのわしらもそうでございます。今日はいつもよりリミットを外してファイナル行きたいと思っております」と意気込むと、新藤も「みなさんにかかってますからね。どっちが楽しめるか勝負みたいなところもあるのでよろしくお願いします!」と、共に盛り上がっていこうと呼びかけた。さらに、岡野が今年元日に発生した能登半島地震にも触れ、「まだまだ被災地では苦しんでいる方がたくさんいます。我々エンターテインメントに属している人間に何が出来るのか。現実的なのは、今、この時間を目いっぱい心の底から楽しむこと。明日への力をみなぎらせて、復興へのエールを送り続けること。これが復興への足掛かりとなると思います」と思いを伝えた。
「みなさんと心と心を繋ぎ合わせよう」と言って「REUNION」を熱唱し、2014年の15周年のタイミングでリリースされた「俺たちのセレブレーション」では過去のライヴ映像がビジョンに映し出される演出も。そして、「アニマロッサ」「メリッサ」といった代表曲でさらに会場を盛り上げていく。
岡野は「今回のツアーでの変化を感じるのは、男が増えた」と言って、「男!」と呼びかけると大きな歓声が上がり、「ロックバンドとしては男の子の怒号、雄叫びみたいなのが必要ですから」と嬉しそうな表情をのぞかせた。「そして女の人」と呼びかけると今度は女性ファンの声が響き渡った。「この黄色い歓声がなくなったら、僕らは辞めます」と、その声援に応えて返すと大きな拍手が起こった。
「Sheep ~song of teenage love soldier~」と「ジョバイロ」は花道の先端、センターステージにサポートメンバーたちと移動し、アコースティックセットで聴かせた。メインステージに戻って、モノクロの映像の演出が映える「フラワー」、滑走路のような灯りがともる「夜間飛行」を展開。インタールードを挟んで、「オレ、天使」では岡野が羽根を背負って歌い、「170828-29」では炎の特効も相まって熱いステージに。
広島サミット応援ソングとして作られた「アビが鳴く」の後、新藤は「この25周年ツアーのために新曲を作りました。経済用語ですけど、日本は“失われた何十年”とか言われてて、ずっと負けてたことになってる。いやいや、そんなことないだろ。この25年はその中にすっぽり入るけど、悪くない日々だったし、いいものがいっぱいあるじゃん。そんな歌です」と説明し、「解放区」を披露。メッセージ性の強い曲は、聴く者を奮い立たせ、力と勇気を与えてくれた。ライヴも終盤戦。花道に出て「空想科学少年」「ハネウマライダー」「アポロ」でファンとの一体感をより感じ、岡野のアカペラで始まった「サウダージ」、「みなさんの人生で最高の歌声を聴かせてください!」と呼びかけ、「オー!リバル」で本編を締めくくった。