【無名ですけど凱旋ワンマン~ようこそ、スナックタイムへ Um-hum~】at 恵比寿LIQUIDROOM
2022年1月30日(日)LIQUIDROOM
“青春日本代表”を名乗る、新しい学校のリーダーズが1月30日(日)に東京・恵比寿LIQUID ROOMでワンマンライブ「無名ですけど凱旋ワンマン 〜ようこそ、スナックタイムへUm-hum〜」を開催。会場チケットがソールドアウトとなったため、急遽、同時生配信も行われた。
SUZUKA、KANON、RIN、MIZYUからなる4人組のダンスヴォーカルパフォーマンスグループ、新しい学校のリーダーズは2015年に結成。7年目を迎えた国内での活動に加え、2021年1月には、アメリカを拠点にアジアのカルチャーを世界に発信する音楽レーベル「88rising」よりATARASHII GAKKO!(略してAG!)として世界デビュー。TikTokフォロワーは340万人を突破し、同年11月にはビースティ・ボーイズ第4のメンバーともいわれる“マニー・マーク”プロデュースによるEP「SNACKTIME」をリリース。L.A.で2万5千人が来場した音楽フェス「Head in The Clouds」でのパフォーマンスを経験して日本に帰国。タイトルにある通り、本公演は世界デビューを果たしたAG !(エー・ジー)の凱旋ライブとなっていた。
開演時間になると満員のフロアにチャイムが鳴り響き、ステージ後方のスクリーンに、彼女たちがロスの音楽フェスでオーディエンスから歓声を浴びるまでの軌跡がダイジェスト映像で流された。続いて、大きな拍手に迎えられて四人がステージに登場し、<ATARASHII GAKKO!を世界に伝えたい/好きなあの子に教えたい/でも、嫌いなあいつに知らしめたい>と宣言。SUZUKAの悲鳴から、マニー・マークと一番最初に製作したという青春ブレイクビーツ・テクノ「Pineapple Kryptonite」でメンバー同士が殴り合う中でライブはスタートした。そして、音楽フェス「Head in The Clouds」でオーディエンスを熱狂させた「最終人類」へ。モーモールルギャバンのゲイリー・ビッチェが作詞、H ZETT Mが作曲を手がけた歌謡的なジャズパンクで、彼女たちは“ぐわし”のような手でステージ上を動き回って観客を煽り、場内からはクラップが沸き起こった。しかし、ダンスは多彩で、床に寝転んで地面を叩き、前方宙返りからブリッジを見せ、美しいスピンや葬列のような場面(三人のメンバーに担がれているSUZUKAはニヤリと微笑を浮かべている)もあった。前衛的でシュールで、「限界まで体を動かすこと」をモットーにしている彼女たちのダンスパフォーマンスは、言葉では言い表せないものが多いが、この曲は最たるもの。どんなダンスを踊っているのかが気になった方はまず、この曲のライブ映像を見てもらいたい。
最初のMCでは「AG! Revolution!(新しい学校のリーダーズの革命!)」を声高に叫び、「ただいま、日本!」とあいさつ。四字熟語を羅列するファンク「試験前夜」ではお馴染みの赤いハチマキを使って踊り、ウォーレン・ヒューとのコラボ曲「FREAKS」はド派手な照明ショーを展開。TikTokでバズった「AG! Susan」は学校からお寿司屋さんに直行し、MIZYUがメインボーカルを務めるローファイなテクノポップ「チラチラチラミー~試験当日~」では“ダッフンダ”からボーリングを投げ、ピンクのライトにハートが舞った「恋文」は、シャープにハードに踊りつつも、まるでアイドルのようなキュートな声で歌い継いでみせた。会場を包むライトはピンクからパープルへ。1月18日にKANONが二十歳の誕生日を迎えたことで、メンバー全員が成人となった彼女たちは、「私たち大人になりまして」と語り、歌謡ディスコ「オトナブルー」で一人ずつがピンスポットに照らされ、思い思いの大人っぽい仕草でアピールし、会場を沸かせた。
ここで場面は展開。ステージ上にはバーカウンターとソファが運び込まれ、スペシャルゲストとして、ドラァグクイーンの穴野をしる子が登場、をしる子ママが仕切る「スナックタイム」へと突入。しばしの小芝居を経て、マイクを握ったメンバーが山本リンダ「どうにも止まらない」を熱唱すると、をしる子ママも負けじと和田アキ子「笑って許して」を歌い、最後は五人での大合唱となった。
さらに、舞台は一変。スクリーンには幻想的で不気味でサイケデリックなコラージュ映像が流され、RINのラップが炸裂し、KANONがSUZUKAのスカートの裾から顔を出す「CANDY」へ。欲望をテーマにした楽曲で観客をジャンプさせると、フロアにサイレンが鳴り響き、甘いものと同じく依存度の高い「SNS24時」を並べた。漫画家でコラムニストの辛酸なめ子が作詞したパンクロックでは観客に動画撮影と投稿を強要しながらもヘドバンを繰り広げて、フロアを盛り上げた。さらに、「88rising」との出会いのきっかけになった「恋ゲバ」のパフォーマンスは、「先生、告白したら犯罪ですか?」を英語に訳したセリフから没入感があり、演歌や歌謡曲、盆踊りのような展開も含めて、口を開けたまま見入ってしまうほどの吸引力があり、メンバーもあまりにも情熱的に踊った結果、KANONの上履きが両足とも脱げてしまうというハプニングもあった。
ライブの後半では、海外デビューをし、マニー・マークと出会い、L.A.に2ヶ月半滞在した2001年を振り返り、SUZUKAは「私たちが予想もしていなかったことがたくさん起きた。でも、それがとってもいいステップで、気持ちよくて。その気持ちよさをやっと、このリキッドルームで発散できるということで本当に楽しみにしてきました」と語り、「この気持ちを共有できて本当に嬉しいです。今日、きてくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。そして、共同生活をしていたL.A.でみんなで聞き直し、懐かしすぎて胸が苦しくなったという「透明ガール」「透明ボーイ」を久しぶりに披露。4人が手を繋いでスキップし、観客と手を振り合うレア曲で観客のクラップを呼び起こすと、SUZUKAとKANONが美しいハーモニーを響かせるイタロハウス「Fantastico」ではリンボーダンスが飛び出し、工事現場用のヘルメットとLEDベストを着用したビースティー・ボーイズ「Intergalactic」のカバーを挟み、世界デビュー「NAINAINAI」でオーディエンスのテンションを引き上げ、本編ラストナンバーとして、スペイン語バージョンも世界リリースしたロックンロール「Free Your Mind」を英語、スペイン語、日本語の3ヶ国語を織り交ぜて歌唱し、「私たちのAG!WORLDを広げていきたい」という決意を体現してみせた。
アンコールでは、幸せホルモンと焼肉のホルモンをマッシュアップしたテクノポップ「Happy Hormones」をチャーミングにパフォーマンス。フロアをハッピーなムードで満たした彼女たちは最後にこう語った。
「ワシら、青春日本代表として、青春についていつも熱く語ってきました。青春ってなんやろ? と思ったときに、若い頃しかできないワガママ? 大人になったら理性がコントロールして解放できない? ノー!ノー!ノー! 青春というのは心を解放して、自分で気持ちをぶつける場所を見つけることなんです。そこで青春を味わう。老若男女、関係なしにみんなが青春を味わえる場所。それがここ、THIS IS AG!WORLD」(SUZUKA)
大きな拍手を受けた彼女たちは両手をあげて、「青春、味わっていこうぜ!」と呼びかけ、青春ロックンロール「迷えば尊し」で観客のジャンプとクラップとヘドバンと感動を引き出し、熱狂の中で<ここが青春>と高らかに歌いあげると、「下校!」と声を合わせてダッシュでステージを後にした。
なお、本公演は、2月6日(日)の23:59までアーカイブで視聴ができる。また、新しい学校のリーダーズは、5月20日(金)にキャリア史上最大規模となる東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンライブの開催が決定している。