氣志團現象2023 綾小路 翔カムバックスペシャル「赤狼煙〜AKANOROSHI〜」
2023年9月13日(水)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
「待たせたな、KISSES!」
復帰を待ち望んでいたKISSESを前に、綾小路 翔(DRAGON VOICE, MC & Gt)がステージへの帰還を力強く告げる。声帯炎治療により、1月3日の日本武道館ワンマンを最後に歌唱活動を休止していた綾小路のカムバックスペシャルとして、9月13日(水)東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、『氣志團現象2023「赤狼煙~AKANOROSHI~」が開催。「狂犬の歌を聴け。」と綾小路が歌声を響かせ、渋谷の街に赤狼煙が高々と上がった。
歌唱活動休止中も“氣志團-Season 2.5-”として、綾小路以外のメンバーがボーカルを取るスタイルでライブハウスツアーを行うなど、足を止めることなくバンド活動を続けてきた氣志團だが。綾小路が歌唱するのは、今年1月3日に行われた日本武道館公演以来、実に8ヶ月10日ぶり。この日を待ち望んだKISSESが全国から集結し、超満員の会場がペンライトの光で真っ赤に染まる中、開演のブザーが鳴っていよいよGIGがスタート。
客席の照明が落ちて盛大な拍手が起きると、真っ暗なステージから響く綾小路の独唱で始まった1曲目は「友よ」。客席から歓喜の声が上がる中、アコギを鳴らして一人ひとりに語りかけるように、歌うことの喜びを実感するように、丁寧に気持ちを込めて歌声を届けた綾小路。力強く伸びやかなその歌声は不安や危うさを感じさせないどころか、マイクを通さず地声で歌うシーンもあり、KISSESは安心と喜びを感じながら狂犬の歌に浸る。たった一人で一曲を歌い終えると大きな拍手や歓声と「お帰り」の声が上がり、「待たせたな、KISSES!」と綾小路が応える。
赤の特攻服で揃えたメンバーにスポットが当たり、「連れて行くぜ、ピリオドの向こうへ」と告げて始まった曲は、永久不滅の代表曲「One Night Carnival」。武道館以来、綾小路の歌唱で披露したこの曲で、氣志團が完全復活を宣言!ダンサブルかつ力強い演奏に乗せた綾小路のハイトーンは手術前よりクリアに伸びやかに聴こえ、早くも良い効果が表れている様子。KISSESの歌唱パートでは、氣志團の完全復活を祝う大合唱が会場に響き、「2020年2月1日、名古屋の『BLARE FEST』以来、実に3年7ヶ月ぶりに全員集合の「One Night Carnival」です。ずっとずっと、みんなと一緒に歌いたかったぜ!」と綾小路が喜びを伝える。
「黒い太陽」、「木更津サリー」と続き、バンドの絶好調ぶりがビシバシ伝わってくる歌と演奏、パフォーマンスで湧かすと、全員がジャンプを合わせた「房総魂」で会場を揺らし、前半戦を駆け抜けた氣志團。新型コロナの流行に綾小路の声帯手術と、不遇に見舞われた数年間だったが。そこで得たものや吸収したもの、溜め込んだものを全放出するような情熱や衝動に溢れたステージングで、その期間が決して無駄じゃ無かったことを証明。叶 亜樹良(Dr)と白鳥松竹梅(Ba)の強靭なリズム隊、西園寺 瞳(Gt)と星グランマニエ(Gt)の息の合ったギターアンサンブルが武道館GIG以上の存在感やスケール感をもって迫ってくるのも、團長不在の氣志團の活動で鍛え上げた成果だろう。俺たちの氣志團が、この夜が、この瞬間がようやく戻ってきたことが嬉しくて仕方ない。
MCでは、「ただいま、KISSES!」「お帰り~~!」と、改めてKISSESと挨拶を交わした綾小路。術後の声について、「俺の中ではだいぶ違うし。それが良いのか良くないのか、分からないけど。決めたよ、この声で行くぜ!」と受け入れる覚悟を決めたことを告げると、「ごめんな、この間までの声のファンの人!」と笑わせる。「とにかく俺にとって大事なことは、ここに帰って来ることが出来たこと。そして、みんなが待っててくれたこと。待っててくれてありがとう!」とKISSESへの感謝を告げ、「新しい氣志團行こうぜ」と、1月リリースの最新アルバム『THE YⒶNK ROCK HERØES』から、「降っても晴れても」を披露。アンニュイな夏の日をイメージするこの曲を、夏の匂いが残るこの時期に聴けて良かった。
GIG中盤、西園寺の哀愁あるギターで始まり、微熱DANJIも登場して賑やかに盛り上げた「スパトニック・シティ・ブビブビ」で始まったメドレーは「キラ キラ!」、「甘い眩暈」、「スウィンギン・ニッポン」と続く、氣志團GIGの“楽しい!”が詰まった豪華詰め合わせ。久々のGIGにいま見せたいこと、いまやりたいこともたくさんあるけれど、やっぱり氣志團GIGの真骨頂はこれだぜ!といった感のあるメドレー。「男帝-Dandy-」や「恋人」のワイワイ楽しく賑やかなステージや、会場中が笑顔で振り付けを合わせる光景を見ると、「これもまた氣志團GIGの醍醐味!」と嬉しくなる。
切なく歌い上げるミディアムチューンが会場の雰囲気をガラリと変えた、最新アルバムの新曲「この夜」はいま見せたかった氣志團の最新型。エアギターを背負った早乙女 光(DANCE & SCREAM)が、KenKen風のエアベース、坂本龍一風のエアキーボード、YOSHIKI風のエアドラムと、ドリームエアバンドを引き連れて披露した「CHU-RU-RI-LA」は、いまやりたかった氣志團の悪ふざけ。MCでは手術を受けることになった経緯、俺の旅もここで終わるんじゃないか?と思った瞬間があったこと、GIGでみんなの笑顔を見た時にまだ頑張ろうと思ったことを明かした綾小路。「いびつな石ころが『ダイヤじゃね?』と思ってもらえるように。そのオチを付けるまでは絶対へこたれないから」と宣言し、アコギの弾き語りで「不良品」を披露。MCで語った想いを改めて自身で噛み締め、おまえらに届けるように歌う綾小路。その想いを受け止めたKISSESが大きな拍手で応えると、「俺にはこいつらとおまえらがいれば、あとこれさえあれば大丈夫!」と勢いあるバンドサウンドで「鉄のハート」が始まり、GIGはクライマックスへ。
微熱DANJIも加わり、「ヘイ!ブラザー」の軽快なビートで歌い踊ると、本編ラストは「愛 羅 武 勇」で会場にいる全ての人に熱い愛を届け、最高潮の盛り上がりの中でフィニッシュ。無期休学中の白鳥雪之丞が客席に飛び出してKISSESを煽り、会場に響いたとびきり大きなルーアンコの声に、光が打ち鳴らす痛快な太鼓の音で始まった曲は「You&Me Song」。夏の終わりにぴったりのセンチなこの曲を切なく美しく歌い上げると、「氣志團の曲の中でも、すごくキーが高くて。この季節になると演奏したくなるけど、歌えなくなっちゃう曲なのかな?と思ってた」と明かした綾小路。クリアで抜けの良いハイトーンボイスがボーカリストとしての進化と復活を証明する、素晴らしい歌声だった。
「これからもおまえらのこと、幸せにしかしねーからな!」と宣言し、<黙って俺についてくればいい>と「幸せにしかしねーから」でアンコールを締めくくると、再び会場に響いたルーアンコの声に、綾小路がエレキギターを抱えて登場。続いて、揃いの綾小路復帰Tシャツ姿で登場したメンバーに、綾小路が苦笑して始まった「RUN★BAKURATEN★RUN」でGIGを派手やかに賑やかに締めくくる。
ルーアンコのMCで告知したように、10月からは全國ライブハウスツアー「氣・志・解・声」がスタート。さらにライブハウスツアーの直後となる12月からはいよいよSeason3の幕開けとなる、全國ホールツアーを開催する氣志團。「……Season3って、何?」と自身も分かっていない様子だったが。この日のGIGを見たKISSESは、氣志團の新しい季節に期待せずにいられないはず。こっからの氣志團の快進撃を震えて待て!!
SET LIST
01.友よ
02.One Night Carnival
03.黒い太陽
04.木更津サリー
05.房総魂
06.降っても晴れても
07.メドレー(スパトニック・シティ・ブビブビ~キラ キラ!~甘い眩暈~スウィンギン・ニッポン~男帝-Dandy-~恋人)
08.この夜
09.CHU-RU-RI-LA
10.不良品
11.鉄のハート
12.ヘイ!ブラザー
13.愛 羅 武 勇
ENCORE
01.You&Me Song
02.幸せにしかしねーから
W-ENCORE
01.RUN★BAKURATEN★RUN