もちろん今年も行われる“Christmas Picnic”を前に、闘病を経てライブに向かう現在の心境や今後のキャリアについての展望など、じっくり語ってもらった。
本当に目の前のことを一生懸命やって、気づいたら時間が経っていたという感じと…。ただ、4年前に大きな病気をして、その時に、“やりたいことはたくさんやってこられたので、悔いは残るけど、仕方がないのかな”と思う気持ちと同時に、“いや、まだまだやりたいことが残ってる”ということを病室で思ったんです。もし万が一この病室から外に出ることができたら、もう一度ステージに立って、皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいなって。わたしのリスナーさんは、デビューからずっと一緒に旅を続けてきているような感じなんですけど、もう一度その旅を続けたい、と。その病室のベッドの上ですごく思いました。
そうですね。まず最初に「女神の微笑み」という歌で…、女神というのは応援してくれるリスナーさんのことを言ってるんですが、5ヶ月の闘病の中で、たくさんの方に支えられたり助けられたりしたんですけれども、無菌室から5ヶ月間全く出られなかったので、そういう意味ではかなり孤独な戦いで、そんな時にTwitterでリスナーさんが、例えば七夕の時に「良くなってください」というお願いを一斉にしてくれたり、SNSを通じてすごく励ましていただいたんです。そういう支えのおかげで、暗闇の向こうのほうに、明るい光が見えてる感じがして、その明かりに向かって歩いていくというイメージで曲を作って、もし治ったら、本当にステージに立って「ありがとう」と言いたいとずっと思っていました。
病気になる前は、ステージが始まる前のピリピリとした緊張感が大好きで、そういうものを感じなくなってしまったら自分はダメなのかなって、ちょっと思ったりしてたんですけれど、闘病からの後の復帰コンサートはただただ嬉しくて、そういう緊張感は全然なく歌っていたりします。それから、Christmas Picnicを昨年再開させることができたり、今年もT’s GARDENというコンサート・ツアーをしたんですけれども、やっぱりステージに立って、歌って、MCでいろんなことを皆さんと話していて、ちょっと「2019年に大病をして」みたいな話をすると、頭の中でその当時のことが蘇ったりして、“ステージの上に今こうやって立ってること自体がもう奇跡だよな”と思って、それだけで本当にありがたいなということを思ったりしています。
この40年の間には、そういうただただ楽しい時期もあったり、自分では今までと変わらないつもりでやっていても実際にはいろんなことを気にしてしまって楽しいだけの気持ちではステージに立てない時もあったり、いろんな時期を重ねながら…。辛いと思ったことはないですけど、まだまだ自分のなかには何か足りない部分があるのかなと思ったり、いろんな時期があったので、これからもずっとただ楽しいかどうかはわからないです。それに、例えば復帰コンサートでは声量も全然戻ってなかったと思うんですが、単純に声が出たということがまず嬉しかったりとか、そういうところに気持ちが向いていたので、これからまたコンサートを続けていくと、音のバランスが気になったり、“自分は今ちゃんと歌えてるんだろうか?”みたいなことが気になったり、そういう雑念というのか、いろんなことが気になる時期も来る気がします。でも今は、純粋に感謝して楽しみたいなと思っています。