岡村孝子が年末恒例の“Christmas Picnic”を今年も開催!「今は、純粋に感謝して楽しみたいなと思っています」

インタビュー | 2023.09.14 12:00

岡村孝子の音楽と聞いて、高原の湧き水のように透き通った歌声や、心の中の弱った部分に寄り添ってくれる詞とメロディを備えた楽曲の魅力を連想する人は少なくないだろうが、その歌声や楽曲の魅力をたっぷり味わえるライブもまた彼女の音楽の重要な要素の一つだ。2019年に5ヶ月間の闘病生活を強いられることになり、その後も体調と相談しながら、しかしいち早くライブの現場に復帰し、昨年は恒例の年末ライブ・シリーズ“Christmas Picnic”を再開した。
もちろん今年も行われる“Christmas Picnic”を前に、闘病を経てライブに向かう現在の心境や今後のキャリアについての展望など、じっくり語ってもらった。
──今年は、あみんのデビューから数えると41年目、ソロ・デビューから数えると38年目ということになりますが、その間には闘病期間もあったりしながら、しかしまたこうして恒例になっているライブに向けての取材も受けたりするという状況のなかで、現在の岡村さんはキャリアを積み重ねるということについてどんなふうに感じていますか。

本当に目の前のことを一生懸命やって、気づいたら時間が経っていたという感じと…。ただ、4年前に大きな病気をして、その時に、“やりたいことはたくさんやってこられたので、悔いは残るけど、仕方がないのかな”と思う気持ちと同時に、“いや、まだまだやりたいことが残ってる”ということを病室で思ったんです。もし万が一この病室から外に出ることができたら、もう一度ステージに立って、皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいなって。わたしのリスナーさんは、デビューからずっと一緒に旅を続けてきているような感じなんですけど、もう一度その旅を続けたい、と。その病室のベッドの上ですごく思いました。

──闘病中の岡村さんのなかにあったのは、ライブの現場でファンの皆さんとまた時間を過ごしたいという気持ちだったんですね。

そうですね。まず最初に「女神の微笑み」という歌で…、女神というのは応援してくれるリスナーさんのことを言ってるんですが、5ヶ月の闘病の中で、たくさんの方に支えられたり助けられたりしたんですけれども、無菌室から5ヶ月間全く出られなかったので、そういう意味ではかなり孤独な戦いで、そんな時にTwitterでリスナーさんが、例えば七夕の時に「良くなってください」というお願いを一斉にしてくれたり、SNSを通じてすごく励ましていただいたんです。そういう支えのおかげで、暗闇の向こうのほうに、明るい光が見えてる感じがして、その明かりに向かって歩いていくというイメージで曲を作って、もし治ったら、本当にステージに立って「ありがとう」と言いたいとずっと思っていました。

「女神の微笑み」Music Video 〜special edition〜

──そして、見事にライブの現場に復帰されているわけですが、そういう大きな病気を経験される以前と、そういう経験を経て、新たにまたライブをやっている今とを比べた時に、岡村さんのなかで、例えば本番に向かう時の気持ちや歌っている時の感触みたいなものに何か変化はあるように思いますか。

病気になる前は、ステージが始まる前のピリピリとした緊張感が大好きで、そういうものを感じなくなってしまったら自分はダメなのかなって、ちょっと思ったりしてたんですけれど、闘病からの後の復帰コンサートはただただ嬉しくて、そういう緊張感は全然なく歌っていたりします。それから、Christmas Picnicを昨年再開させることができたり、今年もT’s GARDENというコンサート・ツアーをしたんですけれども、やっぱりステージに立って、歌って、MCでいろんなことを皆さんと話していて、ちょっと「2019年に大病をして」みたいな話をすると、頭の中でその当時のことが蘇ったりして、“ステージの上に今こうやって立ってること自体がもう奇跡だよな”と思って、それだけで本当にありがたいなということを思ったりしています。

──“本番前の緊張感がなくなったら自分はダメかも”と思っていた時期があったということですが、“ステージに立っていられることが奇跡で、本当に感謝だな”と思っている。その今の状態は、以前よりもライブで歌うということが素朴に楽しめる状態になった、と受け取ってもいいですか。

この40年の間には、そういうただただ楽しい時期もあったり、自分では今までと変わらないつもりでやっていても実際にはいろんなことを気にしてしまって楽しいだけの気持ちではステージに立てない時もあったり、いろんな時期を重ねながら…。辛いと思ったことはないですけど、まだまだ自分のなかには何か足りない部分があるのかなと思ったり、いろんな時期があったので、これからもずっとただ楽しいかどうかはわからないです。それに、例えば復帰コンサートでは声量も全然戻ってなかったと思うんですが、単純に声が出たということがまず嬉しかったりとか、そういうところに気持ちが向いていたので、これからまたコンサートを続けていくと、音のバランスが気になったり、“自分は今ちゃんと歌えてるんだろうか?”みたいなことが気になったり、そういう雑念というのか、いろんなことが気になる時期も来る気がします。でも今は、純粋に感謝して楽しみたいなと思っています。

公演情報

DISK GARAGE公演

OKAMURA TAKAKO Special Live 2023
“ Christmas Picnic ”

2023年12月9日(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
2023年12月16日(土) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2023年12月23日(土) 大阪・サンケイホールブリーゼ

チケット一般発売日:2023年10月28日(土)10:00

RELEASE

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INFO

岡村孝子インターネットラジオ「T’s GARDEN」
YouTube公式チャンネルにて公開中

 

岡村孝子 Official YouTube Channel

  • 兼田達矢

    取材・文

    兼田達矢

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