毎回、ツアーを終えると、無事に全公演、ちゃんとできてよかったなとほっとしますね。
初日の名古屋公演が本当に久しぶりの声出し解禁だったんですよ。ライブをやっているアーティストは、きっとみなさん、そうだと思うんですけど、『あ、こんな感じだったんだ』って思い出すような感覚があって。ただ、事前のリハーサルのときに、音響さんから、『すごいよ』って聞いてはいたんです。私はその時が久しぶりだったけど、他のスタッフさんは声出しのライブをすでにいくつか経験していたので、『みんなの声やクラップに負けないようにね』って事前に教えてくれて。ステージ上には私一人しかいないので、テンポキープとか、どんどん速くなったりしないように気をつけなきゃっていう、心の準備はしていたんです。それでも実際は、すごい迫力で、圧倒されたんですけど、素直に嬉しかったですし、やっぱり心強くて。演奏もとてもやりやすかったです。
そうですね。もちろん、全部の曲で声を出すわけじゃないと思うんですけど、特に2年前の弾き語りツアーのときはまだまだコロナ禍の真っ只中だったので、ちょっと閉塞感もあって。最初から最後まで、静かに聴くっていう感じだったので、その雰囲気とは全然違ってましたね。MCでリアクションがあるのも嬉しいですし。
久しぶりに来てくださってたお客さんがすごく多かったことかな。コロナ禍でもなんとかして毎年、ライブツアーをやってたけど、やっぱりその間はこれてない人もたくさんいて。それこそ『ポプステ』ぶりという人もいたし、ソロのライブは初めてっていう人もいたし。あと、すごく覚えているのは、名古屋公演でピックを受け取った子が私と同世代の女の子で、学生の頃から私のことをずっと応援してくれてたみたいで、結婚して、旦那さんと見に来てくれていて。なんだか、ああ、一緒に歳を重ねてきたなって感慨深くなったし、すごく嬉しかったです。
そうですね。やっぱり原点というか、初めて1人でピアノの弾き語りしたのがちょうど6年前の初のホールツアー『ココロノセンリツ 〜feel a heartbeat〜 Vol.1』だったなということも思い出したし、自分自身が弾き語りライブをやるのは、本当はもうちょっと後のイメージだったんです。だけど、いろんな巡り合わせで、コロナ禍になって、どうやったらライブができるかっていうのを考えたときに、なるべくリスクを減らすという意図で、2年前に初めて弾き語りツアー『サクライブ 弾き語りツアー2021』をやって。それは、本当に自分が思ってたよりもかなり早いタイミングだったけど、そこで弾き語りのライブに挑戦したことは、自分のなかでは大きくて。あのときにやってなかったら、もちろん今回もとてもじゃないけどできなかっただろうなと思ったし、自分の中では大きな一歩になりました。
まだ、すごく緊張はします。だけど、私が初めて弾き語りライブを見たのは、『裸』を書いてくださった小谷美紗子さんのライブだったんです。そこで、弾き語りライブっていいなっていう憧れを抱いたし、弾き語りライブの魅力に気づかされて。2年前に、小谷さんに連絡したときに、『弾き語りは孤独だけど、その分、自由だよ』っていうメッセージもらったんです。その言葉の意味が、ようやく少しずつわかってきたような気がしていて。特に去年のアコースティックツアー『サクライブ 〜Acoustic Tour 2022〜』はピアノの宮崎裕介さんと回って。デュオは逆にタイミングが命で、2人の息が合わないと成り立たないって難しさを経験した分、今年、1人で弾き語りをやったときに、確かに少し自由だなっていうふうに、感じられるようにはなりました。
全体的ではあるんですけど、 2年前の初の弾き語りツアーに向けて作った『指先の夢』は初めてアレンジをかける前にみんなの前でライブで披露したんです。例えば、去年のアコースティックツアーで初披露した『夢の途中』は先にレコーディングをして、バンドでアレンジがあるんです。そのイメージが自分の中である分、弾き語りでどうやったらあの世界観を伝えられるんだろうっていう順序になる。でも、『指先の夢』や『オレンジ』は、本当に自分が作ったときの温度がそのまま詰め込まれた——ある意味、デモ音源そのまま、素のままで自由に届けられるなっていう気はすごいしてます。
そうですね。でも、今回の弾き語りは、ある意味、リルハー(『A Little Harmony Live』愛称)のテーマにもなるんですけど。