前編ではPOETASTER結成から10年の軌跡を辿ってきました。後編では10周年記念サーキットイベント『DO SHOW & MORE NIGHT -10th Anniversary-』について語って頂きました。
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──こうしてPOETASTERの10年を振り返った時、いまはちゃんとやりたいことが出来ていて。“暗黒期”も冷静に振り返られるようになったのが、すごく良かったですね。
高橋 大樹(Vo/Gt)そうですね。あの時はバンド仲間のことやお客さんのことはすごく大事に思ってたんですけど、正直、ライブにも身が入って無かったですね。ライブってやっぱり憑依させなきゃ駄目で。例えば、友達のツアーだったら、友達がツアーに賭けてる思いをどれだけ汲み取れるか? とか。見てくれてるお客さんが普段はどんなことをしてて、どんなことを求めて見に来てくれてるのか? とかまで汲み取って、憑依させてライブに臨まなきゃいけなくて。それが友達のバンドへの愛が一番伝わると思うし、お客さんのことを想う気持ちが一番伝わる方法だと思うんですけど。あの頃はそれがなんも出来てなかったと思います。だから、ただライブをやってるだけで、どんなバンドとどんなライブをしてとか、どんな会話をしたとか、全然覚えてないんです。
Fuma-Z(Dr/Cho)その時期はライブの緊張感がすごすぎて、ライブを楽しめていなくて。ライブ以外のことの方が面白いから、そっちのことばかり覚えてますね。ツアー先のホテルでみんなで呑んで、顔にめっちゃ落書きされたとか、そんな思い出ばかり(笑)。
高橋そこからがまた大変で、その後のリリースが1stフルアルバム『romance』(2019年)だったんですけど。発売1週間前にジャケのデザインが、ファッション誌の写真を無断でトレースしたものだったことが分かって、発売中止になり。ツアーは決まってたので、デモCDを作ってツアーを回ったんですけど、その間にメンバーが脱退するんですが。数日後には『ムロフェス』があってという、怒涛の展開があって。さっき話したヘラヘラモードに突入するんです。
──もう笑うしかない、どうにでもなれと(笑)。
Yoshi Nakayama(Gt/Cho)その後、僕もサポートとして加入するんですけど。暗黒期のライブしか観てないので、「ああいうライブは出来ないよ?」って言ったんです。そしたら、「大丈夫です、好きにやっちゃって下さい」っていうから一緒にやったら、溜まってるものを放出するみたいにめちゃくちゃ暴れてて。
──開き直りに近い感覚があったんですかね?
高橋そうですね、開き直りだったのかな?
Fuma-Z「まずは自分たちが楽しむ」に優先順位が変わったのかも知れないですね。
高橋楽しかったよね。毎回、違うギタリストとライブやるので、毎回同じセットリストを違う人と練習するんですけど、それも楽しくて。サポートの人が緊張してるのを見るのも楽しかったんです。
Fuma-Z僕は変な話、サポートの人が緊張してるのを見て、「自分がそんな緊張してどうすんだよ」と思って、そこからあまり緊張しなくなったんです(笑)。
高橋確かにあの頃からしっかりしてきたよね。Yoshiさんが入ってからもだいぶ変わったし。この10年で一番変わったのは、Fuma-Zかも知れない。前は「そこのドラム、もっと悲しい感じで叩いてよ」とか言っても、感情の起伏が無いから分かんないんですよ(笑)。
Yoshiいまはバンドの運営的なこととか、ライブのセットリストとか、大事なことは最終的に(高橋)大樹が決めるんですけど。土台の部分をまず、僕とFuma-Zで話すことが多いし。最近は自ら率先してやってくれることも多いんで、すごく頼もしいです。
Fuma-Z(照れくさそうに笑いながら)いやいや(笑)。
高橋いや、心配だったんですよ? うさぎを飼ってるんですけど、ペットを愛する心を持ってる人間なのかが心配で(笑)。
Fuma-Z大丈夫です。小さい頃から動物の方が仲良かったんで。
──人間よりも?(笑)でも、そういう人としての成長が、バンドの成長にも反映されていくわけですよね。1年半前にインタビューした時、印象的だったのが「いまが一番楽しい」という言葉で。「いまが一番楽しい」は、更新され続けていますか?
高橋うん、一番楽しいですね。メンバーもバンド仲間もレーベルも、すごく背中を押してくれて。俺のやりたいことがまずあって、「じゃあ、どうしていこうか?」って話してくれるので。俺はすごくやってて楽しいし、やりがいもありますね。