氣志團、23年ぶりの日比谷野音ワンマンGIG。ゆかいな仲間たち&KISSESと創った最高の夏の思い出

ライブレポート | 2025.08.29 18:00

氣志團現象2025 夏の陣 日比谷狂乱 "俺らがいちばん熱い夏"
2025年8月17日(日)日比谷野外大音楽堂

「オーラァイ! 日比谷狂乱、始めるぜ!!」

GIG序盤、久々の日比谷野音ワンマンに気合い十分の綾小路 翔(DRAGON VOICE, MC & GUITAR)が力強く告げると、会場を埋め尽くすKISSES(氣志團のファンの愛称)が、かちどきを上げるように大歓声で応える。氣志團が2002年以来、実に23年ぶりとなる、日比谷野音でのワンマンGIG『氣志團現象2025 夏の陣 日比谷狂乱 "俺らがいちばん熱い夏"』が開催された。23年ぶりであり、10月より再整備工事に入るため、現状では最後となる日比谷野音でのGIG。ロックの聖地と呼ばれてキャロルや尾崎豊、ザ・モッズなど、数多くのアーティストが伝説を生み出してきた日比谷野音に、氣志團が最後の伝説を刻む。

青空が広がりながらも日中の暑さは少し和らぎ、絶好の野音日和に恵まれたこの日。日本一大好きなコンサート会場での思い出作りに、少し早めに会場に訪れた俺。いつも通り、売店で缶ビール(仕事中だけど)とポテロングを買って。青空の下、深緑と高層ビルが囲む会場で、さっそくビールを一口飲んで。この景色を見るのも最後かもしれないと思いながら、セミの鳴き声に耳を傾けてると、その鳴き声がだんだんと大きくなっていく。

狂い鳴くセミの声が粋な演出であることに気付いた観客から歓声が上がる中、試合開始を告げる甲子園のサイレン音が鳴り、早乙女 光(DANCE & SCREAM)が登場。ステージ中央に立ち、トランペットを構えた光が鳴らす「夜明け」のイントロが伝説の始まりを告げる。続いて登場したメンバーが演奏を重ねて壮大なOPを演出すると、1曲目「The アイシテル」へ。微熱DANJIもステージに登場し、Never Ending Summerの幕開けを明るく賑やかに宣言する。

と、ここで気付く。あれ? 柄シャツにボンタンという衣装や、白鳥松竹梅(Ba)の後ろで腕組みするカラシマンの存在って、2002年に代々木公園で開催した伝説のフリーライブ『原宿暴動』のセルフオマージュでは? などと思ってるところに、松竹梅の「ロックンロール!」の絶叫で始まった「NEVER LAND」は「The アイシテル」同様、2006年に開催された『氣志團万博2006 極東NEVER LAND』時にリリースされた、あの夏を象徴する楽曲。あれから19年! 熱かったあの夏やこの夏を思い出させる演出や展開にワクワクしてると、続いて始まった曲は「鉄のハート」。

23年前の野音でもGIG序盤に披露された、現在も昔も氣志團とKISSESを固く強い絆で結ぶ「鉄のハート」。「やっと帰ってきたぜ! やっと逢えたんだぜ! こんなもんじゃねぇだろ!?」と綾小路が煽り、オッサオッサ!とKISSESが掛け声と気持ちを合わせると、会場中の心がひとつになるのが分かる。続いては、2020年にコロナ禍で生まれ、2022年に袖ケ浦で復活の狼煙を上げた『氣志團万博』の風景やあの頃の気持ちを思い出す「房総魂」。「2025年8月17日、氣志團2度目の日比谷野音。今夜、最高の夜にするぜ!」と綾小路が誓い、曲終わりには「We are 氣志團!」と見得を切る。

ひとつひとつの演出や選曲にそこにある意味と意義、そして日比谷野音ワンマンに賭ける熱い想いを感じた序盤戦から短い挨拶を挟むと、綾小路と光のキュートなダンスと、ステージ前方に立つ楽器隊の硬派な演奏で魅せた「Baby Baby Baby」へ。続く、「Boys Bravo!」は23年前の野音で、新曲として初披露した楽曲。熱く硬派な歌詞や曲調もレゲエ調のパートも夏と野外にぴったりで“氣志團には野外GIGがよく似合う”と改めて確信。

「スウィンギン・ニッポン」は西園寺 瞳(Gt)と星グランマニエ(Gt)が小さな手押しトロッコに押されながらのギターソロで魅せて、「萌え萌えROCK'N ROLL」は綾小路のリードに会場中が振り付けを合わせて。「恋人」では綾小路が大きめのトロッコの上で会場の隅から隅まで見渡してと、賑やかで華やかなステージで会場を沸かす。続いて、熱くなった会場をクールダウンするため、ステージに登場したのはDJ HAMA-KOO(白鳥雪之丞)。TRFの「BOY MEETS GIRL」調の曲(爆笑した!)に乗せて水鉄砲や柄杓で水巻く“給水タイム”にみんな無邪気に大はしゃぎ! このバカバカしさもまた氣志團GIGの醍醐味。

トミーのウクレレで始まった「No Rain, No Rainbow」では熱い夏フェス気分を再現して、「You & Me Song」では切ない夏をエモーショナルに描いてと、様々な角度から夏を堪能させてくれた中盤戦。「今日の陽の入りは18時28分。ちょうど、この時刻に歌いたい歌があります」とギターを背負った綾小路が語り、始まった曲は「落陽」。夕焼け空の下でとはいかなかったが、夕焼け色の照明に照らされた野外ステージで、心地よい風に吹かれながら観るこの曲は格別。スケール感ある演奏とたっぷり気持ちを込めたボーカルに会場中が息を呑み、ステージに釘付け。演奏後は大きな拍手と歓声が会場を包んだ。

と、そんな「落陽」の余韻に浸る間も与えず、聴こえてきたのは祭り囃子。私立戸塚水産高校の理事長・江張國光が音頭を取り、ステージ上にはオフィス男闘呼塾エンターテインメントのオールスターズが集結。木更津のソウルダンス「YASSAI MOSSAI」を歌い踊る、盆踊り大会へと突入! 微熱DANJI、初代ギタリスト・毒蝮愛、木更津の大先輩集団・わきが汁、初代マネージャーの女優・明星真由美、中学の同級生・まちゃまちゃといった豪華ラインナップ(?)が一同に介してのお祭り騒ぎに、KISSESも大盛り上がり。♪やっさいもっさい!と溢れる笑顔で掛け声や振り付けを合わせた。

バイクのエンジン音が再び会場の空気を変え、綾小路の奏でるバイクのコールと叶 亜樹良(Dr)のダイナミックなドラムが激しく美しいアンサンブルで魅せた「Axel Call」で始まった後半戦は、最新曲「汚れなきクソ野郎ども」で硬派にパワフルにスタート。だったのだが、畳み込むように続いた「ゴッド・スピード・ユー」で勢いづけて、さぁ、ここから! というところで、まさかの演奏中断。「すんません、カウントが聴こえなくて入れませんでした!」と謝る綾小路に、「自分もでした!」とトミーも自白。慌てて状況説明する綾小路を「でも、一個また野音の伝説が、ね?」とトミーがフォローすると、「さみしがり屋たちの伝説がね」と苦笑する綾小路。「伝説っていつもカッコいいとは限らないから。これを後世に伝えてくれ!」とKISSESに告げ、曲に戻ることは諦めてそのままMCへ。

「今日は俺、いろんなことを思ってセットリストを組んできました」と、この日のGIGへの思いを語った綾小路。野音の魔物に翻弄されて、その予定はすっかり崩れてしまったが。思いのままに話す綾小路のMCが、すこぶる良かった。日比谷野音に数々の伝説を残した憧れのロックスターたちや23年前の野音ワンマンの思い出を話すと、「いつも誰かになりたくて憧れてきたけど、20年経っても全然たどり着いてなくて」と語った綾小路。「カリスマにはなれないけどさ、ずっと仲良しでいるよ。変わらないメンバーで今日までバンドを続けてくることが出来ました」と誇らしげに語り、「氣志團はこれからもみんなの好きのひとつでありたい。そのためにいっぱい頑張るぜ、夜露死苦!」とKISSESに宣言。予定調和でないからこそ聞けた綾小路の本音に、KISSESが温かい拍手で応える。

続いて、前日に20年以上、氣志團を応援してくれたKISSESが亡くなってしまった知らせを聞いたことを明かすと、「みんながどこにいても、どこに旅立っても届くくらい、デカい声でこれからも歌っていくから。愛するお前らに」と告げて「愛 羅 武 勇」を披露。観客のスマホの光とペンライトが美しく会場を彩る中、天まで響くほどの歌と演奏で<愛 羅 武 勇>を気持ちいっぱいに届けると、本編ラストとなる「One Night Carnival」が始まる。KISSESの愛に溢れたとびきり大きな合唱が、日比谷の夜空に美しく響いた。

本編終了後、鳴り止まないルーアンコの声に再び登場したメンバーだったが。「氣志團は百戦錬磨のバンドだと思ったけど、今日はなかなかのハードで。戦慄のツーバスサイボーグがオーバーヒートしてしまいました」と綾小路が語るように、そこに亜樹良の姿は不在。またも野音の魔物に翻弄される展開となるも、「だけどよ、今日は氣志團一家が勢揃いで来てるからさ。ドラムいたわ!」と綾小路が告げて。ステージに呼び込んだのは白鳥雪之丞! 一曲入魂、当然リハもしてないユッキのカウントで始まった曲は「ゆかいな仲間たち」。ブランクを感じさせないユッキのプレイや、メンバーとの息の合った演奏に不安要素は一切ナシ。さすが氣志團、これぞ火事場のクソ力!!

ステージ上にはオフィス男闘呼塾エンターテインメントのゆかいな仲間たちも集合して大騒ぎして、楽曲後半には復活した亜樹良もタンバリンを持って登場。この誰も予想しなかったハッピーでドラマチックな展開に、KISSESも大興奮! そして、ドジったりズッコケしたり、上手くいかないこともありながら、ワイワイガヤガヤと明るく楽しく迎えた、まさに「ゆかいな仲間たち」の楽曲世界を体現するようなエンディングに大感動! 会場から溢れ出るほどの多幸感が包む中、大団円でGIGを締めくくった。

10月22日には、実に5年8ヶ月ぶりとなるニューシングル「汚れなきクソ野郎ども」をリリースする氣志團。9月20日(土)には日本トーターグリーンドーム前橋にて開催される『山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~』、そして10月12日(日)には海の森公園にて開催される『TOKYO ISLAND 2025』に出演するなど、フェスやイベントへの出演予定も満載。さらに11月15日(土)16日(日)には、自身主宰の『サントリー オールフリー presents 氣志團万博2025 ~関東爆音パビリオン~ powered by Epson』を開催。来年に控えたデビュー25周年、再来年に控えた結成30周年に向けてフルスロットルでぶっ飛ばす、氣志團のここからの活動も見逃すな!

SET LIST

01. 夜明け
02. The アイシテル
03. NEVER LAND
04. 鉄のハート
05. 房総魂
06. Baby Baby Baby
07. Boys Bravo!
08. スウィンギン・ニッポン
09. 萌え萌えROCK'N ROLL
10. 恋人
11. No Rain, No Rainbow
12. You & Me Song
13. 落陽
14. Axel Call
15. 汚れなきクソ野郎ども
16. ゴッド・スピード・ユー
17. 愛 羅 武 勇
18. One Night Carnival

ENCORE
01. ゆかいな仲間たち

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