Versailles × 摩天楼オペラ「BLOOD OF ARTIST SOCIETY」
2022年11月2日(水) CLUB CITTA'
Versaillesと摩天楼オペラ、今年ともに結成15周年を迎えた両バンドが11月2日、神奈川・CLUB CITTA’川崎にてアニバーサリーイヤーならではのスペシャルなツーマン公演<BLOOD OF ARTIST SOCIETY>を開催。以下、記念すべき同公演のレポートをお届けする。
先にステージに現れたのは摩天楼オペラ。先日まで行なっていた3年ぶりの全国ツアー<15th Anniversary Tour -EMERALD->では、1日目が過去曲からの選曲でバンドのヒストリーを楽しむ“追憶の摩天楼”、2日目が最新アルバム『真実を知っていく物語』を軸においた選曲で、いまの彼らを楽しむ“真実を知っていく物語”と題した2DAYSアクトを展開していた彼ら。この日はなんと、超懐かしのインディーズ時代の楽曲を中心に構成した摩天楼オペラの原点ともいうべき楽曲と、最新アルバムの曲を並べ、ツアーとはまったく感触の違うこの日限りのライブを展開したのだった。
暗転した場内、響(Dr)、燿(Ba)、優介(Gt)、彩雨(Key)とともに、苑(Vo)がサーチライトを手にオンステージすると、ライブは「Plastic Cell」で幕開け。オープニングから変拍子をあびせかけ、そこにインディーズ時代からいまも定番曲的存在の「ANOMIE」をドロップ。彩雨は冒頭からショルキーで飛び出し、優介はソロで観客を圧倒。後半、響の2バスが唸りをあげると、燿も体を激しく揺らし、苑はいつも以上にパッション溢れる歌唱で観客を煽る。序盤2曲で尋常ではない熱さの摩天楼オペラ。彩雨のキーボードに続いて、フロアにクラップが巻き起こった「赤い糸は隠したまま」まで、この日の摩天楼オペラは肉感的で、頭から飛ばしまくり。異様なぐらいの熱気を放っている。
「Versailles先輩とのツーマン。僕はすでに、だいぶ楽しんでます」とここまで動きまくって歌っていた苑は、しゃべり声も興奮気味。続けて「今日しか観られないことがいっぱい起こると思います」と伝え、「飛べー!」と叫んだあと、始まったのは「honey drop」。フロアをジャンプさせ、サビではオーディエンスが楽しそうに手を広げ、華やかに咲き乱れる。歌もギターもメロディアスなフレーズから始まった「ローンデイジー」では、苑が放ったロングトーンのバックに優介が美しいアルペジオを添え、さらなる奥行きを演出。そうして、ミラーボールが放つ幻想的な光が場内に広がるなかで始まった「桜」は、音域豊かなヴォーカルで観客をどこまでも魅了していき、そこから彩雨のピアノのソロへとスライド。深く、悲しいメランコリックなフレーズに導かれるように苑が歌声を重ねて、始まったのは「もう一人の花嫁」。じわじわとせつない気持ちがエモーショナルに高まっていったところで、3拍子の「悲しみは僕への罰」へとつなぎ、胸を締め付ける繊細なギターソロ、さらにはそれに呼応するようにショルキーで泣きのフレーズを展開して、フロアの感動を深めていった彼ら。
このあと、苑が今回のツーマンについて「僕たちは昔、KAMIJO(Versailles/Vo)さんに誘って頂いてSherow Artist SocietyというKAMIJOさんの事務所に所属していました。その頃の魂を復活させようということで<BLOOD OF ARTIST SOCIETY>となりました」と今回のタイトルについて解説。そして「ステージ、バンドのこと、すべてKAMIJOさんに教わり、先輩の背中を追いかけてきました」とリスペクトを込めて伝えたあと「今日は倒してやりたいなと思ってます」と意気込み「次は、もっともお世話になった曲をお届けします」といって、始まったのは「覇道の火よ」だった。10周年のお祝いとしてKAMIJOがコーラス参加したこの曲の演奏が始まると、曲中ステージにKAMIJOが降臨! 苑の表情には笑顔が広がり、予想外の共演にフロアはたちまち熱狂に包まれ、無数の拳が勢いよく立ち上がる。コーラス以外のパートは、燿の顔に触れたり(笑)、観客と一緒になって手を振るなど、茶目っ気たっぷりな様子でコラボを楽しんでいたKAMIJO。歌い終えたあとは、メンバー全員とハグとハイタッチを行ない、オーディエンスにはキスをプレゼントして降壇。その興奮を引き連れ、この日のハイライトはフロアにペンライトが広がるなか、ハイカロリーな「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」、「儚く消える愛の讃歌」を怒涛の勢いと熱量で連続パフォーマンス。摩天楼オペラの圧倒的速さで駆け抜けるメロディックなハイスピードメタルを最後に凝縮して届けて、ライブは終了した。
続いて登場したのはVersailles。荘厳なSE「Prelude」が流れる中、舞踏会を思わせるような華麗な衣装をまとい、YUKI(Dr)、MASASHI(Ba)、TERU(Gt)、HIZAKI(Gt)がゆっくりとオンステージ。メンバーの登場と同時に、高貴な社交場を思わせる空気が場内に広がっていった頃、フロアで青いローズライトが激しく揺れる。オーディエンスの視線を全身で受け止めながら、赤い薔薇を手に、KAMIJOが圧倒的オーラを放ちながらステージにやってくると、ライブではおなじみの「MASQUERADE」で幕開け。この曲のサビでフロントマン全員が華麗なターンを一斉にきめると、ドレッシーな衣装の裾がフワリと広がる。このラグジュアリーで気品あるパフォーマンス、威厳と風格さえ感じるサウンドと存在感で、オーディエンス全員をVersaillesの異世界へと誘ったあと、KAMIJOが「噛みついてやるぞー!」「かかってこーい! 思いっきりかましていこうぜ。心の中で叫べー!」と観客を煽り、曲はアグレッシブな「Shout & Bite」へ。フロアではオーディエンスが一斉に拳を振り上げたあと、体を折り曲げたり手を広げたりしながら優雅に舞い踊る。
「Bonjour」とおきまりの挨拶を告げたKAMIJOは「今宵は摩天楼オペラとVersailles、15周年記念ライブ。末裔(Versaillesのファンの呼称)のみなさんもオペラー(摩天楼オペラのファンの呼称)のみなさんも、俺たちと一緒に遊ぼうか!」とKAMIJOがフロアに声をかけたあと、続いて始まったのは「zombie」のアクト。YUKIが叩くドラムに合わせてフロア全域にクラップが広がると、KAMIJOはメンバーが放つシャウトとバトル気味に歌を掛け合い、場内の緊張感を高めていく。そうして間髪入れずに「月下香」へと展開。イントロからKAMIJOが率先して振り付けを踊り、その直後、一斉ヘドバンがフロアに広がっていったところは圧巻の迫力。曲中、KAMIJOが一瞬袖にはけるというトラブルがあったものの、それにすぐさま気づいたHIZAKIがセンターに移動して、お立ち台の上でギター弾くという連携プレーで、15周年を迎えたバンドならではの余裕を見せつける。そして、TERUをバックハグしたあと、センターにKAMIJOが戻ってくると、曲は「Catharsis」へ。ここでは、4人がフロントに1列に整列して並び、これぞVersaillesという華麗で激しく、クラシカルな様式美を追求した美しい旋律を、テクニカルなプレイの応酬でたっぷりと堪能させていったシーンは、貫禄さえ感じさせるステージングで圧倒的だった。そうして、シンフォニックなストリングスからメロスピへと展開していく「Destiny-The Lovers-」をKAMIJOが全身全霊を込めて、情熱的に熱唱。アグレッシブな「PRINCE」では、会場に手を差し伸べ、みんなを未来へとエスコートしていった彼ら。
そのあと「摩天楼オペラが大好き!とにかく曲が大好きなんだよ」とあふれんばかりの愛を伝えたKAMIJOから「15年前、ともに歩みをスタートさせたんだけど。じつは、摩天楼オペラのほうが1カ月先輩なんだよ。摩天楼先輩より1カ月遅れで頑張っていくよ」と驚きの事実が告げられ、場内に衝撃が走ったところでライブは「After Cloudia」で再開。切なさや儚さが広がるこの曲を、最後、KAMIJOが優しく包容力ある素晴らしい歌声で届けていったあと「今日だけの特別な曲、聴きたいよな?」とフロアに問いかけると、観客は激しく首と腕を振って同意を示す。そうして、照明が明るくなったステージに、摩天楼オペラの苑が颯爽と姿を現わす。「Aristocrat’s Symphony」を息のあったハーモニーで聴かせたあとは、後半、2人でセンターのお立ち台に足をかけ、揃って激しいヘドバンを繰り返す。そうして、苑がステージを去ったあとは「Ascendead Master」でヘドバンをつなぎ、激しく畳みかけるYUKIのドラムとMASASHIのベースラインが躍動する中、ツインギターが美しい旋律を響かせる「The Revenant Choir」では、曲のラスト、4人がステージ中央に並んだところで「We are Versailles!」とKAMIJOが叫び、演奏を締めくくって彼らのライブはフィニッシュ。「この後、デザート欲しいよな?」という言葉を残して、ステージを後にした。
アンコールはKAMIJOの言葉通り、ステージにVersaillesと摩天楼オペラのメンバー全員が大集結。ここでは、KAMIJOが自分のファンから「聴いてください」といわれて摩天楼オペラの存在を知ったことを打ち明けて、苑が驚く場面も。そんな苑はKAMIJOに「さっきの“先輩”っていうの、いじられてるみたいだからやめてください(微笑)」とお願いしたところで、アンコールのセッションへ。
響のドラムで摩天楼オペラの「alkaloid showcase」。次はYUKIのドラムでVersaillesの「The Red Carpet Day」をアクト。響はステージ上で自撮りをしたり、お客さんと同じフリをしてはしゃぎまくり、HIZAKIと優介が向かいあってギターを弾きながら笑いあったり、YUKIは自分がドラムを叩いていない間は響のシンバルを叩いたりと、各々自由にセッションを楽しんで、アンコールは終了。最後はKAMIJOの「気持ちよかったら跳べ!」という掛け声に従って、指名されたメンバー、続いてフロアを3つのブロックに分けてウェーブジャンプを楽しみ、ニコニコの笑顔がステージ上にもフロアにも広がるなか、この日のツーマンライブは多幸感に包まれたままの状態で幕を閉じた。
今後、KAMIJOは年末年始にかけてソロ公演を、Versaillesは2023年2月から<Versailles 15th Anniversary Tour -Holy Grail->を開催することが決定している。また、摩天楼オペラのほうは12月27日、2022年を締めくくるライブ<[Snow White] of OPERA 2022>を行なったあと、2023年2月25日からは2022年に行なったEMERALDに続く全国ツアーの第2弾として行なうツアー<15th Anniversary Tour -WALTZ->を駆け抜け、5月4日には16周年ライブ<16th Anniversary Live -翠玉のワルツ->を開催する。
SET LIST
摩天楼オペラ
01. Plastic Cell
02. ANOMIE
03. 赤い糸は隠したまま
04. honey drop
05. ローンデイジー
06. 桜
07. もう一人の花嫁
08. 悲しみは僕への罰
09. 覇道の火よ
10. 真っ白な闇がすべてを塗り替えても
11. 儚く消える愛の讃歌
Versailles
01. MASQUERADE
02. Shout & Bite
03. zombie
04. 月下香
05. Catharsis
06. Destiny-The Lovers-
07. PRINCE
08. After Cloudia
09. Aristocrat’s Symphony
10. Ascendead Master
11. The Revenant Choir
Session
01. alkaloid showcase
02. The Red Carpet Day